最低な出会いから濃密な愛を知る

あん蜜

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第三十一話 朝から

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ぬ、ぷ――――

 どうしたらいいのかがわからない感覚に、鼓動が激しく騒ぐ。

(ぁ…………ぇ………………っっ)

 何が起きているかを考え、一応答えが出た時、ベンがキスを止めて私を見つめた。
 目が合う。真剣で、かつ心配そうな眼差しをしている。

「平気か? 痛くねぇか?」

 私は頷きながら返事をした。

「はい…………痛く、ないですわ……っ」

「そうか……。今、どうなってるかわかるか?」

「……ぁ…………中、に…………っ」

「そうだ。ソフィアん中に俺の指が入ってる」

「っ……!!」

 言葉にされるとより実感が増し、よくわからない汗が出る。
 
「こわいか?」

 咄嗟に首を振るも、ベンはまだ少し不安げな顔をしている。

「痛くねぇか……?」

「はい……痛さはなく……ぁ……その……っ」

「ん?」

「っ……じんじんするような、感じがします…………っ」

「そうか……」

 ベンにじっと見つめられ、つい、目をそらしてしまう。

「っ……」

 ベンはじっと動かず、ただただ私を見つめている。

「意外だな。怒らねぇのか」

「……えっ?」

「『まだ結婚してないのにこのようなことっ……』とかなんとか言われるかと思ってな」

「っ……!」

「ソフィアの反応を見て決めるつもりだったんだ、最後までするかどうかを」

「……ぇ…………!!??」

「こんだけ受け入れてもらえてるってわかったんだ。もう止まれねぇぞ」

「!!!!」

 何か言葉を返す隙さえを与えぬようにか、ベンの指がゆっくりとやさしく動いた。

とん、とん――――

「えっ あっ……~~……ぇっ……~~……んぅっ」

 じんわりと気持ちいい感覚が少しずつ大きくなっていく。
 突如不安になり、ベンの顔を見る。

「~~っ……ベンさまっ……なんだか……ぁっ……だめぇっ」

「熱ぃか?」

「んぅっ……熱くてっ……変なのです……っ! なんだか……体がっ」

「大丈夫だ」

(本当にっ!? 何かが……何かがきそうっ!!)

 そう思った直後、

「っ――――!!!!」

ビクビクンッ ビクンッ……ビクッ……

 気持ちいいのがより一層膨れ上がり、全身が巨大な快感でいっぱいになった。

「はぁぁーー……はぁぁーー…………はぁぁーー…………」

 大きく呼吸をしながら、心も頭も初めての経験に興奮冷めやらぬといった具合にざわついている。

(あああ……ど、どうすればいいのかしらっ……この気持ちはどうすればっ……! き、気持ち良すぎてどうしたらいいのかしら……っ!!!!)

 心地よい余韻を感じながら、今の出来事を思いだし噛みしめてしまう。自分の体はどうなってしまうのかと不安に包まれながらも、いざ快感の波が最高潮に膨れ上がると不安は瞬時に消え去りただただ大きな快感と幸福感でいっぱいになったのだ。

「はぁ……はぁ……ベンさま……はぁ……」

「気持ちよかったか?」

 恥ずかしながらも、コクコクと頷く。

「じゃあもう一回だな」

「……えっ――」

とん――――とん――――――

「ぁああっ……!!」

 また気持ちいいところが刺激され、快感の波がざわめき立つ。

「っ……んぁぁっ……ベン様っ、そこはっ……」

「わかってる。ここだろ?」

「~~~~っ……ぁ……っ……~~~~……~~~~~~っ――――」

ビクンッ ビクビクッ ビクッ……ヒクヒクッ……ヒクッ……

「はぁぁーー……はぁぁーー……っあぁ……はぁぁ……」

 一番強い快感が終わってもなお、気持ちいいのが続いているような気がする。大きな多幸感に包まれ、全身がもうお腹いっぱいのような感覚だ。
 だからなのか、この心地よさに包まれながら眠気が誘われてきた。

「ベンさまぁ…………なんだか…………ぽわぽわして寝てしまいそうですわぁ……」

「ん? ソフィア……?」

「はぁぁー………………とっても…………気持ちぃぃ………………」

「…………ソフィ――――――――」







 目を開けて、昨夜の記憶が思い起こされ、いつのまにか寝てしまったのだと瞬時に悟った。

(…………私ったら……………………っ!!)

