女装と復讐は街の華

筆鼬

文字の大きさ
156 / 491
女装と復讐 -躍動編-

page.140

しおりを挟む
ふと我に返り僕は時計を見た。
7時を少し過ぎたし、そろそろお味噌汁を温めて朝食を済ませ、大学へ行く準備をしようか。







…宮端学院大学に着き、大受講室へと入った僕は、適当な席に座って、朝の一呼吸…はぁ。
自分自身を…落ち着かせる。


『岩塚ぁー!』


ひッ!!…あの声は…。
恐る恐る振り向くと…うわぁ…やっぱり。

樋口絵里佳が僕の背後に…。

…そして僕の隣に来て、ドカッと荒っぽく座った。


『お前なー、最近サボってるだろぉ!』

『えっ?…サボってる…?』


…何のこと?
大学は今のところ、まだ皆勤中だし…レポートの提出も一度も遅らせたことないし…え?

他にサボることって…んー?思い付かない…。


『岩塚ぁ、ほんとに解んないのかぁ?馬鹿か!お前はー!』

『あの…馬鹿か…って言われても…』


樋口…無邪気で愛くるしいニコニコ笑顔。
それに違和感あるキツい言いぐさ…。

てゆうか、黙ってれば間違いなく、学園内で一番可愛いのに…。


『…最近なぁ、瀬ヶ池で遊んでても全然聞かないんだよぉ!お前の!メダカの噂!』


あー。僕は《金魚》が忙しくて、声掛けなんかもうやってない。
だから《メダカ》の話題は、確かにあの街から消え掛けてる。


『何やってんだよぉ!この怠け者めがぁ!』


…怠け者めがぁ…って…。


『…だって、樋口…さんと斎藤が《宮学の恥晒しだから、もう瀬ヶ池には行くな》って言っ…』

『うるさいよ!この馬鹿ぁ!文句言うなぁ!』


…今日も、めちゃくちゃ言いたい放題…。


樋口は羽織っている淡いピンクのトレンチコートのポケットから、自分のiPhoneを取り出した。


『私…お前に聞きたいことがあるの』

『?』


打って変わって急に大人しくなって、iPhoneの画面を僕の面前に突き付けた…げっ!!


『お前…あれだけ瀬ヶ池に行ってたんだからぁ…この子、一回ぐらい見たことあるでしょ?』

『あの…この子は…?』


…僕は知らないフリをした…。


『…この子は…お前の消え掛かった噂と入れ替わるように、最近瀬ヶ池で噂になってる子…』


僕はスマホの待ち受けに設定された《噂の子》から、視線を逸らして樋口の顔をちらりと見た…。


『…き、金魚…姫さま…って子なのぉ…』


は?
金魚姫さま?…って何!?

…ひめ…姫?

しかも樋口…少しもじもじしながら、頬が…紅くなってるし…?

…!!
ま、まさか…!?

僕はついつい…樋口のピンク色の小さなうるうる唇を…また、じっと確認してしまった…。


『ちょ…こらぁ!!』

『痛ッ!』


僕のおでこは、樋口の掌で強く打ち叩かれた…。























しおりを挟む
感想 224

あなたにおすすめの小説

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

処理中です...