呪う一族の娘は呪われ壊れた家の元住人と共に

焼魚圭

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風使いと〈斬撃の巫女〉

魔導教団の計画

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 授業が終わり、那雪は歩いていく。一真、愛しの彼のところへとむかっている。薄暗い空もベッドタウンの淀んだ空気もメガネ越しに見ている明かりのついた店の並ぶ光景も、何もかもが美しい。
 やがて住宅地へと、公園へと、それらを通り抜けて真昼たちが魔法関係の仕事の会議や飲み会などに使うアパートを通り過ぎ、そしてたどり着いたアパート。そこが今一真が住む場所。
 那雪は階段を上っていく。好き、愛してる、大好き、一段一段上る度に心臓の鼓動が高まっていく。
 やがて上り切った那雪は呼び鈴を鳴らして数秒待つ。ドアが開きそこから見えた顔、頼りないが整った顔立ちの男。
 そんな一真は那雪を家に上げてメモ紙を差し出す。
 殺風景で語るところもないような地味な部屋、この部屋で生活を始めて1ヶ月も経っていないのだろう、故に仕方がないとしか言えなかった。
 那雪は差し出されたメモ紙に目を通す。
「魔導教団の四大計画? ホムンクルス計画、山羊頭の魔神計画、若葉魔力庫代理庫計画、人類超越計画? …………なにそれ」
 一真は説明を始めた。
「ホムンクルス計画は分かるな、十也を器にしてかつてこの世にいたという創造魔法の使い手の紅也を呼び出す計画、これは俺らが潰したしな。山羊頭の魔神は……よく知らないが満明が右腕に宿らせてるな、詳しくは知らね。若葉代理は……恐らく勇人の妹みたいに大量の魔力を持った人間を創って魔力をシェアして最強魔法をガンガン撃てる小隊でも作る気だろうな、あとひとつは…………全く分かんね」
 そこからどう話が発展していくのか、那雪には想像もつかない。
「でだ、次は魔力庫潰そっかなって思ってるんだ」
 そうしてまた説明が幕を開ける。
「実は刹菜とか風使いとかがよく魔導教団所属の不良たちを好んで潰してるんだ。アレさ、最近増え始めたんだ」
「刹菜さん……」
 那雪は見てもいない風景を想像していた。笑って小馬鹿にしながら不良たちを蹴散らしていく刹菜がいる、そんな風景を。
「それが魔力庫に関係あるって思うんだ」
 確かめないことには分からない、確かめてみる他ない、そう思い納得しつつ那雪はひとつ訊ねた。
「ところでその情報、誰が持ってきたの?」
「ああ、これな」
 一真は鋭い笑みを浮かべながら言った。
「俺の父さんともうひとり……唐津家の男。つまりなゆきちの父さんさ」
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