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女装と復讐 -発起編-
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…詩織の存在無くして、《瀬ヶ池で1番の女の子になる》という金魚の復讐達成は成し得ない。
今までも時折、そう実感してきた…。
そして僕ら2人が…揃って瀬ヶ池の1番の女の子になるんだ…。
『んじゃ詩織、そろそろ行く?…じゃないと良い場所取れないかも』
『あ、はーい』
僕はテーブルの上のゴミやトレイの片付けを済ませ、詩織とマクドナルドを出る…。
だだっ広いイベント会場へと戻ってきた。
ちゃんとさっきも確認してたけど、来場したお客さま…って、殆どが女の子…が座るためのアルミ製の簡易ベンチが、数えられないほどずらーっと、会場の隅から隅まで綺麗に整って並んでいる。
『あー!もう前のほうに座ってる子いるー!私たちも今のうちに、できるだけ前のほうに座ろうよ!行こっ!』
うん。もちろん。
『はい。えー…ただ今、午後1時を回りました…皆さんお待たせしましたァ!それでは《G.F.アワード/2022》…これより開催致しまーす!』
特設ステージに現れたアラサーぽい男の人が滑舌のいい、よく通る声で開催を述べた。そして会場に湧く拍手。
『えー…本日の司会進行役を務めさせていただきますのは私、藤浦FM放送局でラジオDJをしている、自称イケメンの柏木亮平でーす!宜しくお願いしまーす!』
『金魚。今日のこのG.F.アワードは音声収録されて、後日ラジオでオンエアされるんだって』
『へぇ…そうなんだ』
詩織はウンウンと頷いた。
『…では続きまして、審査員の方々をご紹介させていただきます!えー…まずは杉原憲夫藤浦市長でーす!』
…始まった杉原市長のスピーチ。たぶん、女の子たちが最も好かない時間だろう。
会場は市長の声だけが響く以外、女の子たちは黙ってシーンと…静まり返っている。
……12分後。
『…えー…続きまして…ほぉ。なるほど。今年で3回目で3年目ですか。特別審査員長の…伊藤鈴ちゃんでーす!どーぞ!』
『はーい。皆さん、こーんにちはー』
『鈴ちゃーん』
『鈴ちゃん可愛いー』
『りーんちゃーん』
いかにも上品で清楚な雰囲気の、思いっきり可愛いが過ぎる女の子が、手を小さく振りながらステージ上に現れた。
市長さんのときにも無かった盛大な拍手と声援が会場に響き、包み込む。
詩織はステージに登場した伊藤鈴に、憧れの視線を送っていた。
『本っ当…いつ見ても本物の鈴ちゃんって…スタイルも顔も綺麗で可愛くて…完璧。羨ましい…はぁ』
『……う、うん』
僕は…昨日まで《伊藤鈴》という、うっすらとした名前の記憶以外は、出身地も…大学の先輩だったことも…あんな綺麗で可愛い顔も…何もかも知らなかった…。
今までも時折、そう実感してきた…。
そして僕ら2人が…揃って瀬ヶ池の1番の女の子になるんだ…。
『んじゃ詩織、そろそろ行く?…じゃないと良い場所取れないかも』
『あ、はーい』
僕はテーブルの上のゴミやトレイの片付けを済ませ、詩織とマクドナルドを出る…。
だだっ広いイベント会場へと戻ってきた。
ちゃんとさっきも確認してたけど、来場したお客さま…って、殆どが女の子…が座るためのアルミ製の簡易ベンチが、数えられないほどずらーっと、会場の隅から隅まで綺麗に整って並んでいる。
『あー!もう前のほうに座ってる子いるー!私たちも今のうちに、できるだけ前のほうに座ろうよ!行こっ!』
うん。もちろん。
『はい。えー…ただ今、午後1時を回りました…皆さんお待たせしましたァ!それでは《G.F.アワード/2022》…これより開催致しまーす!』
特設ステージに現れたアラサーぽい男の人が滑舌のいい、よく通る声で開催を述べた。そして会場に湧く拍手。
『えー…本日の司会進行役を務めさせていただきますのは私、藤浦FM放送局でラジオDJをしている、自称イケメンの柏木亮平でーす!宜しくお願いしまーす!』
『金魚。今日のこのG.F.アワードは音声収録されて、後日ラジオでオンエアされるんだって』
『へぇ…そうなんだ』
詩織はウンウンと頷いた。
『…では続きまして、審査員の方々をご紹介させていただきます!えー…まずは杉原憲夫藤浦市長でーす!』
…始まった杉原市長のスピーチ。たぶん、女の子たちが最も好かない時間だろう。
会場は市長の声だけが響く以外、女の子たちは黙ってシーンと…静まり返っている。
……12分後。
『…えー…続きまして…ほぉ。なるほど。今年で3回目で3年目ですか。特別審査員長の…伊藤鈴ちゃんでーす!どーぞ!』
『はーい。皆さん、こーんにちはー』
『鈴ちゃーん』
『鈴ちゃん可愛いー』
『りーんちゃーん』
いかにも上品で清楚な雰囲気の、思いっきり可愛いが過ぎる女の子が、手を小さく振りながらステージ上に現れた。
市長さんのときにも無かった盛大な拍手と声援が会場に響き、包み込む。
詩織はステージに登場した伊藤鈴に、憧れの視線を送っていた。
『本っ当…いつ見ても本物の鈴ちゃんって…スタイルも顔も綺麗で可愛くて…完璧。羨ましい…はぁ』
『……う、うん』
僕は…昨日まで《伊藤鈴》という、うっすらとした名前の記憶以外は、出身地も…大学の先輩だったことも…あんな綺麗で可愛い顔も…何もかも知らなかった…。
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