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女装と復讐 -完結編-
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そうだ…!!
母さんの言うとおりだ!
僕は父さんや母さんに、詩織の専属のメイク担当として、東京へ『行ってもいいですか?』と訊くために、ここへ帰ってきたんじゃない!
『詩織と一緒に行きます!』と《決心の報告》をするために、ここへ帰ってきたんだ…!
…なんて、僕がそんな想いを想像し巡らせている…だけかと思ったら….僕の口は既に、それを父さんや母さんに伝えてしまっていた…らしい…!
『分かったわ。素直に話してくれてありがとう…信ちゃん』
『…。』
父さんは、黙り込んだままだった。
『…あなたは子どもの頃から、衝動的な判断で安易に行動するような子じゃなかった。今日のこの事も、よく考えて決意してのことでしょう?』
『うん…』
母さんは、小さく息を吸い、それをふぅと吐いて払うと…固かった表情は笑顔に変わった。
『ねぇ信ちゃん。お父さんとお母さんが、あなたの名前を《信吾》と名付けた理由…分かる?』
『…えっ?』
僕が母さんに『…分からない』と答えると…。
『私たちはね、《自分で決めたこと、やりたいことを、どんな事があっても、何があってもそれに負けず、自分を信じて、力いっぱい貫いて、頑張ってほしい》って想いを込めて、あなたを《信吾》と名付けたの』
父さんは今も黙ったまま…同意するように、母さんのその言葉に大きく頷いた。
『信ちゃんが詩織ちゃんのために、大学卒業を諦めても東京に付いて行ってあげたいって決意したのなら…それが絶対に後悔のない、あなたが決めた生き方だと言うのなら…私もお父さんも駄目とは言わない。それと引き換えに大学卒業が無くなったとしても、怒ったりしない』
正座して座っていた詩織が、和机に両手を添えて急に膝立ちした。
『…お母様、じゃあ…!』
母さんは詩織に微笑んで頷いて見せながら、そのまま父さんを見た。
父さんはゆっくりと目を閉じた。
『…信吾』
『はい!』
そして父さんは目を開け、僕を見た。
『お前は、俺や俺の父にそっくりで…頑固で石頭だ!!』
あの…それを言い切られても…。
『…それに勉強に対しても、何に対しても努力家だ。今までも、お前は目標とその成功のためなら、無尽の努力を惜しまなかったろう?』
『…はい』
父さんは前を向き、また目を閉じて大きくゆっくりと頷いた。
『…大学卒業のことは、もう何も心配しなくてもいい』
『うん…ごめん。父さん…』
『だが、自分の選んだ道への努力と覚悟は、絶対に失くすんじゃないぞ』
『はい!』
『あっ!そうだわ!』
山本さんは立ち上がって慌てて玄関へと向かい、黒革の鞄を持ってまた戻ってきた。そして座り直して鞄の中から資料や書類のようなものを取り出し、和机の上に並べた。
『…遅くなりまして、大変申し訳ございません。こちらが弊社の概要書と…こちらが規約書の冊子です。そしてこちらはタレント専属契約書のサンプルですが…信吾さんは、初め1年間は弊社との期間契約社員となりますが、以降は弊社の所属タレントとして…』
「んっ?所属タレント…?」
「所属タレントって!?」
や、山本さん…。
タレント契約のそこの説明は…詳細飛ばしてなるべく簡素に…父さんや母さんの記憶に残らない程度に…さらっと…説明するだけにして…。
昼食は母さんが用意してくれた、出前の《特上お寿司》と、うちの小さな畑で作ったスイカだった。
昼食が済むと、僕と詩織と鈴ちゃんの3人は、《お供え花》と《お線香》と《バケツと亀子たわし》を持ってお墓参りへ。墓地までは徒歩で3分。
…お墓参りが終わって、家に帰ってくると…。
母さんから鈴ちゃんに、サイン用色紙5枚と油性のサインペンが、そっと手渡された…。
母さんの言うとおりだ!
