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第3章 二人の冒険
第24話 ギルドより殴り合い
しおりを挟むロロゼラ町に入り、俺がまず取った行動は………。
「町といえば食べ歩き!」
「それはいいが、お金はどうするのだ。我は全部ギルドに寄付したから無いぞ」
「何やってんの!?」
所持金0の状態じゃあ食べれない。前世でやった事のない食べ歩きの夢が散った。
「まあ………ギルドに向かうか」
「今度食わせてやるからな。なぁ?」
とぼとぼとギルドに行くと、入り口前が賑わっていた。何をやっているのか気になり、人を退けながらその場所に進んでいく。
何やら少年に怒鳴っているようで、髭が濃いワイルドチックな顔を歪めながら少年を睨み付けている。
「何があったんですか」
「?見かけない奴だね。外から来たのかい?」
質問しただけで、外から来た事を知った大人びた女性。俺は慌てずに、正直に話す。
「はい。知り合いがロロゼラと縁があるらしいので、ここに来たんです。あと、ギルド登録も」
「そうだったのか。わざわざ来てくれてこの町も喜ぶよ。ああ、さっきの質問だがあそこにいる少年とぶつかって、酒が服にかかっただけで怒っているんだよ。運が悪いことにあの髭はAランクだから、誰も止めようとしないのさ」
「誰も、ですか?………Aランクというだけで?」
「この町は上級ランクは少ないからな……。いわばAランクは一番偉いと町長が宣伝して以来、ああなった。私も止めたいけど……力の差がありすぎて見ることしかできない」
「……………悔しくないんですか?」
追い討ちをかけると、女性は哀しそうな顔で少年を見ている。少年は今も殴られ、痛々しい痣が浮かんでいる。
たかがAランク?それよりも暴力は悪いだろ。本当に冒険者と思った。
(見捨てる奴は馬鹿だ。それでも冒険者かよ)
俺は周りに怒りを覚えながら、少年の元へ歩いていく。
Jは俺を止めないと言うことは、やってもいいと言っている様なものだ。丁度身体が鈍ってきていたので、運動に丁度良い。前に出た事で、俺に対する視線が肌でも感じられる。
「おい。大丈夫か?」
「……………」
どうやら気絶している様なので、俺は近くの人に呼び掛け、少年を運ばせる。男性はまだ苛立っているらしく、殺意が俺に向けられた。
「ああぁー?なに連れていくんだよ。まだ殴り足りねぇぞ」
「子供を殴ったら即警察行きだな。さて、何で苛ついているのか、聞かせてもらおうか」
「ぶつかって酒がかかっちまったんだ。あいつが口答えするから殴ってやった」
「それだけで?」
「ぶつかったのが悪いんだ。俺はAランクだぞっ?偉いんだぞ?なんならお前が謝ってら、許してやるよ」
その為に来たわけじゃない。
「謝るなら子供に謝れ」
「はぁ?普通はそっちが謝るべきだろー?俺は悪くない!」
「酒を持っていなかったら、あんな事にならなかった。A ランク?それはギルドだけの話だ。ギルドじゃなかったらすぐに捕まってるよ」
これだから酔っ払ってる奴は嫌いなんだ。その体型なら持ち上げられるなと、考えながら男性に近づく。
「もしこのまま続けていたら死んでいたんだぞ。それを知らず知らずに殴り続ける奴は馬鹿だ。人の命を軽く見るな。俺はそういう奴をいつも見てきた………」
「へぇ!弱者が口答えしやがって………。弱者は弱者らしく従っていればいいんだっ!Aランクに口答えした事を後悔させてやるよ!」
男性は背負っていた両手剣を振りかざす。周りからは「避けて!」と叫ぶ者もいた。
なんだ。この程度か。振り下ろされた両手剣を右手で受け止めた。右手から赤い液体が零れ落ちたが、俺は一握りで両手剣の先端を砕いた。
「誰が弱者だって?」
「くっ!この化物がああぁぁぁぁ!」
砕けた両手剣で突進してきた。殺気立てているその目は狂気に溢れている。
俺は早速、邪竜の魔眼で男性の腹を殴り付ける。
「ぐぅっ。小僧、が……調子に………」
「調子に乗ってるのはお前の方だ。大人しく寝転がっていろ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
男性は血を流しながら、気を失った。すると周りから歓声が響くと、あの女性が近づいてくる。
「お前凄いな!あの熊野郎を倒すなんて、只者じゃないなー」
「いえ、少し苛立っただけで……。子供を虐めてる姿を見たくなかったから」
