女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -躍動編-

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有り得ない…白色のレクサス、超高級個人タクシー《おばタク》は、美容院クローシュ・ドレの駐車場から車道へ慎重に出て、瀬ヶ池を目指して走り出した…。

あぁ…凄く不安だ…。






…なんてことは全然なかった。

《おばタク》はめちゃくちゃ安全運転。
逆に軽自動車や原付バイクに追い越されてるぐらい。

車内は静かだし…座り心地も最高ね。気持ち良い…。
…なぁんて言ってた詩織が、岡本さんに話し掛けた。


『あの…岡本さん』

『詩織ちゃん。同じ苗字なんだし、岡本さんなんて堅い呼び方は止めて。もっと気軽に。私のことは "岡ちゃん" って呼んで』


えっ?…僕と詩織は互いの顔を見た。


『きゃはは。じゃあ…えっと…岡ちゃん』

『うん。何かしら?』


詩織は恥ずかしそうに笑った。


『えへへっ。もしかしたら…このタクシーに買い換えてから初めて乗せるお客って…私たちだったりしない?』

『うぅん。もう何人かは乗せてるわよ。先日は藤浦銀行の頭取の島根さんと女性秘書を載せたし…藤浦の不動産王と呼ばれる "佐々木天清" 会長でしょ。梶川建設の会長婦人に…リンちゃんでしょ。それに…』

『待って!リンちゃんって…あの伊藤鈴ちゃん!?』


詩織が後部座席から、勢いよく前へ身を乗り出す。


『えぇ、そうよ。鈴ちゃん。今年のお正月は海外では過ごさず、実家で過ごすってね』

『あの…去年の年末の《G.F.アワード》…あの時も!?』

『あー、うん。私が送迎したわ。鈴ちゃんを。もっとも、あの時は古いクラウンのほうだったけどね』


詩織と僕は…また見合った。
いつも以上に詩織の瞳が、キラキラキラキラと輝いている。


『あ、そうそう。そういえば…帰りのこのタクシーの中で鈴ちゃんがね、会場に集まった女の子たちの中に…なーんか不思議ーな子がいたんだ…ってハイテンションで言ってたわ』

『不思議!?…ねぇ、岡ちゃん!どんなふうに!?』

『ちょっと…詩織。車ん中で暴れると危ないって…』


…全く聞こえてないのか…僕の注意に返事なし…。


『鈴ちゃん…何って言ってたかしら…。とにかく、藤浦市では見たことないぐらい凄く可愛くて…あ!そうそう。雰囲気だったって、鈴ちゃん言ってたわ』


…普通の女の子っぽくない?

それはやっぱり僕…金魚のことだろうか…?
金魚は《普通っぽくない》どころか…本当は《女の子ですらない》し。


『ほら!ぜったい金魚のことだよ!たぶん!!』


…って、詩織も言ってるし。


『あ…その子って…もしかして、私のことかも…?』




僕はそう、岡も…コホン。

岡ちゃんに訊いてみた…。





















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