異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔

文字の大きさ
13 / 30

13話

「香草っ。香草ないですか!?」
「こっちにあるよ」

 ここは戦場だ。
 ホットサンドメーカーの使い方を里のエルフに教えるのも兼ねて、夕方には里で熊肉パーティーに。
 エルフも香草やハーブ類を持っていた。
 ハーブはお茶用に、スパイスはドワーフとの取引用だ。

「こうして蓋をして、肉なんでじっくり焼きましょう。時々ひっくり返して」
「どのくらい焼けばいいのだろうね」
「俺も肉を焼くのは初めてなんで、焼け具合は時々中を切って確認しましょう」
「そうするしかないか」

 宣言通り、時々肉を切って中の焼け具合を確かめる。
 あまり分厚く切ってないので、十数分ほどで肉は焼けた。

「もっとこれがあったらいいんだけど」
「ホットサンドメーカーか? そうだなぁ。肉用、野菜用とに分けると、大人数分を一度に焼けないよなぁ」
「やぁーん。真っ黒になっちゃったぁ」

 真っ黒!?
 ルナの悲鳴を聞いて振り向くと、彼女はキャベツを黒焦げにしていた。

「ルナッ。勿体ないでしょう!?」
「だってぇ」
「ルナ、火で炙り過ぎだ」
「ふえぇん。お料理って、難しいですぅ。ちょっと子供たちと遊んだだけなのにぃ」

 料理している時に、普通は遊ばない。たぶん。

「ホットサンドメーカーもだけど、普通に鍋とかフライパンも欲しい」
「この里にそんなものはないわ」
「じゃあお茶を淹れるとき、どうしているんだ?」
「どうって、火石を入れるのよ」

 火石?

「そこにあるでしょ」

 ネフィティアが指さすのは焚火の中。
 石を集めてコの字にして、中で火を燃やしている。ホットサンドメーカーをずっと持っているのも手首が付かれるので、柄の部分を乗せられるように作った簡易竈だ。
 その中で燃えているもの──

 竈を作ったのは俺だけど、火入れはエルフがやってくれた。

「え? 石を燃やしているのか!?」

 よく見ると木がない。ないから炭もでていない。

「火の精霊が宿る石よ。こうして火が出たり、熱を放つことが出来るわ。お湯を沸かすときは火じゃなく、熱を出して貰うのよ」
「他にもねぇ、光の精霊を宿した光石とかー、水石とかー、あるのぉ」
「へぇ。便利な世界だな」
「ただこれを作れるのは、精霊使いだけなんだよ。まぁ我々エルフは、子供以外なら大抵の者が作れるけれどね」

 つまり他の種族だと、精霊魔法の使える者だけが作れるって訳か。

「こういう便利なものはあるのに、調理器具は一切ないなんて……」
「料理をすると決めたのなら、やはり必要かねぇ」

 長老のひとりが考え込むようにして言う。
 そりゃあ必要でしょ。

「チッタの実や果物以外の食べ物を知ってしまうと、もう後戻りは出来ぬな」
「いや、後戻りとか、そんなたいそうなことじゃないと思いますけど」
「鍋やフライパンは、ドワーフと取引すれば手に入る。属性石を集めて交換して貰おう」
「ドワーフは生粋の鍛冶職人だからね。同時に彼らは精霊魔法を使えない。物々交換では、酒と同じぐらい属性石は喜ばれるんだ」

 五人の長老たちがそう教えてくれた。
 酒と同等っていうのが、なんともドワーフらしい。この世界のドワーフも、俺の知っているドワーフ像のまんまなようだ。

 そして属性石を作るために──

「モンスター狩りをしなくてはね」

 そう言った。





「精霊を宿した属性石は、モンスターを倒してドロップするクリスタルで作るの」
「クリスタル?」

 熊肉パーティーが終わって、俺たちはテントに戻って来た。
 腹いっぱい食べたから苦しい。お腹を休めるために、ウッドデッキに置いた椅子に腰かけて夜空を眺める。

「先日、あんたが倒したフォレスト・リザード。あれから出たでしょ」
「あぁ、あの赤い宝石のことか」
「あのクリスタルは、モンスターの核を破壊して倒した時にだけドロップする石なのよ」
「核を壊すとぉ、モンスターの中の……中のぉ……
「マナよ。それが結晶化して、クリスタルになるの」

 核が弱点だってのは聞いた。かなり硬いってこともだ。
 あんな大きな巨体でも、それさえ壊せば一瞬で死んでしまう。
 この世界のモンスターは、死ぬと黒い靄になって消えるそうだ。

 ん?
 じゃあ他の方法で倒した場合、どうなるんだ?

「核を破壊する以外でも、モンスターは倒せるんだよな?」

 体を起こしてウッドデッキに寝そべる二人を見下ろす。
 俺の膝の上にはいつの間にかやって来たスーモが座っていた。
 精霊だからなのか、重さを感じない。

「当たり前じゃない。むしろ他の方法で倒すことの方が多いわよ」
「じゃあ、その場合核はどうなるんだ?」
「腐るのでーすっ」
「え、腐る!?」

 二人は頷いた。

「モンスターが死ぬと、真っ先に核が腐ってしまうわ。そうなるとモンスターの体内のマナは四散して、結晶化されないのよ」
「代わりにモンスターがもやもやぁになるまで、三十分ぐらいあるのです」
「だから解体して素材を剥ぎ取る時間はあるわ。それに、時々だけど毛皮や鱗、角とか牙がマナを吸収して、上質な素材になることがあるわ」
「じゃあ、それを使って装備とか作ると?」
「そりゃあ全然違うわよ。この里ではお金を使わないから実際どのくらい違うのか分からないけど、ドワーフにマナ付素材を見せた時の反応が全然違うもの」

 なるほど。
 核を破壊すればモンスターを一瞬で倒せて、クリスタルが手に入る。
 普通に戦った場合は時間が掛かるが、解体して素材を剥ぐ時間が出来る。運が良ければレア素材ゲットも。

 クリスタルの需要もあるが、核の破壊は簡単ではない──らしい。
  
「核の破壊は、そのモンスターより強い力での攻撃というのが絶対条件なのよ」
「じゃあ弱いモンスターなら取れやすい?」
「えぇ。その代わり、取れるクリスタルはとても小さいわ」

 このぐらい──と隣のルナが指で示す。
 ビー玉よりも小さい。

「これぐらいだとだいたい連続使用時間が十時間もないのよ」
「そっか。じゃあ俺もクリスタル集めに協力しなきゃな」

あなたにおすすめの小説

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!

寿明結未(ことぶき・あゆみ)
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。 皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。 この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。 召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。 確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!? 「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」 気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。 ★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします! ★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆ 毎日朝7時更新! 「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」 過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。 絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!? 伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!? 追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!