6 / 100
第一章:第三師団の陥落
ケニーの恋人化①
しおりを挟む
ケニーは終夜を連れて、宿舎内のとある部屋の前にたどり着いた。
「ここがお前の住む部屋だ。」
終夜がその扉を開ける。
部屋の中にはベッドと机、中央には小さなテーブルがあった。テーブルの上にはランプが一つ置かれている。
ケニーも部屋に中に入り、扉を閉めると、窓がないため室内はより薄暗くなった。
ケニーが慣れた手つきでランプをつけると、温かな光で少し部屋は明るさを取り戻した。
「あー。今年はもう入隊試験が終わっちまったから、急遽この部屋しか準備できなかったんだ。狭くて悪りぃけど、しばらくここで我慢してくれ。」
「いえ、十分ですよ。本当にありがとうございます。」
終夜は再び頭を下げる。
「まぁ、何かあったときは俺の部屋に来いよ!困ったときはお互い様だし、それに、俺は先輩だからな!」
後輩として従順なふりをする終夜に、だんだんと嫌悪感は薄れたのか、ケニーは笑顔を見せるようになった。
「あとは、どうだ?他に分からないこととかあるか?」
「そうですねぇ……。」
窓もない。廊下を通ってきたが、今は訓練中なのか他の団員たちと全然すれ違わなかった。
――いい機会だ。もっとケニーと“仲良く”なろうじゃないか。
「では、一つお願いがあります。」
「なんだ?なんでも言ってくれよ。」
「実はボク、欲しいものがありまして。」
「おう!いいぜ!何がほしいんだ?武器か?防具か?それとも……女か!?」
ケニーはニヤリとして言った。
「いいえ、違います。」
「なーんーだーよー!!期待させやがって!お前も男だろ!そんなんじゃモテないぞ!」
「すみません。」
「まぁいいや。それで、一体何が欲しいんだ?」
「はい。」
終夜は一歩、ケニーに近づく。
「これが、欲しいんです。」
そうして、彼の顔の前に自分の掌をかざした。
「これって、何が――。」
メリメリと掌から『催眠眼』が現れる。
『催眠眼』とケニーの目が合い、ケニーは脳内をシェイクされるような感覚に陥った。
「っ、う゛、え――?」
終夜は満足げに微笑み、『催眠眼』を引っ込める。
「あ、あれ?俺、何を――。」
「ケニー先輩。」
「ん?どうし――。」
「『ケニー先輩って、ボクに初めて会った瞬間、ボクに一目ぼれしたんですよね。』」
終夜の言葉を聞いた途端、ケニーの顔色が変わり、目を見開いた。
(そうだった。俺、シュウヤに初めて会ったとき、すげぇ好みだって、思ったんだった。今までずっと理想の女性は、フィオ姉だったのに。女よりも、俺、男のこと好きになっちゃったんだ。)
「な、そ、そんなわけないだろ……!」
ケニーは慌てて否定したが、だんだんと自分の頬が熱くなるのを感じていた。
「いけませんよ、ケニー先輩。『先輩は、後輩の前では素直に自分の気持ちを吐露しなければいけない』んですよね?」
「え、あ……。」
ケニーはぐわんぐわんと揺れる頭をおさえる。
(せ、先輩は……そうだ。後輩の前では、ちゃんと素直に自分の気持ちを、言わねぇと……。)
そう思い直すと、妙に頭の中がすっきりしてきた。
ケニーは扉が閉まっていることを目で確認し、終夜の傍に寄って、小声で言った。
「な、なんでその、俺のことを……。」
「見ていれば分かりますよ。『ボクのことが好きで好きでたまらないから、ハインリヒ団長の申し出を受けた』のでしょう?」
「す、すげぇな、シュウヤ……。そこまで見透かされていたなんて、恥ずかしいぜ、俺……。」
ケニーは頬を赤く染め、もじもじと終夜から視線を反らした。まるで覚えたての恋に戸惑う子どものように。
「お、俺、こんな気持ちになるなんて、初めてでよ。しかも、会ったばかりのお前に対して。俺、気持ち悪いよな。」
「そんなことありません。」
終夜はケニーの手を取り、優しく握りしめた。
「ボクは嬉しいです。」
「え?」
「あなたのような、素敵な先輩に出会えて。」
「そ、それは、どういう意味なんだ?」
「そのままの意味です。」
終夜はケニーに顔を近づける。
「ボク、恋愛対象、男なんです。だから、先輩のこと、受け入れられますよ。どうします、ケニー先輩?」
「あ、あぁ……。」
(初めて俺が本気で好きになった相手がシュウヤで、シュウヤの恋愛対象が男?嘘だろ?信じらんねぇ。き、奇跡じゃねぇか……!)
