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女装と復讐 -発起編-
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僕らはアンナさんの車から降りた。
今日も心地好いくらいの快晴だ。
日差しは暖かいし、風もそんなに冷たくない。
『じゃあ、アンナさん。行ってきます』
『ちゃんと午後4時には電話ちょうだいね』
『はーい』
いつものように、走り去るアンナさんの車を2人で見送り、僕らは《パステル・スクェア81》へと向かう。
藤浦市桜野区…早瀬ヶ池のある新井区の南隣区。
藤浦市のシンボルタワーとも云える48階建ての超高層ビル《la satif emplie》が建つ商業雑居街。
この嘉久見大通り沿いには、たくさんの高級ホテルやビジネスホテル、旅館などの宿泊施設のほか、美波県警の藤浦市警察本部や藤浦消防本部、電力会社や大手建設会社、最近テレビ局と合併した大きな《藤浦FM放送ビル》などが並ぶ。
そして《パステル・スクェア81》も、この大通り沿いの《嘉久見緑地公園》の敷地内にある。
平日はビジネススーツ姿の男性や女性が多く往来してるし、休日でも瀬ヶ池みたいな女の子たちの姿は、アンプリエ以外では殆ど見ないんだけど…今日なんかは特に、嘉久見大通りのあっちこっちで可愛く着飾った女の子たちを多く見掛ける。
『今日の嘉久見大通り、《G.F.アワード》の日だからか、いつもより人通りが多いねー』
『うん。特にお洒落な女の子たちを多く見るね』
…なんだか詩織は楽しそうだ。
目がキラキラしてる。
『今日の《パススク81》には、女の子雑誌の取材班とか、いっぱい来てるしー』
『へぇ…そうなんだ』
『うん。《リンちゃん》が特別審査員だから余計かな、って言われてるわ』
……んん?
『リンちゃん?』
『ほらぁ、リンちゃんだよ。ここ藤浦市出身の《伊藤鈴》ちゃん』
『あー。い、伊藤鈴ね…そうそう…藤浦市出身…』
『?』
詩織が…疑いの目で僕を睨む…。
『あなた…まさか、鈴ちゃんが藤浦市出身だったってこと…知らなかったんじゃ…?』
『えっ!?…いやぁ…もちろん知ってたし…』
僕の目の前に、詩織は立ちはだかるように回り込んで、それで急に立ち止まった僕の顔を…じーっと見る…。
そもそも出身地がどうとか、って以前に…。
伊藤鈴っていう、その芸能人のことを…本当は僕は、何一つ知らない…。
『じゃあ…鈴ちゃんが、あなたの通う宮端学院大学の卒業生…先輩だってことも…?』
『…えぇっ!?』
伊藤鈴っていう、その芸能人…僕の大学の先輩だったんだ…。
当然ながら僕は…そんなことも知らなかった…。
『う、うん。もちろん知ってるよ…僕の通う大学を卒…』
『はい嘘ー。今あなたは、知ったかぶりの嘘をつきましたー』
『……。』
『あれれぇ?反論は?できないでしょ。きゃはははは♪』
く…くそぅ、秒でバレた!悔しい…!
