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(野菜狂信者は)何とか肉食できんのか?
ベーコンスープ・ホットサンド添え
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「それじゃマレスちゃん、元気でね」
「うん、イチゴちゃんとベルちゃんもまた遊びに来てね」
いよいよマレスとのお別れ……さっきからマレスもだけど、キャリが大泣きして大変なんだが今生の別れじゃないからな。
また海の幸でバーベキューする時には世話になるし、ロジーが修行に来たらマレスにも手伝って貰う予定だから会おうと思えばいつでも会えるぞ。
それに物々交換の際は予定が合えば来ると言ってるし。
「あの師匠、ちょっといいですか?」
「ああ、どうした?」
「多分ですけど、師匠は最近ヴィガン族や物々交換にこれから産まれる子供の事で頭が一杯だとは思います……それでキャリちゃんは淋しかったんじゃないでしょうか?」
言われてみれば確かに、最近はまたノルマや子供の事ばかり考えていた気がするな。
だからって家族の事はないがしろにした覚えはないんだが……それでも何かしらの差があったのかもしれんな。
「キャリちゃんがイチゴちゃんからバターの作り方を習っていたのもきっと、師匠の役に立ちたかったからだと思いますよ」
キャリは可愛い妹からお菓子じゃなくてバターの作り方を習っていたのか……
あ、それで今回は可愛い妹じゃなくてキャリが作ってくれたんだな。
ハイカロリー料理に手を出したくなかったのも本音だとは思うが。
……弟子に言われるまで解らなかったとは、情けないな俺は。
「だから師匠も大変だとは思いますけど、ほんの少しでもキャリちゃんと一緒の時間を作ってあげて下さい」
「そうだな……そうしよう」
例え血の繋がりがなかろうとキャリが俺の娘なのは間違いない。
暫くはバーベキューに出来るイベントもなさそうだし、ベーコンを作りながらのんびりするか。
野菜狂信者が現れたら肉を食わせなきゃならんがな。
そして帰宅……
早速オイル漬けにしたシーバスをコンフィという、漬け油をそのまま加熱して煮た料理にしてやったんだが……嫁2人にレクタさんまでもが物凄い勢いで食ってやがる。
ってかそれは夕飯のオカズにする予定だったんだが……まあいいか。
「それで、次の予定は?」
「マレスがベーコンを作れる様になったからサーマの買い取りの量は減るし、アングラーとやらが現れるまではのんびりしつつ野菜狂信者に肉を食わせるつもりだ」
「つまり……いつも通りやな」
暫くは動き様がないからなぁ……
あいつと桃花には借りがあるから早く返さないと利子がとんでもない事になりかねんからノルマはこなしておきたいんだけど。
だが野菜狂信者共の動きが解らん以上はどうしようもない。
「さて、オヤツが終わった所で……始めるか」
「コンフィはオヤツとして扱っていい料理じゃないけどね」
本来ならチーズイン・ベーコン・エクスプロージョンを作ろうと思ったんだが……
可愛い妹が嫌がって、しかもサーマから「妊婦にチーは毒だ」と言われてしまったので別の料理にする。
……滅茶苦茶食いたかったんだがまあ仕方ない、流石に嫁と子供が優先だ。
コンロはベーコン専用の貯蔵庫に収納して子供が生まれたら引っ張り出そう。
気を取り直してまずはブタの挽肉、タマネギ、ジャガイモ……こいつをコロッケにするぜ。
それも揚げたてをキャベツの千切りと一緒にコッペパンで挟んで、ソースをたっぷりと掛けたコロッケパンにしてやる。
そしてタープとマリアのリクエストでウシのベーコンをたっぷり食える料理……ベーコンスープを作ろう。
本来ならセロリや長ネギがあった方がいいが……この世界にはないから仕方ない。
代わりにタマネギをたっぷり、緑はからし菜を使う。
いや、成長が早いとは聞いてたけど本当に増え過ぎだろ……ローズマリーもとんでもない事になってたし。
まあローズマリーは可愛い妹に一任したから俺がからし菜を料理すれば済む話だ。
正直ラムかマトンに使うぐらいの使い道しか知らんからな……俺は。
話を戻してスープの作り方は簡単だ、ウシの骨か赤身から取った出汁で賽の目に切ったタマネギを煮込みつつコショウを振って、極薄切りにしたウシのベーコンを丸めて入れるだけでいい。
ベーコンを全部入れたら小口切りにしたからし菜の茎を入れて、柔らかくなったら刻んだ葉っぱを少しずつ加えて様子を見つつ味見して……よし。
味付けはコショウとベーコンのみだがウシのベーコンを食うならこれが一番だろう。
今回は食い易さを優先して丸めたがしゃぶしゃぶみたいにして食っても美味いぞ。
焼肉と同様にタープが火傷する未来しか見えないからしゃぶしゃぶはやらんけどな。
「はいお兄ちゃん、挽肉とタマネギのみじん切りを炒めてジャガイモは塩茹でしておいたよ」
「早いな……助かるけど」
って、これはどうした事だ?
