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元魔王は洗濯をする。
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翌朝、部屋着から学徒用法衣に着替えようとすると、何故か法衣が泥だらけに。
支給されているのは三着。それが全て泥だらけとは……。
洗濯は見習い神官の仕事であったか。きっと忙しくて、汚れ物を見逃していたのだろう。
ま、この程度の汚れなど――
「ふんっ。ド田舎領主の息子にはお似合いの格好だな」
「洗浄《アクアバブル》」
瞬きする間に綺麗になる。
ふ。玉座から半径五メートルしか行動出来なかった魔王《ぼく》にとって、魔法で全て解決することなど朝飯前だ。魔王の時に朝飯など食べていなかったが。
「なっ――き、貴様、何をした!?」
「ん? 洗濯をしたのだけれど。あ、早く食堂へ行かねば、席が無くなってしまうぞデリントン。さぁ、行こう!」
「こ、断るっ! お、俺は――」
顔を真っ赤にさせ焦るような仕草のデリントン。
そうか!
彼は――
「便所か。邪魔をして悪かった。ではぼくは一足先に行っているから、ゆっくり用を足すといい」
「ちがっ――」
「いやいや、恥ずかしがることは無い。排泄は人間にとって大切な行為だ。ぼくも初めて排泄をしたとき、天にも昇る気持ちだった」
食事を必要としないということは、排泄も必要ない。それが魔王だ。
前世で出来なかった事を今世で初めて行う時は、常に至福のひと時に包まれていたものだ。
恥ずかしがるデリントンに気を使わせても申し訳ないし、さっさと食堂へと向かおう。
「おはよう、ルイン」
「おはようございます、ルインくん」
「やぁみんな。おはよう」
「昨日は凄かったなぁ、ルイン。さすが聖属性2だけはある」
「いやいや。植物を芽吹かせただけだし、未だに治癒は使えないし」
蔓なんて伸ばして喜んでなどいられない。
七年も掛かって未だ習得できない治癒に、若干うんざりしそうになる。
「いやいや、元気だしなよ。いつか使えるようになるって」
「そうよルインくん。きっと凄い魔力を持っているのよ」
そりゃあ魔力は高いが。高いだけではダメなのだと思い知らされた。
おそらく元魔王というのが聖属性魔法習得の邪魔をしているのだろう。
だがしかし!
努力すればいつかきっと習得できる!
その日までぼくは決して諦めない!!
「さて、今日も元気に朝食が美味しそうだ。どこで食べようかな」
「ルイン、こっちに来いよ。俺たちと一緒に食おうぜ」
「いいえ、ルインさま、こちらで私たちと一緒に――」
「俺たちが先に声を掛けたんだぞ!」
「関係ないわよっ」
「はっはっは。ではみんなで仲良く食べよう。その方がきっと楽しいぞ」
学友……なんて素晴らしいのだろう!
昨日に引き続き、上履き、及び外履きに画びょう事件が発生。
しかも今日は一足に数十個も入っていた。
誰かが備品を運ぶ最中にげた箱で転んだのだろうか。もしそうだとしたら無事だと良いのだが。
そして無事ではなかった数十個の押しピンたち。
気づかず足を入れたため、全てピンの部分が潰れるか折れてしまった。
昨日も備品管理者に謝罪して苦笑いされたというのに。しかも今回は――五十個はあるな。
うん。これは苦笑いでは済まないかもしれない。
それに五十個も破損させるのは勿体ない。
ならこうすれば良いな。
「"形成《フォルム》"」
両の掌に乗せた潰れ画びょうが、瞬時に元の形へと戻る。
どうせだからピンの鋭さを増してみたぞ!