伊藤鈴、24歳。一応…今大人気の《アイドル》だけど、バラエティ番組や、美味しいお店ご紹介のレポーターなどで活躍しているせいか、どちらかというと《芸能人》って印象のほうが強い。
んまぁ…そんな伊藤鈴ちゃんのことを、このときの僕は…本当に何も知らなかったんだけど。
『ほら、見えてきたよ。《パステル・スクェア81》』
中低層ビルたちが整列して並ぶ、大通り沿いのその一区画が、6mほどぱあっと広く開けている。
その入口から奥は、更に広大に開けていて《都心の癒しの地》とでも言えるかのような、美しく植林された豊かな緑地公園となっていた。
園内の道々は全てアスファルトが敷かれ、車も入園許可さえ取得すれば容易に、緑地公園内を徐行し通行できる。
そして緑地公園の先に、建物と隣接したドーム型のガラス屋根の《パステル・スクェア81》が、とても美しくキラリと輝いて、遠くに見えている。
今日も心地好いくらいの快晴だ。
日差しは暖かいし、風もそんなに冷たくない。
『じゃあ、アンナさん。行ってきます』
『ちゃんと午後4時には電話ちょうだいね』
『はーい』
いつものように、走り去るアンナさんの車を2人で見送り、僕らは《パステル・スクェア81》へと向かう。
藤浦市桜野区…早瀬ヶ池のある新井区の南隣区。
藤浦市のシンボルタワーとも云える48階建ての超高層ビル《la satif emplie》が建つ商業雑居街。
この嘉久見大通り沿いには、たくさんの高級ホテルやビジネスホテル、旅館などの宿泊施設のほか、美波県警の藤浦市警察本部や藤浦消防本部、電力会社や大手建設会社、最近テレビ局と合併した大きな《藤浦FM放送ビル》などが並ぶ。
そして《パステル・スクェア81》も、この大通り沿いの《嘉久見緑地公園》の敷地内にある。
平日はビジネススーツ姿の男性や女性が多く往来してるし、休日でも瀬ヶ池みたいな女の子たちの姿は、アンプリエ以外では殆ど見ないんだけど…今日なんかは特に、嘉久見大通りのあっちこっちで可愛く着飾った女の子たちを多く見掛ける。
『今日の嘉久見大通り、《G.F.アワード》の日だからか、いつもより人通りが多いねー』
『うん。特にお洒落な女の子たちを多く見るね』
…なんだか詩織は楽しそうだ。
目がキラキラしてる。
『今日の《パススク81》には、女の子雑誌の取材班とか、いっぱい来てるしー』
『へぇ…そうなんだ』
『うん。《リンちゃん》が特別審査員だから余計かな、って言われてるわ』
……んん?
『リンちゃん?』
『ほらぁ、リンちゃんだよ。ここ藤浦市出身の《伊藤鈴》ちゃん』
『あー。い、伊藤鈴ね…そうそう…藤浦市出身…』
『?』
詩織が…疑いの目で僕を睨む…。
『あなた…まさか、鈴ちゃんが藤浦市出身だったってこと…知らなかったんじゃ…?』
『えっ!?…いやぁ…もちろん知ってたし…』
僕の目の前に、詩織は立ちはだかるように回り込んで、それで急に立ち止まった僕の顔を…じーっと見る…。
そもそも出身地がどうとか、って以前に…。
伊藤鈴っていう、その芸能人のことを…本当は僕は、何一つ知らない…。
『じゃあ…鈴ちゃんが、あなたの通う宮端学院大学の卒業生…先輩だってことも…?』
『…えぇっ!?』
伊藤鈴っていう、その芸能人…僕の大学の先輩だったんだ…。
当然ながら僕は…そんなことも知らなかった…。
『う、うん。もちろん知ってるよ…僕の通う大学を卒…』
『はい嘘ー。今あなたは、知ったかぶりの嘘をつきましたー』
『……。』
『あれれぇ?反論は?できないでしょ。きゃはははは♪』
く…くそぅ、秒でバレた!悔しい…!
伊藤鈴、24歳。一応…今大人気の《アイドル》だけど、バラエティ番組や、美味しいお店ご紹介のレポーターなどで活躍しているせいか、どちらかというと《芸能人》って印象のほうが強い。
んまぁ…そんな伊藤鈴ちゃんのことを、このときの僕は…本当に何も知らなかったんだけど。
『ほら、見えてきたよ。《パステル・スクェア81》』
中低層ビルたちが整列して並ぶ、大通り沿いのその一区画が、6mほどぱあっと広く開けている。
その入口から奥は、更に広大に開けていて《都心の癒しの地》とでも言えるかのような、美しく植林された豊かな緑地公園となっていた。
園内の道々は全てアスファルトが敷かれ、車も入園許可さえ取得すれば容易に、緑地公園内を徐行し通行できる。
そして緑地公園の先に、建物と隣接したドーム型のガラス屋根の《パステル・スクェア81》が、とても美しくキラリと輝いて、遠くに見えている。
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