Shine

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第一幕

家族

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「ただいまー」


玄関を開けると部屋の中の暖かい空気が俺を包んだ。


「お兄ちゃんおかえりー、今日の夜ご飯ハンバーグだって!もう出来てるらしいから早くしてね!」


妹のシトリンが慌てた様子で階段から降りてきた。
ハンバーグはシトリンの大好物だ。勿論、俺の大好物でもある。


「分かったよ。そんな急がなくてもハンバーグは逃げないよ」

「あ、そっか!」


自室に行き、外套をハンガーに掛けクローゼットの中にしまった。部屋着に着替えてリビングへ向かった。


「お兄ちゃん早くしてよー」

「はいはい」


椅子に腰を掛け、胸の前で手を合わせた。父さんのいただきますの合図で一斉に食事を始めた。

...美味い!
母さんの作るハンバーグはいつ食べても美味しい。
ハンバーグから溢れ出す肉汁が口の中に広がって、幸せな気分になる。
隣に座っているシトリンも満足そうにハンバーグを頬張っている。


「そういえば今日、転校生が来たんだ」

「え、転校生!? お兄ちゃんの学校、相当頭良い人しか編入出来ないのに?」

「そうなんだよなー。カイヤ=ドゥンケルハイトってやつなんだけど...父さんと母さん、知ってるよな?」

「...カイヤ=ドゥンケルハイトって、あの有名ピアニストじゃないか!」

「数年前に音楽業界から消え去った子よね?」

「うん、まさにそいつ。早速友達になったよ。意外と話しやすいやつだったし、生でピアノ演奏聴けたし」

「そう、良かったわね」

「うん」


カイヤの報告をして再びハンバーグを食べようとした時、父さんが何か言いたげに俺の方を見ていた。


「どうしたの、父さん?」

「あ、いや...その」

「ん?」

「.....カイヤ君の演奏を聴いて、もう一度歌ってみたいとか...思わなかったか?」

「.....んな訳ないじゃん。俺、腹一杯だから上行くな。ごちそうさまでした!」

「ちょっ、ナイト!...全く、まだご飯余ってるじゃない」


母さんの声を無視し、二階にある自室に駆け込んだ。膝から崩れ落ちるようにしてベッドに倒れた。

完璧に図星だった。
でも、カイヤのピアノの音を聴いていると、思わず歌ってしまいそうになったのは事実だ。喉元まで出かけていた声を必死に抑えていた。
父さんの言う通り、もう一度歌ってみたいと思った。
...でも、


「俺にはもう、出来っこないんだよ...」


弱々しく呟いた言葉は静かに消えていった。 


窓から差し込む月明かりに照らされながら、いつの間にか眠りについていた。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

関谷俊博
2016.08.19 関谷俊博

音楽に溢れた街。設定がとてもいいですね。
続きを楽しみにしています。

2016.08.20

感想ありがとうございます。
これからも頑張りますので、よろしくお願いします

解除

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