 隣を見ると、まだベンは寝ているようだ。私はそーっと体を起こし、静かにため息を吐いた。

(えっと……昨夜は…………ベン様が、指で……っ)

 あの気持ちよさを思い出しただけで鼓動が速くなるのがわかった。体もすぐに火照っていく。そんな自分がとても恥ずかしく、照れくさいような興奮しているような、叫びたくなるような、不思議な感じだ。

(きゃぁぁ…………ベン様の指が……私の……~~~~~~っ)

 自ずと両手で顔を覆い、ひとり高ぶってしまう。

「んん…………」

「!」

「あー……ソフィア……気分はどうだ?」

 ベンはおもむろに体を起こすと、ん~~~~と言いながら腕を伸ばした。

「はいっ! とても……いいですわ……」

「そうか。それは何より」

ぎゅっ

「ぁ…………っ」

 引き寄せられ、ベンの太ももに跨がるような体勢でぎゅっと抱きしめられる。

「はぁ…………幸せだ…………」

 ベンが幸せそうに息を吐きながらそう言うので、とても嬉しくて心がじわーんとあたたかくなる。

「私もっ……幸せでございますわ……!」

 ベンが腕を緩め、私の顔を見る。目が合うと、ベンははにかんだ笑顔で「そうか」と口にしたので、途端に体に何かが走るような、ズキュンという音がしたような気がした。

(っ……ベン様……ずるいわっ……)

ちゅ、ちゅ、ちゅぅ

 おでこや頬に優しく口づけられ、そのたびに胸がドキドキして幸せで熱くなる。

ちゅ――――――

 唇が重なり、なんて幸せな朝なのでしょう、なんて思った矢先、

もみ――

「っ!?」

もみ――もみ――――

 ベンの手が私の胸を揉み出したのだ。

「~~……~~~~っ」

(えっ そ、んな……朝から……っ)

 予想外の展開にドキドキが追いつかない。
 優しいキスが交わされながら、丁寧に胸がほぐされていく。

「ん……っ……~~~~……っ」

 しばらくの後、ベンは私を見つめながら胸を触っていない方の手で背中や首の後ろを触った。

「胸全体をやさしく触ってるだけってのに、驚くほど熱ぃな……」

「っ……それはっ……ベン様が……」

「ん?」

「ベン様がっ……私の体を……やさしく触ってくださるから……っ」

「ほぉ……そんなに俺に触られんのが嬉しくてたまんねぇのか」

「~~っ……そうですわっ……! こうして……ベン様と触れ合えることが幸せでっ、ドキドキして仕方がないのですわっ……!」

ぎゅぅぅ~~~~

「ん…………ぁっ…………」

 熱く抱きしめられ、ベンの体温と混ざり合っているような感覚で嬉し恥ずかしい気持ちが加速する。

「はぁ…………やべぇな……」

「……?」

「ちょいと触るだけにしておくつもりだったんだが、そんな嬉しいこと言われちまうとなあ……」

ぐいっ

「ぁっ……」

 手で支えられながら私の体が少し上にあがったかと思うと、ベンは口元を私の胸へと近づけた。

はむ――――――

「っ……!!??」

 あたたかさがネグリジェを通り越して胸、いや、主に乳首へと伝わってきた。

(ぇ…………ぇ…………えっ??)

 ベンが私の乳首を口に含んだことはわかる。わかってはいるのだが、すぐに気持ちや実感は追いついてくれない。

はむ――はむ――――

「ぁっ……ん……っ」

 唇でやさしく挟まれていく。

ねちゅぅ――――ぬちゅぅ――――

「~~っ……んぅ……っ」

 かと思ったら今度はねっとりと舌や唇で乳首全体が舐められていく。ベンの熱が伝わってきて心が慌て出す。
 ふと、次は何か、強い何かが来るのではと感じたのだが、その予感はすぐに現実となった。

ちゅぅっ――――

「っ――――!!」

ビクンッ

「っはぁ…………はぁ……」

(今……体が……っ)

カリカリ、カリカリ――――

「んぁぁっ! ぁっ……ベン様っ……!?」

 片方は指で、片方は口で乳首が愛撫され、大きな快感に胸がくらくらする。ベンの指も口も巧みに気持ちいい刺激ばかりを与えてくれるから、まるで感じていない時がないみたいに、ずっと体がビクビク震えているようだ。

ビクッ ビクンッ ビクッ

「あぁ……っ! ベンさま……はぅっ……あぁんぅっ」

(……………………!)

 こんな時にどうして気付いたのか不思議でたまらないが、気持ちよすぎるからこそこの気持ちよさに狂ってしまわないように押しとどめる自分もいて、きっとそんな自分がとある変化に気付いたのだと思う。私が今着ているネグリジェが、昨夜のそれと違うのだ。
 しかし着替えた覚えはない。昨夜は気持ち良すぎる快感に満たされそのまま寝てしまったのだから、自分で着替えたのではないとすると……

(ベン様が…………!?)
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