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半獣半人座星系
折りたたまれて
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決行日前日の夜は、早めに休む。
日中に打ち合わせは全て済ませた。明日の
早朝、明け方前に出発だ。相手の寝こみを
襲う。
相手側の援軍なども見越して、明日中には
決着を着ける。夕方には洋館に馬車が一台
入ったようだ。乗員までは確認できなかった
らしいが、5名ほど増援となっているはずだ。
そして当日、あまりロクに眠れていないが、
緊張感でぜんぜん眠くない。外は小雨だ。
鎧の下に保温下着を着る。濡れても体温を
下げず、すぐ乾くやつだ。
まず現地主力の6人が出発、そして本部が
出発。ガンソク・ソンウは朝から馬で
補給ポイントを往復して戻ってくる。
追加の装備を受け取るためだ。
我々は、そのまま洋館の正面門へ向かう。
本部は我々から500メートルの街道沿い。
ほぼいっしょに戦う構えだ。本部は、
廃砦からの増援を警戒する位置。
同じ時間帯でイゾルデ王国正規軍が包囲を
開始するので、増援はゼロであることを期待
するが。
アンデット族の狙撃士、イスハーク・サレハが
持ち場へ向かう。我々から少し距離と角度を
とって、狙撃を行うのだ。
人間族のセイジェン・ガンホンが、本部と
洋館を結ぶ線の中間あたりに立つ。そして、
4人となった我々は、ジャイアント族の
アントン・カントールを先頭に、洋館へ
近づく。
洋館をぐるりと囲む外壁、そして門。
門は開いている。その中に、4本の腕を
組んで座すアンドロイド、ヴェータラ。
軍事用のものだ。
接近者を探知して、起動しだす。同時に、
ワラワラと出てくるスケルトン兵士。
門の外で迎え撃つ構えだ。
ヴェータラは、立ち上がると4メートルほども
あるだろうか。4本の手にそれぞれ巨大な刃物
を持っている。玄想旅団の前衛3人が持って
いる盾では、耐えきれないかもしれない。
スケルトン兵士が先に門外へ出てきて、退去
せよ、退去せよ、とカタカタ警告する。
退去しないのを確認し、強制退去させる
行動へ移る。つまり、武器で切りかかる。
そこへ、ダンっ!と音がして、スケルトン兵士
が横へ吹き飛ぶ。もう一体、そしてまた一体。
6体ほど吹き飛ばして、いったん狙撃が止む。
ヴェータラが門外へ出てきた。
ヴェータラの剣の直撃をギリギリ躱せる
位置で、アントン・カントール、ドワーフ族の
スヴェン・スペイデル、そしておれ、ベルン
ハード・ハネルが牽制する。
盾で受け損なうと致命傷だ。なので基本は
避ける。それを、スケルトン兵士も気にしな
がらだ。忙しい。
ヴェータラは、おそらくこちらが距離をとる
闘い方をするのを認識すると、モードを変えて
くる。おそらく飛び掛かってくる、その前に、
なんとかして攻撃力を削いでおかないと、攻撃
をくらうことになる。
エルフ族の、シャマーラ・トルベツコイが
背負ってきた荷物。それを、ゴトっと地面に
置く。それ以外にも、腰回りに様々な魔法
デバイスを吊り下げている。
起動音がして、その地面に置いた荷物が、
パラパラと展開していく。折り畳み戦闘用
アンドロイド、ダラムルムだ。薄っぺらい
人型で立ち上がり、歩き出す。
イスハーク・サレハは、囲まれていること
に気づいた。おそらく、前に一人、後ろに
二人。前の一人を短銃を抜く構えで
牽制するが、おそらくシールドを展開済み、
すぐ仕掛けて来るだろう。
うしろから仕掛けて来る空気を察知して、
一気に体を落として地面に這いつくばる。
同時に、後ろから襲い掛かろうとした
二人のさらに後ろから飛び道具が、
ほとんど連続で五つずつ。
損害は少ないが、刃に塗られた神経性の
