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女装と復讐 -発起編-
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『…でさぁー、そのケイオス・オメガドラゴンってのがぁー、めっちゃくちゃ強くってさぁー』
大学の学生食堂。目の前の席に、あの百貫デブの竹林吉雄だ…正直…目障り。
『信吾も始めろよー。せっかくパソコン持ってんのに、やらないのは勿体ないってー』
『いや…いいよ。僕はやらない』
僕は目を合わせないように、コンソメスープをじっと見ながら、それをスプーンで掬って口に運び啜る。
『お前も最近、変わったよなー。眉毛なんか細くてカッコよくなってるしー』
『……。』
それだけ言うと吉雄は立ち上がり、のっしのっしと離れていった。そのデカい背中を僕は目で追う…。
吉雄は吉雄で、そのネトゲ仲間を2人見つけたらしく、そっちで宜しくやっている。その方が僕にとっても都合がいい。
…ほら、やっぱりだ。その2人の目の前の席に座った百貫デブ。
もし、僕がそのネトゲをやってたとしても、吉雄には《やってる》なんて言わないな。絶対。
…そういえば、先々週の土曜日。あの夜の帰り際にアンナさんは言ってた。『詩織の態度を見たでしょ?まずまずの好スタートね』って。
初めは、その意味がよく解らなかった。僕の身長や体重を訊いてきて、一喜一憂してたり…。
あと、僕が宮学の学生だって言ったら、急に気を荒立ててたし…ただ僕に突っ掛かってきてただけだ。
けどそれが、好スタートの証拠なんだとか。
『あなたの女の子メイクと女装は、あの詩織の女の子としての競争心やライバル心を、目覚めさせるほどの可愛さを発揮してた』って。
『それが証拠よ』って。
普段の詩織は、少々可愛い女の子がいても鼻も引っ掛けない…つまり、全く相手にしないらしい。
気にもしないというか、全く眼中にない…というか。
…なのに、可愛く女装した僕に突っ掛かってきて…って、まぁいいや。
僕の女装は彼女のライバルじゃない。パートナーなんだから。
僕は大学からの帰り…自宅アパートとは反対方向へ向かう電車に乗る。これは先週から毎晩始めたことだ。
藤浦市浅見区内の小窪という駅で降り、駅前の《園原社交ダンス教室》という看板の掲げられた雑居ビルに入ってゆく。
なにも社交ダンスを始めたわけじゃない。
狭い階段を上がり、雑居ビルの2階へ…僕はゆっくりとドアを開け、明るい広々としたフロアの一番奥にいるおばさん…って言ったら大変失礼…に、一礼した。
『智恵先生、こんばんは』
『信吾くん、こんばんは。じゃ、早速準備して』
大学の学生食堂。目の前の席に、あの百貫デブの竹林吉雄だ…正直…目障り。
『信吾も始めろよー。せっかくパソコン持ってんのに、やらないのは勿体ないってー』
『いや…いいよ。僕はやらない』
僕は目を合わせないように、コンソメスープをじっと見ながら、それをスプーンで掬って口に運び啜る。
『お前も最近、変わったよなー。眉毛なんか細くてカッコよくなってるしー』
『……。』
それだけ言うと吉雄は立ち上がり、のっしのっしと離れていった。そのデカい背中を僕は目で追う…。
吉雄は吉雄で、そのネトゲ仲間を2人見つけたらしく、そっちで宜しくやっている。その方が僕にとっても都合がいい。
…ほら、やっぱりだ。その2人の目の前の席に座った百貫デブ。
もし、僕がそのネトゲをやってたとしても、吉雄には《やってる》なんて言わないな。絶対。
…そういえば、先々週の土曜日。あの夜の帰り際にアンナさんは言ってた。『詩織の態度を見たでしょ?まずまずの好スタートね』って。
初めは、その意味がよく解らなかった。僕の身長や体重を訊いてきて、一喜一憂してたり…。
あと、僕が宮学の学生だって言ったら、急に気を荒立ててたし…ただ僕に突っ掛かってきてただけだ。
けどそれが、好スタートの証拠なんだとか。
『あなたの女の子メイクと女装は、あの詩織の女の子としての競争心やライバル心を、目覚めさせるほどの可愛さを発揮してた』って。
『それが証拠よ』って。
普段の詩織は、少々可愛い女の子がいても鼻も引っ掛けない…つまり、全く相手にしないらしい。
気にもしないというか、全く眼中にない…というか。
…なのに、可愛く女装した僕に突っ掛かってきて…って、まぁいいや。
僕の女装は彼女のライバルじゃない。パートナーなんだから。
僕は大学からの帰り…自宅アパートとは反対方向へ向かう電車に乗る。これは先週から毎晩始めたことだ。
藤浦市浅見区内の小窪という駅で降り、駅前の《園原社交ダンス教室》という看板の掲げられた雑居ビルに入ってゆく。
なにも社交ダンスを始めたわけじゃない。
狭い階段を上がり、雑居ビルの2階へ…僕はゆっくりとドアを開け、明るい広々としたフロアの一番奥にいるおばさん…って言ったら大変失礼…に、一礼した。
『智恵先生、こんばんは』
『信吾くん、こんばんは。じゃ、早速準備して』
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