「それでもだ!反省の色もなかった奴だから助かったよ!期待の新人がギルドに入るなら大歓迎だ。こっちに来な」
女性は嬉しそうに俺の手を握る。ギルドを案内する前に、あの少年の事が気になった。
「少年は大丈夫なんですか。痣とか、血が」
「それなら問題ない。致命傷まではいかなかったらしいし、医師に任せてある」
「良かった……」
一命を取り止めた様で、俺は心から安心した。助けてもそこで死んでしまったら、助けた意味がない。
Jは散り散りになった人達を除けしながら、安心した目で俺を見る。
「初めてにしては上手かったぞ。バハムートとは違う戦闘はどうだった」
「いやいや。(バハムートと)戦ってはないからな?あれは助かる為にやっただけで……」
喋ろうとしたが、入り口で女性が待っている。待たせるのも悪いので、一応Jも連れていく。
「すいません。遅れました」
「別に大丈夫だよ。それから、隣にいる女性は………?」
「あ、さっき言った知り合いです。名前は………」
ここでヴィルヘルムと言おうか、いつも通りJと言っていいのか分からなかった。Jは悩んでいる俺を見て、口を開いた。
「私はJと言います。リューがご迷惑をお掛けして申し訳ございません」
Jが作り笑いをしている………だと。しかも私とか……。
「そんな事はない。むしろ感謝している。その青年がギルドに入るとなると、歓迎の言葉しかない」
「それは有難い限りです。私は前にここでギルド登録した事があるんですよ。それでリューもギルド登録がしたいと言い出したので、ここを紹介したんです」
「それはこちらとしては有難い。リューと言ったな。こっちに来なさい」
「え?はい」
Jらしからぬ演技で固まっていたが、いきなり声を掛けられ俺は女性に近づく。すると目の前に手を差し出した。
「言い忘れていたが、私はここのギルドマスターをしているジェシカだ。リュー。お前を歓迎しよう」
「ぎ、ギルドマスター?お偉い人だったんですか?」
姉御と親しまれる人だと思っていたが、姉御より上だったとは予想外だ。
「固まる事はない。さっきみたいな言葉遣いでいい。いつも通りに接してくれ」
「………ところで、ジェシカさん。ここにいるのもアレなので、中に入りませんか?」
ジェシカさんは周りを見渡すと、まだかとばかりにギルドの皆さんが待っていた。ジェシカさんはそれに気づいてすぐ『ごめんな!今入るから!』と背中を押される。
「夢中になってしまったな。私は夢中になると周りが見えなくなるんだよ。………いつもこういう感じさ」
周囲が見えなく癖は誰でもある。遠慮しながら優しく笑いかける。
「大丈夫です。それよりもギルド登録はどこで………?」
「登録は受け付け前でやっている。行ってみるといい」
「ありがとう。また何かあったらお願いします」
「ああ。こちらこそ」
握手を交わしあい、ジェシカさんと別れた。Jはすでに受け付けの人に話しかけている。
俺が登録する手続きをやっているらしい。
「リュー。ここに名前と性別を書いてくれ」
「おう。………ってここに職業が書いてあるけど、書かなくちゃダメなんじゃ……」
「そこは我が書く。職業は一回登録したら変えられないのだ。そこで………こう書いて……」
職業の空欄に書いたのは、『フリー』。
(職業とは言えないのでは?)
「何故フリーなんだ?」
「それは第21話にてだな」
「おい。メタいからやめろ」
紙を受け付けの人に渡す。すぐにギルドカードを渡されたが、俺のステータスらしき文章を見て、驚愕した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
◇アサヒ リュウスケ
種族 人間
職業 フリー
称号 シン・カグヤの加護、竜に愛されし者、最恐竜の弟子
ランク B
レベル 109
体力 1090/1042
魔力 1005
腕力 90514
素早さ 50000
スキル
子竜化、全魔法耐久、状態異常回復(自動)、腕力調整、危機回避、風力操作、ドラゴンボイス、威圧感、邪竜の魔眼、天竜の爪
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
何故こうなった………。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
三千文字いきました。長すぎますね……。
次回、ヒトミ、初めてのクエスト。
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