ジャガイモより炒めた挽肉の方が多いぞ。
「お兄ちゃんのコロッケはティーチャーが作ってたメンチカツみたいなアレでしょ?卵とパン粉に小麦粉も準備できてるよ」
流石にコロッケはオーソドックスにしようと思っていたんだが……まあいいか。
太るのを嫌がる可愛い妹だがティーチャーのコロッケは沢山食うからなぁ。
となれば可愛い妹のコロッケパンはティーチャー風の味付けにしてやろう。
そうと決まれば……
「キャリ、オヤッサンにこのベーコンとトマトを交換して貰う様に頼んで来てくれ……ベーコンとエビフライはつまみ食いするなよ?」
「はーい!」
「ンナッ!」
「ヒャッ!」
ティーチャーのコロッケは可愛い妹の言う通りコロッケというより、ジャガイモを入れたメンチカツと呼んだ方がしっくりする。
予め味付けして炒めた挽肉は塩茹でして潰したジャガイモをつなぎ代わりに纏めてあるから揚げ時間を短縮できる……ダニエルさん達は揚げなくても食えるとも言っていた。
だがこれはやっぱりコロッケで食った方が美味いと個人的に思う。
そういやこのコロッケはトゥール様から貰ったソースもいいが特にダニエルさんのバーベキューソースと相性が良かったんだよな……
だがレシピ本によるとあれはダチョウの時に使ったチリソースにウスターシャーソースとお好み焼きソース、ケチャップ、マヨネーズ、醤油……更に赤ワインを混ぜて煮込まないと作れないらしい。
他はともかくチリソースはダチョウを焼く時でなければトゥール様は許してくれんし、赤ワインも手に入らん。
この世界で作ろうとしてもブドウがないしなぁ。
「お兄ちゃん、そろそろ始めないと油が引火しちゃうよ?」
「おっと、危ない所だった」
まあ、あのバーベキューソースは作りたいが今はどうしようもないし……一旦忘れよう。
よし、全部揚げた。
後は仕上げだが俺達の分は先に言ったコロッケパンでいいとして……
可愛い妹の分はティーチャー風に、コッペパンを横半分にカットしたら鉄板を2枚使って潰しながら焼く。
焼けたらソースを塗って更に炙って、薄切りのトマトとレタスにコロッケを挟んでやる。
確かパニーニ風ホットサンド……とか言ってたな。
ティーチャーはフランスパンで作ってたがこの世界にはないからコッペパンで作ったが……まあ大丈夫だろ。
「よし、そろそろ夕飯にするか」
「じゃあキャリちゃん、手を洗いに行こうね」
「はーい!」
因みにあの時ジョニーさんがバターで作っていたのはまさかの石鹸だった。
元はキャリが作ったバターだからと半分ぐらい貰ったんだがこれが中々いい物で、手を洗う以外に風呂でも使える。
まあ少々バター臭いというか、ミルク臭いというか……ベーコンとエビフライが涎を足らしながら俺に噛み付こうとしたから女性陣だけに使って貰おう。
「ほわぁ……このベーコンのスープが美味いやんか」
「これは美味しい、コショウの刺激も丁度いい」
今回作ったベーコンスープは基本的な奴で、ここにトマトやジャガイモ、キャベツなんかを入れても美味い。
それに食べやすいから妊婦にもいいし、3日に一度は作ろう。
「コロッケパン美味しい!」
「ヒャー!」
「久しぶりのパニーニサンド、美味しい!」
キャリもコロッケパンを気に入った様だな……だが熱かったのかベーコンがまだ口を付けていない。
まあ猫だし、猫舌に決まってるわな。
次からは少し冷ましてからにしてやろう。
「……パパ、イチゴお姉ちゃんの食べてるコロッケパンも食べたい!」
「よし、すぐに焼くから少し待ってくれよ」
「はーい!」
さて、どうせタープとマリアにレクタさんも食いたいと言うだろうから人数分焼くとするか。
「うん、イチゴちゃんとベルちゃんもまた遊びに来てね」
いよいよマレスとのお別れ……さっきからマレスもだけど、キャリが大泣きして大変なんだが今生の別れじゃないからな。
また海の幸でバーベキューする時には世話になるし、ロジーが修行に来たらマレスにも手伝って貰う予定だから会おうと思えばいつでも会えるぞ。
それに物々交換の際は予定が合えば来ると言ってるし。
「あの師匠、ちょっといいですか?」
