女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -街華編-

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そして美容院クローシュ・ドレに残ったのは3人。アンナさんと詩織と僕。


『でもアンナさん、今回もほんと凄ぉーい!』


詩織と僕は、帰っていった秋良さんと啓介さんに代わりロングソファーに座った。そして詩織は瞳をキラキラさせてアンナさんを見た。


『鮎美ちゃんのために思いついた《啓介くんの家に鮎美ちゃんを下宿させてあげれば?》ってアイデア!』


アンナさんはニコリと微笑んだ。


『だってそのほうが、確かに鮎美ちゃんだって貯金…』

『私が本当に《鮎美ちゃんのため》に思い付いて、これを提案したんだと思ってるの?詩織』

『…が、ほんとにいっぱい貯めら…えっ??』


僕も驚いて『えっ?』ってなった。


『待って!?…じゃあ、どういうこと??…鮎美ちゃんのほかに、本当は誰のため………あっ!?』

『ふふっ♪』


何かが頭の中に思い浮かんだらしく、口元を軽く手で覆い、目を円くしている詩織。


に気付いた?詩織』

『…う、うん…かも。あの、もしかして…啓介くん…のため??』

『そうね。だいたい合ってるわ』


《事件の難解トリックをついに解いた女性名探偵》のように、アンナさんは左手を腰に当て、順次よく一つ一つ説明しはじめた。


『まず考えるに、今回の重要なポイントは2つよ。筒井鮎美ちゃんが《金魚と瓜二つ》であって《女装じゃない。本物の女の子》だってこと。それと啓介くんが《実家暮らし》ってことよ』


ふぅむ。なるほどなるほど…。

啓介さんの《金魚!可愛くて大好き!》は、アンナさんと詩織曰く《誰でも観察してればすぐ分かるレベル》らしいけど…僕はしばらく、それに気付けなかったなぁ…。

てゆうか、聞いてて複雑な気分。胸がチクチク…ちょっとだけ痛い…。


『…けどね、啓介くんは鮎美ちゃんのことが《胸がはち切れそうなぐらい、抱きしめたいくらいに本当に大好き…》なのに、その想いを押し殺して胸の奥に仕舞い込んでしまう…クールを装って絶対にそれを表に出さない…素直に好きだと告白できない…それに苦しむぐらいなら、永遠に闇に葬って隠してしまう…そんな特異なタイプ』


うんうん。分かる…と頷く僕。けど詩織は…。


『うーん…ねぇアンナさん。つまり、あーの…もっと簡単に、結論から言うと…?』

『あら。説明が遠回しで解り辛かったわね。ごめんね詩織』


アンナさんが改めて、簡潔に説明する。


『結論から言えばね…あんなに可愛らしい鮎美ちゃんだもの。啓介くんがそんな彼女を家に連れて帰ってきたら、一番喜んでくれるのは誰だと思う?』


『誰?って…あー!?そっかぁ!啓介くんのお母さんとかお父さんだぁ!』

『うふふ。そうよね。一番喜んでくれるのは《ご両親》に間違いないでしょ?』

『うん!ない!』


啓介さんが、自分の想いを素直に歩美さんに告白できないのなら、啓介さんのご両親に任せればいい。一生懸命なんとかしてくれるわ…とアンナさん。

ご両親が一生懸命なんとかしてくれる…それはつまり、だよね。

詩織が『啓介くんのため?』と訊いたのに対し、アンナさんが《正解》じゃなく『だいたい合ってる』って返したのは…《啓介さんの為だし、啓介さんのご両親の為でもある!》からなんだ…なるほど!アンナさんって、やっぱり凄い!

























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