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レポ2〜明成と魔法〜

ごく潰しと言われたく………ないなあ。

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アキはまだ子供だし、安全面について考え勉強面でも考えて、当分はここでの生活が良いだろうということになった。
いや、こんだけ広いんだよ?離宮なんていらなくない?
この部屋で十分だよね?
奥の部屋だってさ、いわゆるパニックルーム的になってるんだよ?
窓もね、なんか魔法で守られていて開けるにはアキの許可が必要なんだって。

「アキ、強いのに?」
「強いからこそ、安心して休める場所が必要なんだよ。」
「ふーん、そうゆうもん?」
「そういうものだ。」

まあ、アキだけが寝るばかりじゃないもんね。王女様と王子様が一緒なんだもん。警備が厳重なのもうなずけるね。

「よろしいようですので、お荷物をお運びいたしても?」
「ああ、よろしく頼む。」
「アキも手伝うよ?」

無限収納インベントリあるし。

「アキ様、皆に仕事をまわすのも上の者の勤めにございます。」
「……でも。」

アキは基本、全て自分のことは自分でって生きてきた。だから、人任せはすごく苦手なんだ。

「アキ?」
「アキは自分のことは自分で………。仕事もしないごく潰しにはなりたくないの。」
「くふ。あの二人に聞かせてやりたいよねえ?」
「ほんとうにな!」
「3人の部屋としたら狭くない?」

3人の弟たちがやってきた。庭で別れたのだけど気になって見に来たみたい。

「アキには十分広いよ。」

一人にはなりたくないくらいに。

「アキもお仕事したいな。」

そうだよ、お仕事したら“ごくつぶし”じゃなくなるんじゃないの?アキの今までの集大成!そしたら、楽しいんじゃない?

「え?えーと。魔法師団も騎士団も………学校に行かないとだよ?」
「アキはなにかしたいの?」
「アキは整体師として働きたいの?だめ?」
「すまん、アキ。“せいたいし”とは?」
「この国にはないのかな?んーと、体のバランスを整えたり?痛みのある筋肉を戻していったり?とか?鍼灸師の資格も柔道整復師の資格も指圧師の資格もあるよ?ちなみに整形外科専門医も取得しています。すごい?すごいよね?アキは筋肉のために頑張ったの。」
「……すごいんだろうけど、よくわからない。それにそんな小さいのにどんだけつめこまれたの!」

リラが顔をゆがめながら叫んだ。

「ねえ、アキちゃん。わかってる?すごい異常なことなんだよ?魔力はあるのに魔法の使い方ひとつ知らなくて………なのに普通じゃないことを覚えさせられて………仕事なんか必要ない年なのに………ごく潰しになっちゃうとかって………子供なら当たり前なのに………なんで?なんで、甘えないの?」

えーと?中身が35歳だから?いや、85歳だっけ?
《だから、時間の概念ない空間だったの!普通に35歳で(シャットアウト)………》
子供でもお手伝いくらいは普通するでしょう?

「でも、りら。アキはただの人だよ?」

そうです、結婚相手が王族でも………この世界でもあの世界でもアキは、ただの清水明成でしかないのだ。
アキは大好きな筋肉について詳しくなればなるほど、勉強も資格も必要だと思ったのだもの。詰め込みすぎだといわれても。アキの理想の素敵筋肉には必要で、その筋肉を見つけるにも触るにもひつようなのだ。
だから大変ではあったけど苦ではなかった。
いつか理想の筋肉をメンテナンスするために、愛でるために必要なことだったから!
《その一言で………全てが台無し………》
シャットアウト!もう、うるさいんだから。

「でも、アキちゃんはまだ8歳なんだよ!」
「あ、そういえば。」

8歳という微妙なおとしでしたね。忘れてました。

「まま、リラ。アキは普通じゃないから。」
「そうそう。」
「アキ、申し訳ないが仕事は無理だ。」

とセディがすまなそうに言った。

「荷物も運び終わったしね。」

ルークの言葉にみまわすと確かになんだかいろいろと運び終わっていた。そして、すでにクローゼットなどにしまわれ中。
え?あの会話の間にって………どれだけ皆さん優秀なんですか?
あ、でもそれよりも。

「仕事はなんでだめ?」
「一番の理由は安全面だな。」
「そうですな。アキ様はご自分の価値がわかっておられないようですから。」
「まあ、それも理由の一つになるな。確かにアキが強いのもわかるのだ、だからその身だけの話ではなくてな。どうやら私は思っていた以上に嫉妬深いようだ。アキが私のいないところで他の者と話したりすることが想像するだけで耐えられないのだ。」
「私もなんだ。」

とセディとフロリアさんに言われたら………お仕事は我慢するしかないじゃない。
でも、じゃあ。

「なら、セディとフロリアさんの筋肉ならいい?」

そもそも理想の筋肉のための知識と技なんだもの。
欲を言えば、ミカエルさんとか、リアム君とかマッチョな兵士さんたちの筋肉も触りたいのだけども………アキが大人になれば………もう少し拘束が緩むかもしれない。
その時筋肉マンたちの筋肉を頼んでみよう。

「私たちの?」
「うん。だめ?」
「いや、それで我慢できるというなら。」
「わ、私もアキならかまわん。」

ということで、なんだか逆に得したみたい。
そうそう、アキのスキルに創造があったみたいだし《気づいてたのかよ…》再生魔法も練習してみよう。あと、研究はしてるんでしょう?それに魔法はあるって、言ってたし。
ただ、理解できないって。それも見せてもらって………この世界の再生魔法が使えなかったら。アキの再生魔法を作ったらいいんじゃないかな?ね?
楽しいね。
棚ボタのように二人の筋肉が触れるみたいだし。

「あ、そうだ。あとね、リアム君よんでくれる?」
「な、何故だ?」
「もちろん、お仕置?とかお礼とか?からかいとか?いろいろ?」

にーっこり笑ったのに、弟3人が青ざめたのはなんでかな?

くすくす、ただ足ツボ押ししてあげたいだけなのに………な。
疾風の銀狼について聞きながら。

「まあ、いいだろう。明日はリアムにアキの護衛についてもろう。」

とセディとフロリアさんが決めてくれたのだった。


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