「ああ、どうした?」
「多分ですけど、師匠は最近ヴィガン族や物々交換にこれから産まれる子供の事で頭が一杯だとは思います……それでキャリちゃんは淋しかったんじゃないでしょうか?」
言われてみれば確かに、最近はまたノルマや子供の事ばかり考えていた気がするな。
だからって家族の事はないがしろにした覚えはないんだが……それでも何かしらの差があったのかもしれんな。
「キャリちゃんがイチゴちゃんからバターの作り方を習っていたのもきっと、師匠の役に立ちたかったからだと思いますよ」
キャリは可愛い妹からお菓子じゃなくてバターの作り方を習っていたのか……
あ、それで今回は可愛い妹じゃなくてキャリが作ってくれたんだな。
ハイカロリー料理に手を出したくなかったのも本音だとは思うが。
……弟子に言われるまで解らなかったとは、情けないな俺は。
「だから師匠も大変だとは思いますけど、ほんの少しでもキャリちゃんと一緒の時間を作ってあげて下さい」
「そうだな……そうしよう」
例え血の繋がりがなかろうとキャリが俺の娘なのは間違いない。
暫くはバーベキューに出来るイベントもなさそうだし、ベーコンを作りながらのんびりするか。
野菜狂信者が現れたら肉を食わせなきゃならんがな。
そして帰宅……
早速オイル漬けにしたシーバスをコンフィという、漬け油をそのまま加熱して煮た料理にしてやったんだが……嫁2人にレクタさんまでもが物凄い勢いで食ってやがる。
ってかそれは夕飯のオカズにする予定だったんだが……まあいいか。
「それで、次の予定は?」
「マレスがベーコンを作れる様になったからサーマの買い取りの量は減るし、アングラーとやらが現れるまではのんびりしつつ野菜狂信者に肉を食わせるつもりだ」
「つまり……いつも通りやな」
暫くは動き様がないからなぁ……
あいつと桃花には借りがあるから早く返さないと利子がとんでもない事になりかねんからノルマはこなしておきたいんだけど。
だが野菜狂信者共の動きが解らん以上はどうしようもない。
「さて、オヤツが終わった所で……始めるか」
「コンフィはオヤツとして扱っていい料理じゃないけどね」
本来ならチーズイン・ベーコン・エクスプロージョンを作ろうと思ったんだが……
可愛い妹が嫌がって、しかもサーマから「妊婦にチーは毒だ」と言われてしまったので別の料理にする。
……滅茶苦茶食いたかったんだがまあ仕方ない、流石に嫁と子供が優先だ。
コンロはベーコン専用の貯蔵庫に収納して子供が生まれたら引っ張り出そう。
気を取り直してまずはブタの挽肉、タマネギ、ジャガイモ……こいつをコロッケにするぜ。
それも揚げたてをキャベツの千切りと一緒にコッペパンで挟んで、ソースをたっぷりと掛けたコロッケパンにしてやる。
そしてタープとマリアのリクエストでウシのベーコンをたっぷり食える料理……ベーコンスープを作ろう。
本来ならセロリや長ネギがあった方がいいが……この世界にはないから仕方ない。
代わりにタマネギをたっぷり、緑はからし菜を使う。
いや、成長が早いとは聞いてたけど本当に増え過ぎだろ……ローズマリーもとんでもない事になってたし。
まあローズマリーは可愛い妹に一任したから俺がからし菜を料理すれば済む話だ。
正直ラムかマトンに使うぐらいの使い道しか知らんからな……俺は。
話を戻してスープの作り方は簡単だ、ウシの骨か赤身から取った出汁で賽の目に切ったタマネギを煮込みつつコショウを振って、極薄切りにしたウシのベーコンを丸めて入れるだけでいい。
ベーコンを全部入れたら小口切りにしたからし菜の茎を入れて、柔らかくなったら刻んだ葉っぱを少しずつ加えて様子を見つつ味見して……よし。
味付けはコショウとベーコンのみだがウシのベーコンを食うならこれが一番だろう。
今回は食い易さを優先して丸めたがしゃぶしゃぶみたいにして食っても美味いぞ。
焼肉と同様にタープが火傷する未来しか見えないからしゃぶしゃぶはやらんけどな。
「はいお兄ちゃん、挽肉とタマネギのみじん切りを炒めてジャガイモは塩茹でしておいたよ」
「早いな……助かるけど」
って、これはどうした事だ?
