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五月編 人生で一度は行きたいパワースポット巡り
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しおりを挟むお椀と呼ぶには大きく、丼と呼ぶには小さい――そんな蓋付きの容器が目の前にはあった。
蓋を開けていざご対面、……麺だけに。
器にはネギと薄い蒲鉾、鰹節のかかった太めのうどんが入っていた。
「おお、これが伊勢うどんか」
スープで満たされたものを想像していたので少し面食らった、……麺だけに。
油そば方式でよくかき混ぜて食べるらしい。
「いただきます」
「いただきます」
割り箸をパキッと割ってうどんをかき混ぜる。
熱々なのかうどんをかき混ぜると湯気が出てきた。
めちゃくちゃ美味そうだ。
ある程度混ぜたところでうどんを箸で掴もうとするが、思った以上に柔らかいのか掴んでもすぐに千切れてしまう。
そうか、柔らかいうどんなのか。
なんとか苦戦しつつ、箸でうどんを掴んで口に運ぶ。
「美味いな、これ」
うどんに絡みついたつゆが良い味を出している、出汁……だけに。
…………。
しばらくうどんを啜るだけの機械と化したのもあってすぐに完食してしまった。
お腹がじんわりと温かい。
ご馳走様でしたと声を掛けて店を後にした俺たちは、食後の散歩がてら周囲を散策することにした。
道沿いには時代劇に出てくるような昔の建物が立ち並び、店の前には納品のトラックやら車があちらこちらで路駐していて、忙しそうに荷物を店内へと運んでいる。
時間帯によっては車が立ち入れないようなので仕方がない。
素敵な景観が台無しと思うかもしれないけれど、今と昔が綯い交ぜになったシュールな光景もまた面白い。
「ATMでおみくじが出てくるのか、スゴイな」
創業当時の建物と言われてもしっくりくるような銀行では、ATMからおみくじが出てくるらしい。
確かに外宮でも内宮でもおみくじは見掛けなかったので、お土産として需要がある? のかもしれない。
なんだかんだウロウロしながらバス停に戻ってくると、ちょうど伊勢市駅のバスが出発していったところだった。
タイミングぅ……。
幸い次発もそこまで待たずに来るようだ。
というか、バス停の後方で既に待機していた。
「なんか長いバスだな」
「あれは連接バス、分離できない構造だから牽引免許は無くても法律上は運転出来るみたいよ」
「へえ……」
そうは言ってもバスの後ろに半分くらいのバスが繋がっている構造で、どう見ても牽引免許が必要なようにしか見えない。
神都ライナーと呼ばれる特急バスのようだ。
伊勢市駅や外宮、五十鈴川駅と内宮を往復しているらしい。
普通のバスより長い分、多くの乗客が運べるようだ。
だが、特急伊勢市駅・外宮と方向幕を表示した連接バスには俺たちしか乗っていなかった。
うん、まあ、平日の朝だしこの時間に外宮から駅に向かうお客さんは少ないよね……。
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