上 下
169 / 178
第五章 ゲームカウントダウン?それとも開始とか?ヤバイんですが(泣)

169

しおりを挟む
「兄様ばっかり、またハルを堪能して、ずるいですわ。わたくし、今日は大変でしたのに……。」

食事のために食堂に行くと姉がボソリとつぶやいた。

「え!
大変って、何があったの!」

思わず声をあげてしまった。

「何か……って、いろいろよー。」


ふうっと息を吐く姉が、ポツリポツリと話していった。
かなりお疲れだったようです。
それというのも一つ授業が終わるごとにサーチスとルドガレスが教室に飛び込んできては、文句を言って帰るらしい。
『ハルくーん。あれ?ハルくんは?』と聞いてくる。
誰一人答えないと、
『おい、女。ハルはどこだ?』
とルドガレスが側にいる女の子の胸ぐらを掴むらしい。
それをマッケンくんが、
『君たちは、女性に対して何をしてるの?みてわからない?ハルはいないでしょう?』
と言って追い出すんだけど。
同じような会話が毎時間繰り返されるらしい。
もう、本当にクラス中が辟易するほど。
昼休みにいないとわかると、食事をしているそばで延々と嫌みやらを言い続けるんだとか……。
それは……。
『ハルをどこに隠したの?』
『ハルを閉じ込めてるの?』
『ハルを独占してるの?』
『ハルは僕を好きなのに!』
『僕とハルの仲を引き裂く気?』
『どーして、ハルがいないの!』
『ハルは僕と結ばれるべきなんだ!』
『ハルは僕のものなのに!』
……誰がお前のものやねん。
最初は、お疲れ様な姉に同情の目を向けていたのですが……途中から兄から冷気が漏れ始めました。

「なぜ、ハルを呼び捨てにするんだろうねえ?」

ピキピキって、グラスの中が凍った。
パリンっとグラスが割れてしまいまたよ……。

「に、兄様……?」
「あ、ああ、すまない。ついね。」

笑ってるけど、笑ってないよね?

「ふふ、一度、彼にはハルが一体誰のものか分からせたほうがいいだろうか?」
「ふふ、そうですわね。あなた?あなたもそう思いますわよね?」
「え、あ、ああ。二人、ともな、少し落ち着きなさい?」

兄と母はそっくりな笑みを浮かべて父を見ていた。

アレは怖い!
父様の顔が心なしか青いし。
隣の姉様も怯えて………いませんでした。
二人と同じ微笑を浮かべて父を見ていたよ……。

「そうでございます。旦那様。やはり、ハル坊っちゃまが誰の若奥様になられるのかハッキリとわからせた方がよございます。
……わたくし自ら参りましょうか?」
「セバス……。
うん、よし、わかった。そうだね、花浦男爵家とキレイナ侯爵家には苦情申し立ておこう。
それで改善されないようなら……そうだね、彼は巫女に認定されたのだったね?」
「はい、そうでございます。」
「なら、教会に……責任を取らせよう。大丈夫、二度とハルたちの前に現れないようにするよ?
……彼らが態度を改めないのなら…ね?」

ニヤリと笑った父様と冷たい微笑の兄たちと……。
後ろに控えるセバスと……。

……コレをショットに収めたら……『悪役一家の密談』というタイトルが付きそうなスチルになりそうです……。

セシウス様とルイくんの顔も青ざめているけど……それ以上は顔に出さないって、プロだからかな。

ちなみにハノエルは若干引いてます。


だって、怖いもの!




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

BL / 連載中 24h.ポイント:440pt お気に入り:5,597

あなたに愛や恋は求めません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:109,667pt お気に入り:8,824

最上級超能力者~明寿~ 社会人編 ☆主人公総攻め

BL / 連載中 24h.ポイント:553pt お気に入り:233

王妃となったアンゼリカ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:169,123pt お気に入り:7,830

幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:19,459pt お気に入り:3,529

異世界で魔道具にされた僕は、暗殺者に愛される

BL / 連載中 24h.ポイント:305pt お気に入り:965

人間三原則

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

腐違い貴婦人会に出席したら、今何故か騎士団長の妻をしてます…

BL / 連載中 24h.ポイント:29,957pt お気に入り:2,237

愛の軽薄さ

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...