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女装と復讐 -発起編-
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『アンナさん…僕をこんなに綺麗にメイクしてくれて…けど、何の期待にも応えられなくて…ごめんなさい』
アンナさんは驚いた顔をした。
『え、ぁ…ううん。何も気にしないで。あなたをメイクしてて私、すっごく楽しませてもらったから』
突然、僕の目の前に白い紙片が差し出された。菊江さんから。
…これ、名刺?
『可愛いお兄ちゃん。もし思い返して、やっぱり働きたいとか、お金に困ったときは、ここに電話してちょうだい』
僕は名刺を両手で受け取った。
【おかまバー・菊次郎の夜 携帯☎︎:080…】
…菊次郎の夜…。
これって、日本文学への冒涜じゃない…?このお店の名前。
僕はこの店名に、つい一瞬イラッとしてしまった…。
『あっ、ちょっと待ってて!』
そう言いながらアンナさんは、慌ててこの特別客室を出ていくと、しばらくしてまた戻ってきた。
『念のためにね。ここの名刺も渡しておくわ』
僕はアンナさんから受け取った名刺を見た。あの読めなかったフランス語らしき美容院の名前が書いてある。
『アンナさん、この店名【cloche dorée】って、何て読むんですか?』
『あ、それね。【クローシュ・ドレ】って読むの。《金色の鐘》って意味よ』
クローシュ・ドレ…へぇ。そう読むんだ…。
『じゃ、そろそろクレンジング始めようかしら…ね』
僕は、なんだか凄く申し訳ない気分になって…そして最後に、僕の女の子顔を記憶に焼き付けておこうと、もう一度だけ鏡をじーっと見る。
鏡に映る、その申し訳なさそうな複雑な表情が…まためちゃくちゃ可愛く見えた…。
『さぁ、もう一度椅子に座って』
僕はアンナさんの顔を見てウンと頷くと、振り返って椅子に戻り座った。
『…クレンジングを始める前に…最後に一言だけ言っておくわね…』
アンナさんは僕に『メイクしたあなたの顔、ちゃんと目に焼き付けた?』と訊いてきたから『はい』と答えた。
『…私は、瀬ヶ池の女の子たちを、そりゃもう数え切れないほどメイクしてきたし、メイクした顔をたくさん見てきた…』
僕は鏡に映る、僕の横に立つアンナさんと視線を合わせた。
『…あなたは《綺麗》だとか《美人》っていう方向性では、ちょっと勝ち目はないかもしれない…』
…勝ち目?
『…だけど《可愛い》という方向性なら、あなたは…あの何千人と集まる瀬ヶ池の女の子たちのなかでも、上位の10人に入るだけのメイクルックスを持ってるわ。そう断言する。だから自信を持って』
あの、瀬ヶ池に集まる何千人というお洒落な女の子たちのなかで…上位の10人!?自信を持って!?って…マジで!?
アンナさんは驚いた顔をした。
『え、ぁ…ううん。何も気にしないで。あなたをメイクしてて私、すっごく楽しませてもらったから』
突然、僕の目の前に白い紙片が差し出された。菊江さんから。
…これ、名刺?
『可愛いお兄ちゃん。もし思い返して、やっぱり働きたいとか、お金に困ったときは、ここに電話してちょうだい』
僕は名刺を両手で受け取った。
【おかまバー・菊次郎の夜 携帯☎︎:080…】
…菊次郎の夜…。
これって、日本文学への冒涜じゃない…?このお店の名前。
僕はこの店名に、つい一瞬イラッとしてしまった…。
『あっ、ちょっと待ってて!』
そう言いながらアンナさんは、慌ててこの特別客室を出ていくと、しばらくしてまた戻ってきた。
『念のためにね。ここの名刺も渡しておくわ』
僕はアンナさんから受け取った名刺を見た。あの読めなかったフランス語らしき美容院の名前が書いてある。
『アンナさん、この店名【cloche dorée】って、何て読むんですか?』
『あ、それね。【クローシュ・ドレ】って読むの。《金色の鐘》って意味よ』
クローシュ・ドレ…へぇ。そう読むんだ…。
『じゃ、そろそろクレンジング始めようかしら…ね』
僕は、なんだか凄く申し訳ない気分になって…そして最後に、僕の女の子顔を記憶に焼き付けておこうと、もう一度だけ鏡をじーっと見る。
鏡に映る、その申し訳なさそうな複雑な表情が…まためちゃくちゃ可愛く見えた…。
『さぁ、もう一度椅子に座って』
僕はアンナさんの顔を見てウンと頷くと、振り返って椅子に戻り座った。
『…クレンジングを始める前に…最後に一言だけ言っておくわね…』
アンナさんは僕に『メイクしたあなたの顔、ちゃんと目に焼き付けた?』と訊いてきたから『はい』と答えた。
『…私は、瀬ヶ池の女の子たちを、そりゃもう数え切れないほどメイクしてきたし、メイクした顔をたくさん見てきた…』
僕は鏡に映る、僕の横に立つアンナさんと視線を合わせた。
『…あなたは《綺麗》だとか《美人》っていう方向性では、ちょっと勝ち目はないかもしれない…』
…勝ち目?
『…だけど《可愛い》という方向性なら、あなたは…あの何千人と集まる瀬ヶ池の女の子たちのなかでも、上位の10人に入るだけのメイクルックスを持ってるわ。そう断言する。だから自信を持って』
あの、瀬ヶ池に集まる何千人というお洒落な女の子たちのなかで…上位の10人!?自信を持って!?って…マジで!?
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