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女装と復讐 -発起編-
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僕は向かってくる女の子らのなか、広い歩道の少し外側を、ヒールをコツコツと響かせながら姿勢良く、ゆっくりと凜として歩く。
そして冷静に、僕とすれ違い僕を見た女の子らの表情を、一つ一つ確認する。
僕を見て見ぬふりをする女の子…一瞬、目を丸くする女の子…僕とすれ違ったあとでも、振り返ってまだ僕を見てる、釘付けになってる女の子…僕をキツく睨みつけながら行く女の子…様々だ。
…あれっ!?
左を見ても右を見ても…詩織の姿がない!?
けれどすぐに、背後から軽く駆けてくる靴音に気付いて、僕は立ち止まって振り向いた。
『ちょっと詩織!私、先に行っちゃうとこだったってば!』
僕は女の子っぽく演じて言った。
『あー…ごめんなさい。やっぱり金魚の歩く姿、後ろか見てたら凄く綺麗だった。お尻なんかもぅ…ちょこちょこちょこちょこって可愛くてー、さっすが言うだけあるなーって思っちゃった』
また詩織は愛くるしい笑顔を見せた。
僕も釣られて少し笑う。
けれど、それも長くは続かなかった。
僕はあの日《瀬ヶ池はまるで戦場のよう》だと思った。
けれど、僕が女の子に変装した今も、やっぱり周りは敵だらけなことに、何も変わりはないんだ…と、そう思う。
『ねぇ金魚、もうちょっと笑顔振り撒こうよ。せっかく可愛いのに、そんな無愛想だと勿体ないよぉ』
僕は、詩織のそれに即答した。
『うん。けど私は、私が興味のない女の子たちには、別に笑顔とか振り撒こうとは思えない。でも詩織になら、素直な笑顔を見せられるよ』
僕はそう言って、ニコリと笑って返した。
『へへっ。やっぱり金魚の笑顔って、他の女の子の誰よりも可愛いや』
凄く愛くるしい笑顔だった詩織の表情が、今度は逆に曇りはじめる…。
『金魚…だけど、無理言ってごめんね。他の女の子たちには笑顔を振り撒けない、ってのは仕方ないんだったよね…』
僕も少し真顔になって、詩織を黙って見た。
『だって金魚は…《復讐》のために、ここへ戻ってきたんだもん…ね』
…立ち止まっていた僕と詩織。
その間も行き交うお洒落した女の子ら全ての、刺さるような視線がずっと僕らに向けられ、注がれていた。
なんだか、女の子らにチラチラと見られることに、少しイラつきを感じる…。
詩織は《見られることが刺激になる》そう言ってた。
けど今の僕には、それがまだ理解できない…。
『ねぇ詩織、どこかお茶できるお店に入ろうよ』
『うん…だね。行こう!』
そして冷静に、僕とすれ違い僕を見た女の子らの表情を、一つ一つ確認する。
僕を見て見ぬふりをする女の子…一瞬、目を丸くする女の子…僕とすれ違ったあとでも、振り返ってまだ僕を見てる、釘付けになってる女の子…僕をキツく睨みつけながら行く女の子…様々だ。
…あれっ!?
左を見ても右を見ても…詩織の姿がない!?
けれどすぐに、背後から軽く駆けてくる靴音に気付いて、僕は立ち止まって振り向いた。
『ちょっと詩織!私、先に行っちゃうとこだったってば!』
僕は女の子っぽく演じて言った。
『あー…ごめんなさい。やっぱり金魚の歩く姿、後ろか見てたら凄く綺麗だった。お尻なんかもぅ…ちょこちょこちょこちょこって可愛くてー、さっすが言うだけあるなーって思っちゃった』
また詩織は愛くるしい笑顔を見せた。
僕も釣られて少し笑う。
けれど、それも長くは続かなかった。
僕はあの日《瀬ヶ池はまるで戦場のよう》だと思った。
けれど、僕が女の子に変装した今も、やっぱり周りは敵だらけなことに、何も変わりはないんだ…と、そう思う。
『ねぇ金魚、もうちょっと笑顔振り撒こうよ。せっかく可愛いのに、そんな無愛想だと勿体ないよぉ』
僕は、詩織のそれに即答した。
『うん。けど私は、私が興味のない女の子たちには、別に笑顔とか振り撒こうとは思えない。でも詩織になら、素直な笑顔を見せられるよ』
僕はそう言って、ニコリと笑って返した。
『へへっ。やっぱり金魚の笑顔って、他の女の子の誰よりも可愛いや』
凄く愛くるしい笑顔だった詩織の表情が、今度は逆に曇りはじめる…。
『金魚…だけど、無理言ってごめんね。他の女の子たちには笑顔を振り撒けない、ってのは仕方ないんだったよね…』
僕も少し真顔になって、詩織を黙って見た。
『だって金魚は…《復讐》のために、ここへ戻ってきたんだもん…ね』
…立ち止まっていた僕と詩織。
その間も行き交うお洒落した女の子ら全ての、刺さるような視線がずっと僕らに向けられ、注がれていた。
なんだか、女の子らにチラチラと見られることに、少しイラつきを感じる…。
詩織は《見られることが刺激になる》そう言ってた。
けど今の僕には、それがまだ理解できない…。
『ねぇ詩織、どこかお茶できるお店に入ろうよ』
『うん…だね。行こう!』
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