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「例えばそれが事実だったとしても、実籾が意図的にバスを壊していないことの証明にはなっていないと思うが?」
「確かにそうですね。では、逆に問いますが――意図的にバスを壊すメリットとはなんでしょうか?」
反論してきた所長代理の指摘に、四街道はどこか涼しい顔をしながら質問で返す。
「そんなのはいくらでもあるだろう。会社に対する不満の現れとかストレスの発散とか……」
「実籾はそんな私利私欲のためにそんなことをするはずがありません。実籾身延は面倒な性格ですが基本は真面目な人間です」
「急に色眼鏡で実籾を見てどうしたんだ? まさか、実籾を贔屓してそれで押し通そう――だなんて思っていないよな?」
意地の悪い笑みを浮かべながら、そう気分が悪くなりそうな声音で所長代理は四街道を睨め付ける。
けれど、四街道はそれに臆することなく堂々としていた。
「ええ、その通り押し通すつもりですが何か問題でも?」
「問題でも――じゃないよ、四街道君! 君は何を言っているのか理解しているのかね? 君が言っているのは、実籾の疑いを自分の思い込みや感情で晴らす――ということなのだぞ!」
所長代理の荒げた声が会議室に響き、誰しもがその迫力に口を閉ざしてしまう。
ただ、四街道は何か策でもあるのか余裕綽々といった態度を崩さなかった。
「せっかく君を見直したところだったのに、まったく検討違いだったよ。こんな茶番は時間の無駄でしかない。さっさと実籾の処分について決めようじゃないか」
「残念ながらそれは出来ません」
周囲に問い掛けるような所長代理の発言を四街道は全面的に否定する。
「君、いい加減にしたまえよ! なぜ実籾がやったと認めんのだ。実籾が意図的にバスを壊した――それだけで全て解決することだろう?」
「そんなものは本物の解決ではありません。欺瞞に満ち溢れた偽物、予定調和によって作り上げられた嘘の塊でしかありません。それに――」
一度言葉を区切り、四街道は大きく息を吸って再度口を開いた。
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