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風使いと〈斬撃の巫女〉
怜の仕事
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鈴香を送ってから1時間、怜はコンビニでコーヒーを買い、その場で飲みながら今日の予定を思い出していた。
路地裏に潜む不良魔法使いの討伐、そんなところに生えた害のある植物の伐採のような感覚で行われる蹂躙。今日の依頼はそのようなもの。
怜は都会の路地裏の中、昼夜問わず不良魔法使いが取り敢えずいるというそこへ身を放り込む。その場にいた3人組、ふたりの男とひとりの女。なんと女は巫女服を着ていた。
「はっ、なんて組み合わせだ。まるで俺の高校時代みてぇだな」
3人は怜の姿を確認するなりいきなり襲いかかってきた。全員一斉に跳躍し怜へと迫っていく。そしてそれをただ睨み付けるだけの怜。するとどうであろう、怜に近づいていた3人は怜から飛ばされる形で遠ざかっていく。
「わりぃな、これなら俺らの高校の時のが強ぇぜ」
ひとりだけ意識の残された男は鋭い目付きで怜を睨み付けながら走って来る。怜はその男をただ睨み返し、拳を握って待っていた。
迫る男
魔力を練り上げていて手が輝いていて
強力な一撃を放つ準備をしていた。
そして怜の目と鼻の先まできたその時、怜は拳を素早く突き出す。風を纏いし拳、それは目の前の敵を抉るように殴り、意識を奪い去る。
そこにはただ3人を相手に余裕を見せて戦っただけのひとりの男が立っていた。
見渡して更に敵がいないかを確認し、全てを吹き飛ばして立ち去った。
「住人がひとり増えちまったからな、このくらいやっとかねぇと金がもたねぇよ」
そういいながら携帯電話を取り出してある番号にかけて路地裏の魔法使いの間で用いられる番号と自身の名前を告げて閉じる。
次にビルの中、そこでの魔法使いが集まる部屋の清掃。これは完全にただの掃除であった。
-なんで雑用系しか残ってねぇんだ-
まずは高い壁を拭いて、次に窓を拭く。そして壁の低い位置を拭いて棚やロッカー、机などを拭いていく。そして過去を思い出しながら学校の教室のもののように規則正しく並べられた机を隅に追いやって床を箒ではく。
「また、あのクソ後輩か」
汚れや埃は落ちて行くから掃除は上から下へ、掃除の基本的な事であるがそれは完全に菜穂から記憶に刻まれた知識であった。
高校卒業と共に会わなくなってから3年半近くの時を過去へと沈めたにも関わらず、生活の半分以上が未だに菜穂から得た知識に沈められている。特に昨夜からは酷かった。ずっと思い返すような出来事ばかりが起きているのだから。
掃除を終えて携帯電話で連絡を取る。すると小さな機械、携帯電話の向こうから訊ねられるひとつのこと。
「珍しいですね、掃除でも構わず受けて下さるなんて」
「ああ、どうしても今までより金がかかっちまうからな」
すると、更に質問が重ねられる。
「彼女でも出来たんですか?」
「クソが、もっと厄介な女だ」
そう答える怜の表情は何故だかいつもより爽やかであった。
路地裏に潜む不良魔法使いの討伐、そんなところに生えた害のある植物の伐採のような感覚で行われる蹂躙。今日の依頼はそのようなもの。
怜は都会の路地裏の中、昼夜問わず不良魔法使いが取り敢えずいるというそこへ身を放り込む。その場にいた3人組、ふたりの男とひとりの女。なんと女は巫女服を着ていた。
「はっ、なんて組み合わせだ。まるで俺の高校時代みてぇだな」
3人は怜の姿を確認するなりいきなり襲いかかってきた。全員一斉に跳躍し怜へと迫っていく。そしてそれをただ睨み付けるだけの怜。するとどうであろう、怜に近づいていた3人は怜から飛ばされる形で遠ざかっていく。
「わりぃな、これなら俺らの高校の時のが強ぇぜ」
ひとりだけ意識の残された男は鋭い目付きで怜を睨み付けながら走って来る。怜はその男をただ睨み返し、拳を握って待っていた。
迫る男
魔力を練り上げていて手が輝いていて
強力な一撃を放つ準備をしていた。
そして怜の目と鼻の先まできたその時、怜は拳を素早く突き出す。風を纏いし拳、それは目の前の敵を抉るように殴り、意識を奪い去る。
そこにはただ3人を相手に余裕を見せて戦っただけのひとりの男が立っていた。
見渡して更に敵がいないかを確認し、全てを吹き飛ばして立ち去った。
「住人がひとり増えちまったからな、このくらいやっとかねぇと金がもたねぇよ」
そういいながら携帯電話を取り出してある番号にかけて路地裏の魔法使いの間で用いられる番号と自身の名前を告げて閉じる。
次にビルの中、そこでの魔法使いが集まる部屋の清掃。これは完全にただの掃除であった。
-なんで雑用系しか残ってねぇんだ-
まずは高い壁を拭いて、次に窓を拭く。そして壁の低い位置を拭いて棚やロッカー、机などを拭いていく。そして過去を思い出しながら学校の教室のもののように規則正しく並べられた机を隅に追いやって床を箒ではく。
「また、あのクソ後輩か」
汚れや埃は落ちて行くから掃除は上から下へ、掃除の基本的な事であるがそれは完全に菜穂から記憶に刻まれた知識であった。
高校卒業と共に会わなくなってから3年半近くの時を過去へと沈めたにも関わらず、生活の半分以上が未だに菜穂から得た知識に沈められている。特に昨夜からは酷かった。ずっと思い返すような出来事ばかりが起きているのだから。
掃除を終えて携帯電話で連絡を取る。すると小さな機械、携帯電話の向こうから訊ねられるひとつのこと。
「珍しいですね、掃除でも構わず受けて下さるなんて」
「ああ、どうしても今までより金がかかっちまうからな」
すると、更に質問が重ねられる。
「彼女でも出来たんですか?」
「クソが、もっと厄介な女だ」
そう答える怜の表情は何故だかいつもより爽やかであった。
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