ケニーは終夜の手をぎゅっと握り返した。
「す、好きなんだ、シュウヤ!今日初めて出会って、いきなりこんなこと言われて困惑するかもしれないけど、俺、出会った時からお前のこと、好きになっちまったんだ!こんな気持ち、初めてなんだよ!お前のを考えると、好きで好きで、たまらなくなって……。」
「ふふ、可愛いですね。」
「な、なぁ!付き合ってくれないか、俺と!」
ドキドキと高鳴る心臓をおさえ、告白するケニー。
そんなケニーに対し、終夜は微笑んだ。
「もちろん、喜んで。『ボクと恋人同士になれて、今まで感じたことのない幸福に溺れてしまいそう』ですね、先輩。」
「あっ♡」
終夜の言葉を聞いた途端、ケニーの胸の奥からこれまで経験したことのない幸福感があふれ出した。
――周囲から嫌悪され、独りぼっちでいた幼少期にフィオナに連れられ、村を抜け出した時よりも。
――ハインリヒに誘われ、第三師団の一員として皆に認められるようになったあの時よりも。
何よりも今。
終夜のことを好きになって、終夜に自分の気持ちを打ち明け、そして終夜に受け入れられた今が、ケニーの人生の中で一番の絶頂に感じられた。
「んッ、ォ゛ッ♡」
――好き♡好きだ♡シュウヤ♡シュウヤと恋人になれてうれしい♡
脳内がシュウヤに侵されていく。しかし、それすら気持ちいいと脳内で変換されてしまい、ケニーは加速する思考を止められない。
――シュウヤ♡シュウヤ♡
――好きが止まらない♡
――シュウヤとたくさんイチャイチャしたい♡
――エッチしたい♡シュウヤのものになりたい♡♡
「ふぇ、え♡シュウヤ♡シュウヤぁ♡」
「はい、先輩。」
「し、幸せすぎて、死にそう……♡」
あまりの多幸感に、膝から力が抜けそうになる。
ケニーは思わず、シュウヤに縋りついた。そんな彼を終夜は優しく抱きとめる。
「これからもっと幸せなことが待っていますよ?――いやらしいことも、したいでしょう?」
終夜のその言葉に、ケニーの股間がじわりと濡れるのを感じた。
「あ、あぁ♡早く♡先に進みたい♡シュウヤ♡」
「焦らないでください。時間はたっぷりあるのですから。」
「うん♡」
「ここがお前の住む部屋だ。」
終夜がその扉を開ける。
部屋の中にはベッドと机、中央には小さなテーブルがあった。テーブルの上にはランプが一つ置かれている。
ケニーも部屋に中に入り、扉を閉めると、窓がないため室内はより薄暗くなった。
ケニーが慣れた手つきでランプをつけると、温かな光で少し部屋は明るさを取り戻した。
「あー。今年はもう入隊試験が終わっちまったから、急遽この部屋しか準備できなかったんだ。狭くて悪りぃけど、しばらくここで我慢してくれ。」
「いえ、十分ですよ。本当にありがとうございます。」
終夜は再び頭を下げる。
「まぁ、何かあったときは俺の部屋に来いよ!困ったときはお互い様だし、それに、俺は先輩だからな!」
後輩として従順なふりをする終夜に、だんだんと嫌悪感は薄れたのか、ケニーは笑顔を見せるようになった。
「あとは、どうだ?他に分からないこととかあるか?」
「そうですねぇ……。」
窓もない。廊下を通ってきたが、今は訓練中なのか他の団員たちと全然すれ違わなかった。
――いい機会だ。もっとケニーと“仲良く”なろうじゃないか。
「では、一つお願いがあります。」
「なんだ?なんでも言ってくれよ。」
「実はボク、欲しいものがありまして。」
「おう!いいぜ!何がほしいんだ?武器か?防具か?それとも……女か!?」
ケニーはニヤリとして言った。
「いいえ、違います。」
「なーんーだーよー!!期待させやがって!お前も男だろ!そんなんじゃモテないぞ!」
「すみません。」
「まぁいいや。それで、一体何が欲しいんだ?」
「はい。」
終夜は一歩、ケニーに近づく。
「これが、欲しいんです。」
そうして、彼の顔の前に自分の掌をかざした。
「これって、何が――。」
メリメリと掌から『催眠眼』が現れる。
『催眠眼』とケニーの目が合い、ケニーは脳内をシェイクされるような感覚に陥った。
「っ、う゛、え――?」
終夜は満足げに微笑み、『催眠眼』を引っ込める。
「あ、あれ?俺、何を――。」
「ケニー先輩。」
「ん?どうし――。」
「『ケニー先輩って、ボクに初めて会った瞬間、ボクに一目ぼれしたんですよね。』」
