女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -街華編-

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僕は覚えてる。詩織だって覚えてるかもしれないけど…あれは6月第4週の土曜日。

鈴ちゃんと3人で、アンプリエの中華料理店でランチしたとき、鈴ちゃんが上機嫌そうに『来週の月曜日からロサンゼルスに海外ロケに行ってくるの』って、『仕事で海外に行ける…なんてこともある芸能界って、いいなって思ったりしない?』『芸能界に興味ない?』って、僕らにちらっと話してたこと…。



『…勘のいいお二人さんは、私が何を言おうとしてるのか、もうお解りかもしれないけど…』


鈴ちゃんがニコッと悪戯っぽく、人懐っこい笑顔をして見せた…けど、未だに少し固い表情の僕らを見て、鈴ちゃんの笑顔は…また元の真顔に戻った。


『けど私は、ほぼ毎週金魚ちゃんと詩織ちゃんに会って2人を見てて…確信してるの。この2人なら大丈夫。《この業界》でも頑張れる…芸能界に絶対向いてる!って…』


驚きのあまり声の出せない僕らを差し置いて、鈴ちゃんはその勢いのまま話を続けた。


『あの4月下旬の《藤浦市スプリングフェスタ》のときもそう。特別ステージの上で、あんなにもたくさんの女の子たちや他の観客を目の前にしても、2人は全く臆することなく、与えられた1時間という長い時間の最後まで、観客の目を魅了し楽しませ、輝き続けられたんだもの!』


鈴ちゃんの言葉の一つ一つに、力がこもっているのが凄く伝わってくる。


『あの凛としたステージパフォーマンスは本物だった。衣装も歌も凄く良かった。みかなちゃんとも話したの。一緒に働いてみたいね…って。だからお願い…うちの芸能事務所、冴島プロダクションに2人のチカラを貸して欲しいの…本気なの…』


詩織は小さくウンと頷いた。それを見て僕も遅れて頷いた。


『…鈴ちゃん』

『うん』


今までずっと聞き入っているだけだった詩織が、やっとその一言を発した。


『私は…鈴ちゃんの望むように、鈴ちゃんの所属するタレント事務所に入れるかもしれない。もちろん、お父さんやお母さん…アンナさんが許してくれたら、だけど…』


アンナさんなら絶対に許してくれるはず。だってアンナさんは、詩織が芸能界で活躍してくれることを、心から願ってるんだから。


『うん。もし2人のご両親への説得が必要なんだったら私、直接のお会いしてお話してもいいって思ってる』

『だけど!…だけど、金魚は難しい…っていうか無理なの…。芸能活動するのは…』

『えっ…なぜ?』


遂に意を決した詩織の一言。僕はその詩織の真剣な横顔をじっと見詰める…。


『…今から私が言うこと…見せる物…それを見て聞いても、鈴ちゃん…驚かないでね…』

『なになに?…どうしたの!?』

『お願い…驚かないで』

『う、うん…』























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