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第二章 あれれ?王都でドキ?はやすぎない?
ゴジュウキュウ
しおりを挟むそれではいざ出陣!
ということで、煌びやかに装われた馬車に乗り込む……。
うーん。
こんなところは、確かに乙女ゲームっぽいよねえ。
シンデレラの馬車みたいにキラッキラ☆だもの。
マジないわー。
なんなの、この乙女仕様な感じ。
これに乗るんですか?
マジないわー。
え?だめ?
そうですか、乗るんですね。
乗りましょう……。
まあ、姉様にはあってるからいいとしよう。
「さあ、ハル。」
「はあい。」
「ふふ、綺麗な馬車よねー。」
「ソウデスネー。」
「もう、ハルったら。」
「ふふ、ハルは男の子だから……、そんなに装飾には拘らないのさ。」
「そうですわね、自分のことをわかっていないくらいですもの。」
いや、わかってますよ?
ただねえ、どんなに綺麗でも可愛くても男なんですよ。
だから、キラキラはいらないよー。
フリフリましましもいらないんだよー。
「ほらほら、おしゃべりしていないで乗り込んでちょうだいな。」
「そうだぞ?後が使えてしまうだろう?」
「「「はーい。」」」
家族プラスルイくんが乗り込み、セバスは御者台に乗った。
横にはセシウス様が騎乗して追従する。
他には普通の馬車(俺はそっちがいいな)にアズリアが乗っている。
レイズ伯父とかは、城の警備らしいです。……当たり前か。
というわけで出発です。
はい、着きました。
近い?そりゃそうよ。
学園より近いもん。馬車で10分かかりません。場所はね?だって、王宮ですもん。
ただ、着いてからが長そうよ?
馬車が連なって、検査され中ですから。仕方ないよね?お城だもん。
だって、国の主要メンバーが揃うんだから。
攻めるのはいつ?
今でしょ!って感じだからね。
俺が魔王軍なら、今ヤルわ!
一発チュドーンで勝利じゃない?
終わりでしょ?
なのに、こーゆー時狙わないんだよね。
ほら、戦隊モノだってさ?
名乗ってる時にやっちゃえば勝つのに、なんで待っててあげるんかね?
悪の組織って、実はいい奴なんじゃない?
つまり、我が悪役一家もいい奴なんです!
ちなみに今魔王がきたら、俺はサクチュアリーシールドで家族だけ守りますけどね?
もちろん、王族は守る気ないので悪しからず。
おっと、うちの順番が来たようですよ?
「これは公爵様。言っていただけたらお待たせしませんでしたのに。」
「そういうわけには行くまい。まあ、そういう真似をする者はいくらでもいるがね。」
「はは……では、失礼いたします。」
苦笑しながらもセバスからの招待状を受け取り、中をあらためだす。たぶん、あまり見ずにすぐに通した馬車もあるんじゃない?
父がきちんと並んでいるのは、そうゆー輩が出ないようにってのもあるんだろうな。
だって、公爵様より先に割り込むなんて、普通の貴族ならしなでしょう?
あっちに並んでる馬鹿みたいにさ。
超キンキラキン馬車。
あれは、どこの誰が乗ってるんですかね?
うちも煌めいてはいますが、下品さはないよ?
でもアレはいただけません。
ショッキングピンクの下地にこれでもかと、金やらで装飾されてるんだけど……何というか急ぎでやらせたのか、単に職人の腕が悪いのか……メッキなんですかね?
ところどころ剥げてて、はっきり言って綺麗に見えないです。
という馬車に乗った人が吠えてます。
通せとか、招待状は?とか。
ちょっとした騒ぎになってますよ?
……あれ?
あのどっ!派手に着飾ったあの人たちって……。
つい、騒ぎを窓のカーテンを少し開けて見てしまいました!
な ん で ?
洋服が変わってるけど、あれって幸と愉快な仲間たち……ではなく、ヒロイン(仮)とその親じゃなかろうか?
え?もしかして、あんなことをあんなところでしておいて……貴族だったりするの?
というか、養女とかになるって話じゃないの?
俺の中で警鐘がなっています。
『あれに近いてはいけない!』と。
まあ、出来る限り回避だよ、回避。
でも、こんなとこで見かけるなんて……嫌な予感がムンムンですねえ。
「はい、確認大丈夫です。どうぞ、お通りを。」
「ああ。……しかし、アレはなんの騒ぎかね?」
「はあ、それが……招待状は無くしただけだから、入れろと。」
「ほお?名は聞いてるかね?」
「はい、それが……よくわからないことを言っておりまして。」
警備の騎士さんが汗汗しながらいうことにゃ。
招待状を無くしただけ→いやもう、盗まれたたならともかく、無くしたなんて不敬すぎでしょうよ!一発アウトの退場ですよ?
だって、王家の招待状よ?無くしたら貴方!大変なことですよ。
で、さらにわからないのが。
私は花浦になるはずだから、入れろ→えーっと?馬鹿なの?……馬鹿すぎだよね?いやもう、馬鹿なの?あ、馬鹿すぎて三回も言ってしまった。
とりあえず、転生者で間違いはないみたいだね。
でも……脳味噌足りてます?
たとえなるはずでも、今は違うよね?それに、なんでヒロインだとか言えるのかわかりません。
よーーーく、考えてほしい。
ここがゲーム世界だとして、ヒロインに転生したまでは、納得できますが、ヒロインが『私、ヒロインなの。よろしくね?』とか『私、ヒロインだから貴方は私を好きになるのよ。』とか『私、ヒロインだから魔王軍なんでやっつけられるわ。』なんて、いいますか?
そんな馬鹿なヒロインなんて、いないよね?
というか、そんなことを言い出すヒロインでプレイなんてしたくないわ!
いや、もう誰も買わねーわ!
ヒロインの性格が悪いなんて……絶対にプレイしたくないですよ?
あ……縄にかけられて連れて行かれた。
馬鹿だね。本当に……。
まじ、主人公なんでしょうかねえ。
まあ、そんなアクシデント(?)もありましたが、中に入るとまあ……金かかった広間だこと!
すげーわ。
「ハル、口が開いてるよ?」
「あっ。」
口開けてたわ。
だって、すごいんだもん。
「次に開けたままだと、キスで塞ぐよ?」
「開けないです。」
思わず、口を手で押さえてしまった。
「おや、残念。」
兄よ。少しでいいからTPOをわきまえてほしい。
兄は、本当にキスしてくるからね!全く周りの目を気にしないのも困ります/////。
「さて、行きたくないが陛下に挨拶せねばね。」
「できたら会わせたくない。」
「そうもいくまい。」
はあ、と父と兄がでかいため息をついた。
ちなみに、姉と王子の婚約はいったん白紙に戻ったらしいよ?
なんかね、『ディンゲル事件』のことを出したらあっさりだったみたい。まあ、でっかいカシだからね。
余談ですが、ディンゲルは今現在継承権を剥奪されて、北の離宮に母と幽閉されているみたいだけどね?
女性みたいに修道女的な立場はないんだよね。下手に神父にしたら力を持ちそうだもんね。
腐っても元王子だしね?二重の意味で腐ってますけど。
二度と会わなければそれでいいです。
さて、どうやら挨拶に行くみたいです。ちなみに俺は兄に抱っこされています。
……周りの視線が痛い。
特に女性の……。
すいませんね?
兄はもう予約済みの完売です。
誰にもやらんよ?
俺だけの『カレイド兄様』なんだからねっ!
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