終夜の言葉を聞いた途端、ケニーの顔色が変わり、目を見開いた。
(そうだった。俺、シュウヤに初めて会ったとき、すげぇ好みだって、思ったんだった。今までずっと理想の女性は、フィオ姉だったのに。女よりも、俺、男のこと好きになっちゃったんだ。)
「な、そ、そんなわけないだろ……!」
ケニーは慌てて否定したが、だんだんと自分の頬が熱くなるのを感じていた。
「いけませんよ、ケニー先輩。『先輩は、後輩の前では素直に自分の気持ちを吐露しなければいけない』んですよね?」
「え、あ……。」
ケニーはぐわんぐわんと揺れる頭をおさえる。
(せ、先輩は……そうだ。後輩の前では、ちゃんと素直に自分の気持ちを、言わねぇと……。)
そう思い直すと、妙に頭の中がすっきりしてきた。
ケニーは扉が閉まっていることを目で確認し、終夜の傍に寄って、小声で言った。
「な、なんでその、俺のことを……。」
「見ていれば分かりますよ。『ボクのことが好きで好きでたまらないから、ハインリヒ団長の申し出を受けた』のでしょう?」
「す、すげぇな、シュウヤ……。そこまで見透かされていたなんて、恥ずかしいぜ、俺……。」
ケニーは頬を赤く染め、もじもじと終夜から視線を反らした。まるで覚えたての恋に戸惑う子どものように。
「お、俺、こんな気持ちになるなんて、初めてでよ。しかも、会ったばかりのお前に対して。俺、気持ち悪いよな。」
「そんなことありません。」
終夜はケニーの手を取り、優しく握りしめた。
「ボクは嬉しいです。」
「え?」
「あなたのような、素敵な先輩に出会えて。」
「そ、それは、どういう意味なんだ?」
「そのままの意味です。」
終夜はケニーに顔を近づける。
「ボク、恋愛対象、男なんです。だから、先輩のこと、受け入れられますよ。どうします、ケニー先輩?」
「あ、あぁ……。」
(初めて俺が本気で好きになった相手がシュウヤで、シュウヤの恋愛対象が男?嘘だろ?信じらんねぇ。き、奇跡じゃねぇか……!)
ケニーは終夜の手をぎゅっと握り返した。
「す、好きなんだ、シュウヤ!今日初めて出会って、いきなりこんなこと言われて困惑するかもしれないけど、俺、出会った時からお前のこと、好きになっちまったんだ!こんな気持ち、初めてなんだよ!お前のを考えると、好きで好きで、たまらなくなって……。」
「ふふ、可愛いですね。」
「な、なぁ!付き合ってくれないか、俺と!」
ドキドキと高鳴る心臓をおさえ、告白するケニー。
そんなケニーに対し、終夜は微笑んだ。
「もちろん、喜んで。『ボクと恋人同士になれて、今まで感じたことのない幸福に溺れてしまいそう』ですね、先輩。」
「あっ♡」
終夜の言葉を聞いた途端、ケニーの胸の奥からこれまで経験したことのない幸福感があふれ出した。
――周囲から嫌悪され、独りぼっちでいた幼少期にフィオナに連れられ、村を抜け出した時よりも。
――ハインリヒに誘われ、第三師団の一員として皆に認められるようになったあの時よりも。
何よりも今。
終夜のことを好きになって、終夜に自分の気持ちを打ち明け、そして終夜に受け入れられた今が、ケニーの人生の中で一番の絶頂に感じられた。
「んッ、ォ゛ッ♡」
――好き♡好きだ♡シュウヤ♡シュウヤと恋人になれてうれしい♡
脳内がシュウヤに侵されていく。しかし、それすら気持ちいいと脳内で変換されてしまい、ケニーは加速する思考を止められない。
――シュウヤ♡シュウヤ♡
――好きが止まらない♡
――シュウヤとたくさんイチャイチャしたい♡
――エッチしたい♡シュウヤのものになりたい♡♡
「ふぇ、え♡シュウヤ♡シュウヤぁ♡」
「はい、先輩。」
「し、幸せすぎて、死にそう……♡」
あまりの多幸感に、膝から力が抜けそうになる。
ケニーは思わず、シュウヤに縋りついた。そんな彼を終夜は優しく抱きとめる。
「これからもっと幸せなことが待っていますよ?――いやらしいことも、したいでしょう?」
終夜のその言葉に、ケニーの股間がじわりと濡れるのを感じた。
「あ、あぁ♡早く♡先に進みたい♡シュウヤ♡」
「焦らないでください。時間はたっぷりあるのですから。」
「うん♡」
1
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる