女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -街華編-

page.335

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僕はダンボール箱を抱えたまま、扉に耳を当てて中の様子を聴く…。






「おぉー。お前ら、しばらく振りじゃねーか!」


この声は…秋良さんだ。


「きゃははは。秋良くんお久しぶりぶりー♪」

「つかお前ら…今日連れてきた、ここで働きたいっていう《アユミ》って子は?どうした?」


秋良さん…完全に歩美さんを、本当に本物の金魚だと思ってるみたい…。


「あ…えっと、まだ外で待ってる」

「はぁ!?お前ら何してんだよ!客人を外で待たせるとか失礼だろ!」

「そ、そうだよね…今呼んでくるから。ちょっと待ってて…」


…トントンと軽快に歩く足音がする。どうやら春華さんか詩織が、こっちへ来…。


「おい、ちょっと待てよ春華…。なんかお前ら、おかしくねぇか…?」


おっ?…秋良さん、やっぱり気付いた…?


「…春華も詩織も、お前らさっきからニヤニヤ笑ってるし…金魚もいつもと様子が違って、なんか借りてきた猫みたいに大人しいしよ…」






…ん?あれ?しばらく待っても、そのあとの会話が何も聞こえてこない…?

なんて思っていたら…扉が静かに半分開いた。そして顔を覗かせたのは…春華さん。


『ごめんね、金魚ちゃんお待たせ。中に入って!』

『はい』


扉を開けて入ると、やや狭い玄関の先に5mほどの廊下。左右は白い壁で、右手側の壁に白色の木目調のドアが2つ…トイレとバスルームかな…?たぶん。

廊下の先にはドアは無く、そのまま広い事務室が奥まで見通せている。

僕は一旦ダンボールを足元に置いて靴を脱ぎ、またダンボールを抱き抱えて春華さんのあとに続き、廊下を進んで事務室に入りながら…大きな声で元気よく…。


『こんにちはー。どうも。初めましてー!』


ここで、にこやか笑顔の《偽物》筒井歩美を投入。
そして僕は、その瞬間をしっかりと見た。

ふと何気なく、ゆっくりと僕を見た秋良さんと啓介さん。

みるみるうちに目はカッと見開き円くなって、口は大きく開いて驚いてる表情に…。
それが、まるでスローモーションのように。


『あぁーっ!?えぇ!?ど、ど…えぇぇーっ!?…』
『えっ!?これ…どういうこと!?金魚が2人!?はぁ!?』


詩織も春華さんも僕も、声高らかに大笑い。
歩美さんは、やや控えめに笑ってた。






『…んじゃ、再確認するけどな…こっちが金魚で…こっちがの筒井歩美ちゃん…だっけか?』

『はい。筒井歩美です。宜しくお願いします』


秋良さんと啓介さんが、また僕と歩美さんの顔を見比べてる。
更に秋良さんは『そうか…この髪の長さの違いに気付けば良かったのか…くそぉ』って、見抜けなかったことを本気で悔しがってた。


『いやぁ…金魚とここまでそっくりな子だとか、あのときの電話では聞いてなかったからよ…先に言っとけって。マジでビビっ…』

『きゃははは。あの電話では言わなかったんだよ~♪』


秋良さんが冷ややかに詩織を睨む…けど、そんなのお構いなしに、にこにこと楽しそうに笑ってる詩織。


『詩織…お前な、その悪戯好きな性格…そろそろ』

『…ねー♪素敵でしょ?えぇ?可愛い?秋良くん。私のせ・い・か・く♪きゃはははは♪』

『…。』






大した接客室の無いこの事務所。適当にオフィスチェアをガラガラと引っ張り寄せ集めて、全員が座った。




















































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