さて、あとはこれをこっそり備品置き場に戻すだけだな。
ふふ。容易いクエストだ。
サクっと終わらせて食堂へ行くとするか。
就寝前の自由時間で、ラフィに剣術を教えねばならぬし。
そして今度こそ、フィリアの話を聞かねば。
そうと決まればレッツらゴー。
昼食時にもデリントンとは食事が出来なかったし、夕食こそは共にできるといいなぁ。
支給されているのは三着。それが全て泥だらけとは……。
洗濯は見習い神官の仕事であったか。きっと忙しくて、汚れ物を見逃していたのだろう。
ま、この程度の汚れなど――
「ふんっ。ド田舎領主の息子にはお似合いの格好だな」
「洗浄《アクアバブル》」
瞬きする間に綺麗になる。
ふ。玉座から半径五メートルしか行動出来なかった魔王《ぼく》にとって、魔法で全て解決することなど朝飯前だ。魔王の時に朝飯など食べていなかったが。
「なっ――き、貴様、何をした!?」
「ん? 洗濯をしたのだけれど。あ、早く食堂へ行かねば、席が無くなってしまうぞデリントン。さぁ、行こう!」
「こ、断るっ! お、俺は――」
顔を真っ赤にさせ焦るような仕草のデリントン。
そうか!
彼は――
「便所か。邪魔をして悪かった。ではぼくは一足先に行っているから、ゆっくり用を足すといい」
「ちがっ――」
「いやいや、恥ずかしがることは無い。排泄は人間にとって大切な行為だ。ぼくも初めて排泄をしたとき、天にも昇る気持ちだった」
食事を必要としないということは、排泄も必要ない。それが魔王だ。
前世で出来なかった事を今世で初めて行う時は、常に至福のひと時に包まれていたものだ。
恥ずかしがるデリントンに気を使わせても申し訳ないし、さっさと食堂へと向かおう。
「おはよう、ルイン」
「おはようございます、ルインくん」
「やぁみんな。おはよう」
「昨日は凄かったなぁ、ルイン。さすが聖属性2だけはある」
「いやいや。植物を芽吹かせただけだし、未だに治癒は使えないし」
蔓なんて伸ばして喜んでなどいられない。
七年も掛かって未だ習得できない治癒に、若干うんざりしそうになる。
「いやいや、元気だしなよ。いつか使えるようになるって」
「そうよルインくん。きっと凄い魔力を持っているのよ」
そりゃあ魔力は高いが。高いだけではダメなのだと思い知らされた。
おそらく元魔王というのが聖属性魔法習得の邪魔をしているのだろう。
だがしかし!
努力すればいつかきっと習得できる!
その日までぼくは決して諦めない!!
「さて、今日も元気に朝食が美味しそうだ。どこで食べようかな」
「ルイン、こっちに来いよ。俺たちと一緒に食おうぜ」
「いいえ、ルインさま、こちらで私たちと一緒に――」
「俺たちが先に声を掛けたんだぞ!」
「関係ないわよっ」
「はっはっは。ではみんなで仲良く食べよう。その方がきっと楽しいぞ」
学友……なんて素晴らしいのだろう!
昨日に引き続き、上履き、及び外履きに画びょう事件が発生。
しかも今日は一足に数十個も入っていた。
誰かが備品を運ぶ最中にげた箱で転んだのだろうか。もしそうだとしたら無事だと良いのだが。
そして無事ではなかった数十個の押しピンたち。
気づかず足を入れたため、全てピンの部分が潰れるか折れてしまった。
昨日も備品管理者に謝罪して苦笑いされたというのに。しかも今回は――五十個はあるな。
うん。これは苦笑いでは済まないかもしれない。
それに五十個も破損させるのは勿体ない。
ならこうすれば良いな。
「"形成《フォルム》"」
両の掌に乗せた潰れ画びょうが、瞬時に元の形へと戻る。
どうせだからピンの鋭さを増してみたぞ!
さて、あとはこれをこっそり備品置き場に戻すだけだな。
ふふ。容易いクエストだ。
サクっと終わらせて食堂へ行くとするか。
就寝前の自由時間で、ラフィに剣術を教えねばならぬし。
そして今度こそ、フィリアの話を聞かねば。
そうと決まればレッツらゴー。
昼食時にもデリントンとは食事が出来なかったし、夕食こそは共にできるといいなぁ。
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