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彼女と僕
喫茶ジュリエットの情報屋
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1目惚れから1ヶ月、暇があれば喫茶「ジュリエット」へ足を運んでいた甲斐もあり様々な事を知る事ができた。
まず男性の店員はこの店のマスターである事。名前を森重透と言い、年齢は50近いアラフィフである。趣味はクラシックを聴くことであり、いつかイギリスへ旅行に行く事が夢である。今でも独身でありこのまま独身貴族を貫いて行くことを信条にしている。
そして気になって仕方のない女性店員はアルバイトであり、名前を前園奏と言うこと、そして私より2つ年上の25歳である。趣味は小説を読むことであり、1つ隣の駅らへんから通っており一人暮らし、夢と言う夢は特になく、特技は抹茶ラテを入れることであるそうだ。
このことは決して私が直接本人に聞いたのではなく、今隣でパフェにがっついている男性、先輩常連である大橋さんから聞いたものであった。
よく顔を見るからと言い話しかけて来たのがこの大橋さんであった。この店の情報を聞くたびに、彼に甘いものをお礼として渡しているくらいに甘いものが好きな甘党男性であり、開店当時からの常連でマスターと長い縁があるらしい。
「情報はそれなりに小出しにしていかないとすぐに尽きちゃうから今日はこんなところで。」
大橋さんはそう言いながらパフェに刺さっている桃を頬張った。とても美味しそうに食べているのを見るとこの人はリポーターか何かになればいいのではないかと思う。
「あまりべらべらと人様の事をいうものではないですよ。我々にもプライベートと言うものがありましてね……」
マスターが大橋さんに苦言を投げるのもいつものことでありこの1ヶ月で見飽きた光景である。
しかし大橋さんも慣れたもので聞く耳持たずでパフェを美味しそうに頬張っている。
「しかし、今日は残念だったね。前園さん休みで華がないねー。」
「前園君にもプライベートがありますから、いつもいるものでもないのは当然ですよ。」
そう、今日は前園奏はいないのだ。体感週に3日いるかいないぐらいのペースなので割といない日に来る事が多い。
逆に常連の大橋さんはいつもいるのでいない時は毎回こういった話を聞くのが日課になっていた。
「でさ?いつデートに誘うの?予定とか立ててるの?そんな話とかしたことあるの?」
「い、いやそんな。誘えるほどの仲でもないですし!それに彼女の姿が見える時は仕事中ですし!」
大橋さんがまくりたてて来るのに思わずたじろみ、早口で返してしまう。我ながら清々しい慌てぶりである。
「うちは喫茶店なのであんまりそういうことを勧めるんじゃないですよ大橋君。」
マスターが大橋さんを鋭い言葉で牽制するがそんなことなくお構いなく話し出すのが大橋さんのすごいところである。全く空気を読む気がない。
「ほら。これ水族館のチケット!貰い物だけどあげるからさ~~。今度誘ってみなよ。」
「突然なんですけど大橋さんはどうしてそんなに応援してくれるんですか?会って一ヶ月ぐらいなのに……」
「強いて言うなら面白いからかな。良くも悪くも俺は面白いと思うことに準じて行動するんだ。だから君を応援してるんだ。特に他意はないよ。理由が欲しいなら付けようか?」
大橋さんは屈託無い笑顔で返事をくれた。
「いや。大丈夫です。気になっただけなので」。
なんだかんだで大橋さんには感謝しているのだ。大橋さんが居なければただ眺めて日を過ごすだけだったかもしれないがおかげで様々な事を知る事が出来たのだ。
大橋さんからチケットを受け取り、次に彼女がいる時に来たら彼女を誘う決心したことを大橋さんに伝えお礼を言う傍ら、マスターのため息が聞こえた気がしたのであった。
まず男性の店員はこの店のマスターである事。名前を森重透と言い、年齢は50近いアラフィフである。趣味はクラシックを聴くことであり、いつかイギリスへ旅行に行く事が夢である。今でも独身でありこのまま独身貴族を貫いて行くことを信条にしている。
そして気になって仕方のない女性店員はアルバイトであり、名前を前園奏と言うこと、そして私より2つ年上の25歳である。趣味は小説を読むことであり、1つ隣の駅らへんから通っており一人暮らし、夢と言う夢は特になく、特技は抹茶ラテを入れることであるそうだ。
このことは決して私が直接本人に聞いたのではなく、今隣でパフェにがっついている男性、先輩常連である大橋さんから聞いたものであった。
よく顔を見るからと言い話しかけて来たのがこの大橋さんであった。この店の情報を聞くたびに、彼に甘いものをお礼として渡しているくらいに甘いものが好きな甘党男性であり、開店当時からの常連でマスターと長い縁があるらしい。
「情報はそれなりに小出しにしていかないとすぐに尽きちゃうから今日はこんなところで。」
大橋さんはそう言いながらパフェに刺さっている桃を頬張った。とても美味しそうに食べているのを見るとこの人はリポーターか何かになればいいのではないかと思う。
「あまりべらべらと人様の事をいうものではないですよ。我々にもプライベートと言うものがありましてね……」
マスターが大橋さんに苦言を投げるのもいつものことでありこの1ヶ月で見飽きた光景である。
しかし大橋さんも慣れたもので聞く耳持たずでパフェを美味しそうに頬張っている。
「しかし、今日は残念だったね。前園さん休みで華がないねー。」
「前園君にもプライベートがありますから、いつもいるものでもないのは当然ですよ。」
そう、今日は前園奏はいないのだ。体感週に3日いるかいないぐらいのペースなので割といない日に来る事が多い。
逆に常連の大橋さんはいつもいるのでいない時は毎回こういった話を聞くのが日課になっていた。
「でさ?いつデートに誘うの?予定とか立ててるの?そんな話とかしたことあるの?」
「い、いやそんな。誘えるほどの仲でもないですし!それに彼女の姿が見える時は仕事中ですし!」
大橋さんがまくりたてて来るのに思わずたじろみ、早口で返してしまう。我ながら清々しい慌てぶりである。
「うちは喫茶店なのであんまりそういうことを勧めるんじゃないですよ大橋君。」
マスターが大橋さんを鋭い言葉で牽制するがそんなことなくお構いなく話し出すのが大橋さんのすごいところである。全く空気を読む気がない。
「ほら。これ水族館のチケット!貰い物だけどあげるからさ~~。今度誘ってみなよ。」
「突然なんですけど大橋さんはどうしてそんなに応援してくれるんですか?会って一ヶ月ぐらいなのに……」
「強いて言うなら面白いからかな。良くも悪くも俺は面白いと思うことに準じて行動するんだ。だから君を応援してるんだ。特に他意はないよ。理由が欲しいなら付けようか?」
大橋さんは屈託無い笑顔で返事をくれた。
「いや。大丈夫です。気になっただけなので」。
なんだかんだで大橋さんには感謝しているのだ。大橋さんが居なければただ眺めて日を過ごすだけだったかもしれないがおかげで様々な事を知る事が出来たのだ。
大橋さんからチケットを受け取り、次に彼女がいる時に来たら彼女を誘う決心したことを大橋さんに伝えお礼を言う傍ら、マスターのため息が聞こえた気がしたのであった。
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