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第五章 エルフの谷へ
♡4
しおりを挟む馬車にとりあえず、二人を運んだ。
黒い子の足はかなりひどい。
どうしたらこんなっ!
ヒール?ハイヒール?キュア?
もう、わからないから日本語でいいかしら?
「元に戻って!」
足の色が戻り、足首から先も元に戻った。
結界は、すでにイメージがあるからなのか、無詠唱でも発動できるみたい。
日本語でも詠唱になるのは楽だわね。
「姉様、すごい。」
「い、ちゃ、ない。」
「あとは、体の方には癒しでいいわね。ん、もう大丈夫かしら?
後は、ご飯ね。」
たぶん、長く食べてないわよね?
なら、と私はタマゴ粥を出したの。これなら、栄養もあるし消化もいいわ。
「はい、あーん。」
「あ?ん?」
アタシは、木のスプーン(金物じゃ熱いでしょ?)に粥をよそってから、ふーふーして食べさせてみたの。
「んぐ、ん、ん、ん、にゃー!」
目がキラキラ。
美味しかったみたい。よかったわ。
アタシはご飯をあげるのをエリちゃんに代わってもらって、もう一人の縞の子を見ることにしたわ。
エネルギーって、移せないかしら?
体の機能は治しても、このままじゃ体が弱るわ。
なんで点滴でもあればいいのに!
私は寝かせていた縞の子を抱き直し、自分からエネルギーを移すイメージをする。
ふわりと何かがアタシから浮かんで行った気するわ。
縞の子の頰が少しだけ、艶がでた?
その子が、ゆっくりと目を開ける。
アタシと目があったとたん、泣き出してしまった。
「に、に、にぃ、ど、どきょ、ぅ?」
「あ、ああ、大丈夫よ。お兄ちゃんはいるわよ?」
「こ、ここ、いる、よ。」
「にぃぃ。ひっ。く……。」
黒い子が頭を撫でると安心したみたいで、泣き止む。
「お、れ、いい、おとうと、あげるの。」
「え?ああ。大丈夫よ。それはあなたがしっかり食べてちょうだい。この子にもちゃんと、ね?あるでしょう?」
「あ、い。」
「さ、食べましょう。」
「んま!」
「そうよ。はい、あーん。」
と言ったら一緒にマシロも口が開いてしまった。
「ふふ、マシロには、これをあげるわね。」
とシャケのおにぎりを渡した。
「ありがと。サクちゃま。」
ムグムグと食べては、にぱぁっと笑う。
マシロは本当に天使ね。
あら?水色のホワホワが増えてるわ。アタシの周りを水色のホワホワが飛んでいた。
「ちぃー!」
「おいしい?よかったわ。二人にはお名前ある?」
「にゃまえ?なに?」
水分を取ったからか、少しだけ掠れていた声が戻ったみたいね。
でも、『名前』の存在さえ知らないなんて。
「まちろっていうの。」
マシロが自分を指して、名前を言った。
「ん、アレ?ちょれ?くじゅ?」
そう、呼ばれていたっていうの?
なんて、酷い!
「その言葉は名前じゃないわね。アタシがつけてもいい?」
「ん。」
「そうねえ……。」
水色と青を点滅するように黒い子にホワホワがまとわりついてるわ。
「ん、決めたわ。青い精霊に好かれて夜のように綺麗な髪と瞳。
うん、青夜にしましょう。」
「せい、や。俺のな、まえ。」
「弟くんは、綺麗な琥珀色の瞳ねえ。琥珀がいいわね。」
「にぃ、た。せ、いや?こ、は。く、なま、え?」
「そうよ?マシロもアタシがつけたの。」
「いっしょね!」
「「ん!」」
ご飯でお腹がぽんぽこになったら、二人ともおネムになったみたい。
話を聞くのは後にしましょう。
「サクちゃま。」
「なあに?」
「まちろ、せいやとこはくが、おきるのまってる。」
「そう。お兄ちゃんね。」
「ん、まちろ、お兄ちゃん。」
マシロは、たぶん心配なのね。
目が覚めてマシロがいたら安心すると思うし。
「はい、じゃあ。良い子のマシロにプレゼントよ。」
と渡したのは、絵本とお菓子。
マシロに字をおしえるつもりで絵本を創造していたの。
「きれい!ありあと!」
「はい。なんかあったら呼んでね?」
「はーい。」
アタシは、自分の服を一枚バラして、あの子たちの服を創造したわ。
一から創造できるんだけど、この世界の生地じゃなくなるのよ。
だから、創造で複製して数枚作ったわ。
マシロの服を参考にね。
「とりあえずは、他には骨しかなかったぜ。たぶん、大人のかな。」
「そう……。」
「姉様、あの子たちの奴隷紋は黒でした。」
「逃げてきたか、捨てられたか。か?」
「たぶん。種族はたぶんですがリンクス族です。」
リンクス……山猫系?
「リンクス族は、保護地区にいるんじゃないのか?」
「たぶん、密猟とか?」
密猟!
もう、亜人と呼ばれ、獣人と呼ばれる森の人は、なんでこう酷い扱いなの!
アタシ、本気で滅ぼすほうがいいんじゃないかしらって、思うのよ。
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