麻酔剤により、徐々に動けなくなる。
数秒後、前にいた一人にも、もれなく
飛び道具が突き刺さる。
暗がりから、イズミ・ヒノとナズミ・ヒノが
現れた。オリガ・ダンが、イスハーク・ベイト
と名付けた戦術だ。狙撃しつつ、囮になる。
倒れた3人を止血し、拘束帯で固定する。
今日中に追加の手当てすれば命に別状はない。
折り畳み戦闘用アンドロイドは、アントン
・カントールのすぐ後ろにいる。太陽系から
設計図を手に入れて惑星セト上で製造された
ものだ。
ヴェータラのもつデータベース内にはこの
機種の情報はないだろう。対応に困って
いるかどうかは、その表情からはわからない。
イスハーク・サレハからの狙撃が再開し、
スケルトン兵士が次々と倒されていく。ころ
あいを見て、ヴェータラの剣の攻撃を
かいくぐって足元へ転がり込み、棍棒で
太もものあたりに打撃を入れる。
多少入ったが、蹴りと斬撃が来る。蹴りが
胸部をかすり、斬撃が腕を掠ったらしい。
シャマーラのところへそのまま転がっていく。
後方では、本部周りで動きがあった。
アンデット族の霊能士、パリザダ・ルルーシュ
の使用する、探査ドローン、シキガミが、
廃砦方面から来る馬影を捉えた。
廃砦から抜けた五騎が向かっている。
急いでセイジェン・ガンホンが呼ばれ、
迎え討つ体制が作られる。オリガ・ダンが
対騎馬用の槍を構え、その後ろにエンジニア
のヨミー・セカンドがグレネードランチャー
らしきものを構える。
パリザダは街道横の木に隠れ、もっと
手前のほうで剛弓をもつのはセイジェンだ。
射程内に入ったところで、街道に出て、
騎馬が向かってくる正面に立つ。
まず一射。一人落馬。そのままもう一射。
もう一人落馬。そして転がって、騎馬の
突撃をかわす。
起きざまに後ろからもう一射。さらに
ひとり落馬。
オリガ・ダンの前に二騎が到達するが、
対騎馬槍を見て突っ込めない、そこへ、
黒っぽいひらひらしたものが大量に
舞い寄ってくる。
日中に打ち合わせは全て済ませた。明日の
早朝、明け方前に出発だ。相手の寝こみを
襲う。
相手側の援軍なども見越して、明日中には
決着を着ける。夕方には洋館に馬車が一台
入ったようだ。乗員までは確認できなかった
らしいが、5名ほど増援となっているはずだ。
そして当日、あまりロクに眠れていないが、
緊張感でぜんぜん眠くない。外は小雨だ。
鎧の下に保温下着を着る。濡れても体温を
下げず、すぐ乾くやつだ。
まず現地主力の6人が出発、そして本部が
出発。ガンソク・ソンウは朝から馬で
補給ポイントを往復して戻ってくる。
追加の装備を受け取るためだ。
我々は、そのまま洋館の正面門へ向かう。
本部は我々から500メートルの街道沿い。
ほぼいっしょに戦う構えだ。本部は、
廃砦からの増援を警戒する位置。
同じ時間帯でイゾルデ王国正規軍が包囲を
開始するので、増援はゼロであることを期待
するが。
アンデット族の狙撃士、イスハーク・サレハが
持ち場へ向かう。我々から少し距離と角度を
とって、狙撃を行うのだ。
人間族のセイジェン・ガンホンが、本部と
洋館を結ぶ線の中間あたりに立つ。そして、
4人となった我々は、ジャイアント族の
アントン・カントールを先頭に、洋館へ
近づく。
洋館をぐるりと囲む外壁、そして門。
門は開いている。その中に、4本の腕を
組んで座すアンドロイド、ヴェータラ。
軍事用のものだ。
接近者を探知して、起動しだす。同時に、
ワラワラと出てくるスケルトン兵士。
門の外で迎え撃つ構えだ。
ヴェータラは、立ち上がると4メートルほども
あるだろうか。4本の手にそれぞれ巨大な刃物
を持っている。玄想旅団の前衛3人が持って
いる盾では、耐えきれないかもしれない。
スケルトン兵士が先に門外へ出てきて、退去