ジャガイモより炒めた挽肉の方が多いぞ。
「お兄ちゃんのコロッケはティーチャーが作ってたメンチカツみたいなアレでしょ?卵とパン粉に小麦粉も準備できてるよ」
流石にコロッケはオーソドックスにしようと思っていたんだが……まあいいか。
太るのを嫌がる可愛い妹だがティーチャーのコロッケは沢山食うからなぁ。
となれば可愛い妹のコロッケパンはティーチャー風の味付けにしてやろう。
そうと決まれば……
「キャリ、オヤッサンにこのベーコンとトマトを交換して貰う様に頼んで来てくれ……ベーコンとエビフライはつまみ食いするなよ?」
「はーい!」
「ンナッ!」
「ヒャッ!」
ティーチャーのコロッケは可愛い妹の言う通りコロッケというより、ジャガイモを入れたメンチカツと呼んだ方がしっくりする。
予め味付けして炒めた挽肉は塩茹でして潰したジャガイモをつなぎ代わりに纏めてあるから揚げ時間を短縮できる……ダニエルさん達は揚げなくても食えるとも言っていた。
だがこれはやっぱりコロッケで食った方が美味いと個人的に思う。
そういやこのコロッケはトゥール様から貰ったソースもいいが特にダニエルさんのバーベキューソースと相性が良かったんだよな……
だがレシピ本によるとあれはダチョウの時に使ったチリソースにウスターシャーソースとお好み焼きソース、ケチャップ、マヨネーズ、醤油……更に赤ワインを混ぜて煮込まないと作れないらしい。
他はともかくチリソースはダチョウを焼く時でなければトゥール様は許してくれんし、赤ワインも手に入らん。
この世界で作ろうとしてもブドウがないしなぁ。
「お兄ちゃん、そろそろ始めないと油が引火しちゃうよ?」
「おっと、危ない所だった」
まあ、あのバーベキューソースは作りたいが今はどうしようもないし……一旦忘れよう。
よし、全部揚げた。
後は仕上げだが俺達の分は先に言ったコロッケパンでいいとして……
可愛い妹の分はティーチャー風に、コッペパンを横半分にカットしたら鉄板を2枚使って潰しながら焼く。
焼けたらソースを塗って更に炙って、薄切りのトマトとレタスにコロッケを挟んでやる。
確かパニーニ風ホットサンド……とか言ってたな。
ティーチャーはフランスパンで作ってたがこの世界にはないからコッペパンで作ったが……まあ大丈夫だろ。
「よし、そろそろ夕飯にするか」
「じゃあキャリちゃん、手を洗いに行こうね」
「はーい!」
因みにあの時ジョニーさんがバターで作っていたのはまさかの石鹸だった。
元はキャリが作ったバターだからと半分ぐらい貰ったんだがこれが中々いい物で、手を洗う以外に風呂でも使える。
まあ少々バター臭いというか、ミルク臭いというか……ベーコンとエビフライが涎を足らしながら俺に噛み付こうとしたから女性陣だけに使って貰おう。
「ほわぁ……このベーコンのスープが美味いやんか」
「これは美味しい、コショウの刺激も丁度いい」
今回作ったベーコンスープは基本的な奴で、ここにトマトやジャガイモ、キャベツなんかを入れても美味い。
それに食べやすいから妊婦にもいいし、3日に一度は作ろう。
「コロッケパン美味しい!」
「ヒャー!」
「久しぶりのパニーニサンド、美味しい!」
キャリもコロッケパンを気に入った様だな……だが熱かったのかベーコンがまだ口を付けていない。
まあ猫だし、猫舌に決まってるわな。
次からは少し冷ましてからにしてやろう。
「……パパ、イチゴお姉ちゃんの食べてるコロッケパンも食べたい!」
「よし、すぐに焼くから少し待ってくれよ」
「はーい!」
さて、どうせタープとマリアにレクタさんも食いたいと言うだろうから人数分焼くとするか。
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