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女装と復讐 -発起編-
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10月も中旬を過ぎて…第3週の木曜日。
僕は大学へ向かうため、アパートを出てJR上呼賀駅へと歩いている。
…そして、歩きながら考えていた。
智恵先生のダンス教室は、水曜日と土曜日が運営日。
なのに僕のためだけに…僕の要望に応えてくれて毎晩、先生は教室に来て僕に歩きのレッスンをしてくれている。
しかも、授業料は一切いらないとか…本当に智恵先生には申し訳ない気持ちでいっぱいだ…。
その副作用でひとつ、心配なこともある。
女の子らしい歩き方は、結構自然にできるようになってきた。
ただ…それを身につけたことで無意識のうちに、普段でも女の子みたいな歩き方をしてないだろうか…心配。
僕は急に両手をポケットに突っ込み、わざと大袈裟な大股歩きで、頭ん中で《男らしい歩き方》を模索しながら駅へと向かった。
「ちょ…あれ、ちょっと見てほら!」
大学に着くなり、今朝もまた聞こえてくる、僕のことを話題にした女学生らの声…。
「何何!?あの岩塚の歩き方…なんかポケットに手を突っ込んで、颯爽と歩いてるー!やばーっ!!」
「多分あれ…《男らしさ》を全面にアピールしてるんだよ!!」
「やだーぁ…瀬ヶ池の女の子らに全く相手にされないからって、遂にキャンパス内で私ら女学生全員に自分の《男アピール》始めたんだぁ…絶対そうだぁ!!」
「あいつ、なに恋に飢えてんの?…マジでキモいんだけど…」
「…だよね。私らもほんと、岩塚に狙われないように気をつけよう…うわっ!こっち見た!!」
…気をつけよう、って…お前ら。
その脳内の《誤解想像発達菌》が、それ以上増殖しないように…そっちを気をつけろよ…ったく。
…何にしても…僕はいつでも注目の的か…。
今夜も毎晩と変わらず小窪駅で下車し、駅前の園原社交ダンス教室へ。
園原先生はただ、僕の歩く姿をじっと見ているだけで、ここ数日、僕は先生から指摘や注意を受けていない。
『もう何の文句の言いようもないくらい、完璧だわ。じゃ、少し休みましょう』
僕は壁際に駆け寄り、鞄から小さな手帳を取り出して、先生の用意してくれた室内中央の丸椅子へと戻った。
『信吾くん。あなたは本当に勤勉家ね。偉いわ』
僕は歩きのレッスンの最中、気付いた体や筋肉の動きを手帳に記録していた。
『先生…僕、ひとつ歩き方のことで…心配があるんですけど…』
僕は大学へ向かうため、アパートを出てJR上呼賀駅へと歩いている。
…そして、歩きながら考えていた。
智恵先生のダンス教室は、水曜日と土曜日が運営日。
なのに僕のためだけに…僕の要望に応えてくれて毎晩、先生は教室に来て僕に歩きのレッスンをしてくれている。
しかも、授業料は一切いらないとか…本当に智恵先生には申し訳ない気持ちでいっぱいだ…。
その副作用でひとつ、心配なこともある。
女の子らしい歩き方は、結構自然にできるようになってきた。
ただ…それを身につけたことで無意識のうちに、普段でも女の子みたいな歩き方をしてないだろうか…心配。
僕は急に両手をポケットに突っ込み、わざと大袈裟な大股歩きで、頭ん中で《男らしい歩き方》を模索しながら駅へと向かった。
「ちょ…あれ、ちょっと見てほら!」
大学に着くなり、今朝もまた聞こえてくる、僕のことを話題にした女学生らの声…。
「何何!?あの岩塚の歩き方…なんかポケットに手を突っ込んで、颯爽と歩いてるー!やばーっ!!」
「多分あれ…《男らしさ》を全面にアピールしてるんだよ!!」
「やだーぁ…瀬ヶ池の女の子らに全く相手にされないからって、遂にキャンパス内で私ら女学生全員に自分の《男アピール》始めたんだぁ…絶対そうだぁ!!」
「あいつ、なに恋に飢えてんの?…マジでキモいんだけど…」
「…だよね。私らもほんと、岩塚に狙われないように気をつけよう…うわっ!こっち見た!!」
…気をつけよう、って…お前ら。
その脳内の《誤解想像発達菌》が、それ以上増殖しないように…そっちを気をつけろよ…ったく。
…何にしても…僕はいつでも注目の的か…。
今夜も毎晩と変わらず小窪駅で下車し、駅前の園原社交ダンス教室へ。
園原先生はただ、僕の歩く姿をじっと見ているだけで、ここ数日、僕は先生から指摘や注意を受けていない。
『もう何の文句の言いようもないくらい、完璧だわ。じゃ、少し休みましょう』
僕は壁際に駆け寄り、鞄から小さな手帳を取り出して、先生の用意してくれた室内中央の丸椅子へと戻った。
『信吾くん。あなたは本当に勤勉家ね。偉いわ』
僕は歩きのレッスンの最中、気付いた体や筋肉の動きを手帳に記録していた。
『先生…僕、ひとつ歩き方のことで…心配があるんですけど…』
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