僕は父さんや母さんに、詩織の専属のメイク担当として、東京へ『行ってもいいですか?』と訊くために、ここへ帰ってきたんじゃない!
『詩織と一緒に行きます!』と《決心の報告》をするために、ここへ帰ってきたんだ…!
…なんて、僕がそんな想いを想像し巡らせている…だけかと思ったら….僕の口は既に、それを父さんや母さんに伝えてしまっていた…らしい…!
『分かったわ。素直に話してくれてありがとう…信ちゃん』
『…。』
父さんは、黙り込んだままだった。
『…あなたは子どもの頃から、衝動的な判断で安易に行動するような子じゃなかった。今日のこの事も、よく考えて決意してのことでしょう?』
『うん…』
母さんは、小さく息を吸い、それをふぅと吐いて払うと…固かった表情は笑顔に変わった。
『ねぇ信ちゃん。お父さんとお母さんが、あなたの名前を《信吾》と名付けた理由…分かる?』
『…えっ?』
僕が母さんに『…分からない』と答えると…。
『私たちはね、《自分で決めたこと、やりたいことを、どんな事があっても、何があってもそれに負けず、自分を信じて、力いっぱい貫いて、頑張ってほしい》って想いを込めて、あなたを《信吾》と名付けたの』
父さんは今も黙ったまま…同意するように、母さんのその言葉に大きく頷いた。
『信ちゃんが詩織ちゃんのために、大学卒業を諦めても東京に付いて行ってあげたいって決意したのなら…それが絶対に後悔のない、あなたが決めた生き方だと言うのなら…私もお父さんも駄目とは言わない。それと引き換えに大学卒業が無くなったとしても、怒ったりしない』
正座して座っていた詩織が、和机に両手を添えて急に膝立ちした。
『…お母様、じゃあ…!』
母さんは詩織に微笑んで頷いて見せながら、そのまま父さんを見た。
父さんはゆっくりと目を閉じた。
『…信吾』
『はい!』
そして父さんは目を開け、僕を見た。
『お前は、俺や俺の父にそっくりで…頑固で石頭だ!!』
あの…それを言い切られても…。
『…それに勉強に対しても、何に対しても努力家だ。今までも、お前は目標とその成功のためなら、無尽の努力を惜しまなかったろう?』
『…はい』
父さんは前を向き、また目を閉じて大きくゆっくりと頷いた。
『…大学卒業のことは、もう何も心配しなくてもいい』
『うん…ごめん。父さん…』
『だが、自分の選んだ道への努力と覚悟は、絶対に失くすんじゃないぞ』
『はい!』
『あっ!そうだわ!』
山本さんは立ち上がって慌てて玄関へと向かい、黒革の鞄を持ってまた戻ってきた。そして座り直して鞄の中から資料や書類のようなものを取り出し、和机の上に並べた。
『…遅くなりまして、大変申し訳ございません。こちらが弊社の概要書と…こちらが規約書の冊子です。そしてこちらはタレント専属契約書のサンプルですが…信吾さんは、初め1年間は弊社との期間契約社員となりますが、以降は弊社の所属タレントとして…』
「んっ?所属タレント…?」
「所属タレントって!?」
や、山本さん…。
タレント契約のそこの説明は…詳細飛ばしてなるべく簡素に…父さんや母さんの記憶に残らない程度に…さらっと…説明するだけにして…。
昼食は母さんが用意してくれた、出前の《特上お寿司》と、うちの小さな畑で作ったスイカだった。
昼食が済むと、僕と詩織と鈴ちゃんの3人は、《お供え花》と《お線香》と《バケツと亀子たわし》を持ってお墓参りへ。墓地までは徒歩で3分。
…お墓参りが終わって、家に帰ってくると…。
母さんから鈴ちゃんに、サイン用色紙5枚と油性のサインペンが、そっと手渡された…。
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