せよ、退去せよ、とカタカタ警告する。
退去しないのを確認し、強制退去させる
行動へ移る。つまり、武器で切りかかる。
そこへ、ダンっ!と音がして、スケルトン兵士
が横へ吹き飛ぶ。もう一体、そしてまた一体。
6体ほど吹き飛ばして、いったん狙撃が止む。
ヴェータラが門外へ出てきた。
ヴェータラの剣の直撃をギリギリ躱せる
位置で、アントン・カントール、ドワーフ族の
スヴェン・スペイデル、そしておれ、ベルン
ハード・ハネルが牽制する。
盾で受け損なうと致命傷だ。なので基本は
避ける。それを、スケルトン兵士も気にしな
がらだ。忙しい。
ヴェータラは、おそらくこちらが距離をとる
闘い方をするのを認識すると、モードを変えて
くる。おそらく飛び掛かってくる、その前に、
なんとかして攻撃力を削いでおかないと、攻撃
をくらうことになる。
エルフ族の、シャマーラ・トルベツコイが
背負ってきた荷物。それを、ゴトっと地面に
置く。それ以外にも、腰回りに様々な魔法
デバイスを吊り下げている。
起動音がして、その地面に置いた荷物が、
パラパラと展開していく。折り畳み戦闘用
アンドロイド、ダラムルムだ。薄っぺらい
人型で立ち上がり、歩き出す。
イスハーク・サレハは、囲まれていること
に気づいた。おそらく、前に一人、後ろに
二人。前の一人を短銃を抜く構えで
牽制するが、おそらくシールドを展開済み、
すぐ仕掛けて来るだろう。
うしろから仕掛けて来る空気を察知して、
一気に体を落として地面に這いつくばる。
同時に、後ろから襲い掛かろうとした
二人のさらに後ろから飛び道具が、
ほとんど連続で五つずつ。
損害は少ないが、刃に塗られた神経性の
麻酔剤により、徐々に動けなくなる。
数秒後、前にいた一人にも、もれなく
飛び道具が突き刺さる。
暗がりから、イズミ・ヒノとナズミ・ヒノが
現れた。オリガ・ダンが、イスハーク・ベイト
と名付けた戦術だ。狙撃しつつ、囮になる。
倒れた3人を止血し、拘束帯で固定する。
今日中に追加の手当てすれば命に別状はない。
折り畳み戦闘用アンドロイドは、アントン
・カントールのすぐ後ろにいる。太陽系から
設計図を手に入れて惑星セト上で製造された
ものだ。
ヴェータラのもつデータベース内にはこの
機種の情報はないだろう。対応に困って
いるかどうかは、その表情からはわからない。
イスハーク・サレハからの狙撃が再開し、
スケルトン兵士が次々と倒されていく。ころ
あいを見て、ヴェータラの剣の攻撃を
かいくぐって足元へ転がり込み、棍棒で
太もものあたりに打撃を入れる。
多少入ったが、蹴りと斬撃が来る。蹴りが
胸部をかすり、斬撃が腕を掠ったらしい。
シャマーラのところへそのまま転がっていく。
後方では、本部周りで動きがあった。
アンデット族の霊能士、パリザダ・ルルーシュ
の使用する、探査ドローン、シキガミが、
廃砦方面から来る馬影を捉えた。
廃砦から抜けた五騎が向かっている。
急いでセイジェン・ガンホンが呼ばれ、
迎え討つ体制が作られる。オリガ・ダンが
対騎馬用の槍を構え、その後ろにエンジニア
のヨミー・セカンドがグレネードランチャー
らしきものを構える。
パリザダは街道横の木に隠れ、もっと
手前のほうで剛弓をもつのはセイジェンだ。
射程内に入ったところで、街道に出て、
騎馬が向かってくる正面に立つ。
まず一射。一人落馬。そのままもう一射。
もう一人落馬。そして転がって、騎馬の
突撃をかわす。
起きざまに後ろからもう一射。さらに
ひとり落馬。
オリガ・ダンの前に二騎が到達するが、
対騎馬槍を見て突っ込めない、そこへ、
黒っぽいひらひらしたものが大量に
舞い寄ってくる。
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