女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -発起編-

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イケメン店員が離れてゆくタイミングを見計らって、詩織がテーブルに身を乗り出し、隣の女の子たちに聞こえないくらい小さな声で…僕に訊いてきた。


『ねぇ、金魚…てゆうか信吾…』

『…ん?なに?』


詩織のぱっちりとした目が、僕の目をじーっと捕らえる。


『あなたに…前からずーっと訊きたかったんだけどね…』

『うん。何を?』


対して僕は、普段と変わらない声の大きさで詩織に訊いた。


『あなたと私が…クローシュ・ドレで初めて会った10月のあの夜…私と会ったあれが《本当に初めて》だなんて…思ってないよね?』

『えっ?初めてだと思ってたけど…違うの?』

『あなた…それ本気で言ってる?』


急に一変して、詩織の表情が曇った…。


『うん…本気で言ってますけど…』

『…私を…覚えてないの?』


…私を覚えてないの?…って?
えぇ…どういうことだろう…。

大学も違うし…近所に住んでるわけでもないし…。
えっ!?まさか!?

小中学生の頃に、まるで漫画や小説みたいに偶然にどこかで、運命的に出会ってた…とか!?


『だって私…あなたに…瀬ヶ池で4回も、されてるんだけど…』

『…ぇ?』

『ぷっ…きゃははは』


《初めてじゃない》って、そっちだった…。
しかも4回って…。

僕の驚きの表情に詩織は耐えられず、のけ反り笑い始めた。


『ちょっと、あの…僕のってさ…なんで、こんなに有名になってしまったのかな…分かる?』


今度は僕が身を乗り出し、詩織に訊いた。


『…そりゃそうよ。だって、ナンパの仕方ってゆうかさ…ナンパやってる姿がおかしかったもん』


詩織も再び身を乗り出し、僕にぐっと寄ってきた。
詩織の顔が、僕の目の前…すぐ間近にある。


『おかいしって…どんな?』


詩織は一旦離れて座り直した。
そして手櫛で髪をといて直し、普段のトーンで僕に言う。

僕も改めて座り直す。


『あの、あれ。サッカーのゴールキーパーみたいな』

『ご…ゴールキーパーって、どういうこと!?』


くくっ…と、詩織は笑いをこらえてる様子。


『だって、両手を目一杯に伸ばしてゴールキーパーみたいになってさ、こう…女の子たちの流れを塞ぎ止めるみたいに、左右に移動しながら…』


詩織はごく小さく、体を使って表現。僕は黙ってそれを見ている…。


『《君》《ねぇ》《映画》《可愛い》《お茶》《今》《服》《時間》…』

『……。』

『それが、ずっと遠くから聞こえてくるんだよ。《何のクイズのヒントワードだよ!》みたいなー。きゃははは』

『………。』























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