女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -躍動編-

page.138

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『…ぐすっ…』


その体を力無く壁に持たせ掛け、下を向いて座って黙ってしまっている詩織。
今改めて詩織を見ると…少し痩せてて、本当に華奢で…今はとてもか弱く見える…。


『詩織…ごめん。僕、詩織の言うこと、ちっとも聞こうとしなかった…本当にごめん』

『…ううん…』


詩織は下を向いたまま、黙って小さく首を横に振った。






『………少し落ち着いた?』


黙ったまま、ウンと頷いた詩織。


『信吾…私の話、聞いてくれる?』

『うん。聞くよ』


僕はら詩織の前で、安っぽいタイル張りの路地に両膝を突き、詩織の顔を少し見上げるように屈んだ。
そんな僕の顔を見下ろした詩織…瞳が濡れていて、陽の光を反射しキラキラと輝いて見える…。







『…私ね…私への嫌な書き込みのことを、信吾が怒ってくれて…それで周りの女の子たちにそれを言い始めたとき…凄くびっくりしたの』

『うん』


初めて聞く…涙でかすれた詩織の声…。


『…でも、本当は嬉しかった。本当に《信吾…ありがとう》って思った。本当よ…』

『うん。本当本当って…分かったから』

『だけどね…これじゃダメだって私、思ったの…』


詩織が言う《これじゃダメだって思った》って…これ。
この意味が僕は、今もよく解らない…。


『詩織…さっき《金魚を守りたかったの!》って…言ってたよね?』

『…うん。だから今…それを説明しようと思ってたとこ…』


…あー、ごめん。
話を先走った。


『……っていうか…金魚の怒った顔…可愛いーって言われてたね。えへへっ…』


下を向いたまま、少しおどけたことを言う詩織。


『だから!それはいいから説明!』

『でもね…本当に可愛かったよ。金魚の怒った横顔。なーんか一生懸命だなーって。何だろう…すこしドキドキした。怒った顔まで可愛いだなんて…羨ましいね…』

『……。』


…そんなのを羨ましがられても…。
つまりは《迫力に欠けてた》ってことだし…。


『金魚はこれから、いろんな女の子たちから人気や支持を集めて…憧れられたり…羨ましがられたり…たくさん好かれなきゃならないの…』


僕は静かに…詩織の優し気な瞳を見詰めていた…。


『あなたは…金魚は《瀬ヶ池の嬢傑ヒロイン》って呼ばれる女の子になるの。だから…今は、瀬ヶ池の女の子たちに《嫌われてしまうようなこと》を…言っちゃダメ…』

『…!!!』


僕は、それを聞いて急にハッとした…!

そして後頭部をバットのような鈍器で、おもいっきりなぐられたかのように…頭がぐらっとした…。


詩織は…本当に金魚を守ってくれてたんだ…!
なのに僕は……!!

うわぁぁ…どうしよう…!!!!




















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