【完結】縁起終夜の華麗なる異世界支配

荒巻一青/もふモフ子

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第一章:第三師団の陥落

ケニーの恋人化①

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 ケニーは終夜を連れて、宿舎内のとある部屋の前にたどり着いた。

「ここがお前の住む部屋だ。」

 終夜がその扉を開ける。
 部屋の中にはベッドと机、中央には小さなテーブルがあった。テーブルの上にはランプが一つ置かれている。
 ケニーも部屋に中に入り、扉を閉めると、窓がないため室内はより薄暗くなった。
 ケニーが慣れた手つきでランプをつけると、温かな光で少し部屋は明るさを取り戻した。

「あー。今年はもう入隊試験が終わっちまったから、急遽この部屋しか準備できなかったんだ。狭くて悪りぃけど、しばらくここで我慢してくれ。」
「いえ、十分ですよ。本当にありがとうございます。」

 終夜は再び頭を下げる。

「まぁ、何かあったときは俺の部屋に来いよ!困ったときはお互い様だし、それに、俺は先輩だからな!」

 後輩として従順なふりをする終夜に、だんだんと嫌悪感は薄れたのか、ケニーは笑顔を見せるようになった。

「あとは、どうだ?他に分からないこととかあるか?」
「そうですねぇ……。」

 窓もない。廊下を通ってきたが、今は訓練中なのか他の団員たちと全然すれ違わなかった。

 ――いい機会だ。もっとケニーと“仲良く”なろうじゃないか。

「では、一つお願いがあります。」
「なんだ?なんでも言ってくれよ。」
「実はボク、欲しいものがありまして。」
「おう!いいぜ!何がほしいんだ?武器か?防具か?それとも……女か!?」

 ケニーはニヤリとして言った。

「いいえ、違います。」
「なーんーだーよー!!期待させやがって!お前も男だろ!そんなんじゃモテないぞ!」
「すみません。」
「まぁいいや。それで、一体何が欲しいんだ?」
「はい。」

 終夜は一歩、ケニーに近づく。

「これが、欲しいんです。」

 そうして、彼の顔の前に自分の掌をかざした。

「これって、何が――。」

 メリメリと掌から『催眠眼』が現れる。
 『催眠眼』とケニーの目が合い、ケニーは脳内をシェイクされるような感覚に陥った。

「っ、う゛、え――?」

 終夜は満足げに微笑み、『催眠眼』を引っ込める。

「あ、あれ?俺、何を――。」
「ケニー先輩。」
「ん?どうし――。」
「『ケニー先輩って、ボクに初めて会った瞬間、ボクに一目ぼれしたんですよね。』」

 終夜の言葉を聞いた途端、ケニーの顔色が変わり、目を見開いた。

(そうだった。俺、シュウヤに初めて会ったとき、すげぇ好みだって、思ったんだった。今までずっと理想の女性は、フィオ姉だったのに。女よりも、俺、男のこと好きになっちゃったんだ。)

「な、そ、そんなわけないだろ……!」

 ケニーは慌てて否定したが、だんだんと自分の頬が熱くなるのを感じていた。

「いけませんよ、ケニー先輩。『先輩は、後輩の前では素直に自分の気持ちを吐露しなければいけない』んですよね?」
「え、あ……。」
 ケニーはぐわんぐわんと揺れる頭をおさえる。

(せ、先輩は……そうだ。後輩の前では、ちゃんと素直に自分の気持ちを、言わねぇと……。)

 そう思い直すと、妙に頭の中がすっきりしてきた。
 ケニーは扉が閉まっていることを目で確認し、終夜の傍に寄って、小声で言った。

「な、なんでその、俺のことを……。」
「見ていれば分かりますよ。『ボクのことが好きで好きでたまらないから、ハインリヒ団長の申し出を受けた』のでしょう?」
「す、すげぇな、シュウヤ……。そこまで見透かされていたなんて、恥ずかしいぜ、俺……。」

 ケニーは頬を赤く染め、もじもじと終夜から視線を反らした。まるで覚えたての恋に戸惑う子どものように。

「お、俺、こんな気持ちになるなんて、初めてでよ。しかも、会ったばかりのお前に対して。俺、気持ち悪いよな。」
「そんなことありません。」

 終夜はケニーの手を取り、優しく握りしめた。

「ボクは嬉しいです。」
「え?」
「あなたのような、素敵な先輩に出会えて。」
「そ、それは、どういう意味なんだ?」
「そのままの意味です。」

 終夜はケニーに顔を近づける。

「ボク、恋愛対象、男なんです。だから、先輩のこと、受け入れられますよ。どうします、ケニー先輩?」
「あ、あぁ……。」

(初めて俺が本気で好きになった相手がシュウヤで、シュウヤの恋愛対象が男?嘘だろ?信じらんねぇ。き、奇跡じゃねぇか……!)

 ケニーは終夜の手をぎゅっと握り返した。

「す、好きなんだ、シュウヤ!今日初めて出会って、いきなりこんなこと言われて困惑するかもしれないけど、俺、出会った時からお前のこと、好きになっちまったんだ!こんな気持ち、初めてなんだよ!お前のを考えると、好きで好きで、たまらなくなって……。」
「ふふ、可愛いですね。」
「な、なぁ!付き合ってくれないか、俺と!」

 ドキドキと高鳴る心臓をおさえ、告白するケニー。
 そんなケニーに対し、終夜は微笑んだ。

「もちろん、喜んで。『ボクと恋人同士になれて、今まで感じたことのない幸福に溺れてしまいそう』ですね、先輩。」
「あっ♡」

 終夜の言葉を聞いた途端、ケニーの胸の奥からこれまで経験したことのない幸福感があふれ出した。

 ――周囲から嫌悪され、独りぼっちでいた幼少期にフィオナに連れられ、村を抜け出した時よりも。
 ――ハインリヒに誘われ、第三師団の一員として皆に認められるようになったあの時よりも。

 何よりも今。
 終夜のことを好きになって、終夜に自分の気持ちを打ち明け、そして終夜に受け入れられた今が、ケニーの人生の中で一番の絶頂に感じられた。

「んッ、ォ゛ッ♡」

 ――好き♡好きだ♡シュウヤ♡シュウヤと恋人になれてうれしい♡

 脳内がシュウヤに侵されていく。しかし、それすら気持ちいいと脳内で変換されてしまい、ケニーは加速する思考を止められない。

 ――シュウヤ♡シュウヤ♡
 ――好きが止まらない♡
 ――シュウヤとたくさんイチャイチャしたい♡
 ――エッチしたい♡シュウヤのものになりたい♡♡ 

「ふぇ、え♡シュウヤ♡シュウヤぁ♡」
「はい、先輩。」
「し、幸せすぎて、死にそう……♡」

 あまりの多幸感に、膝から力が抜けそうになる。
 ケニーは思わず、シュウヤに縋りついた。そんな彼を終夜は優しく抱きとめる。

「これからもっと幸せなことが待っていますよ?――いやらしいことも、したいでしょう?」

 終夜のその言葉に、ケニーの股間がじわりと濡れるのを感じた。

「あ、あぁ♡早く♡先に進みたい♡シュウヤ♡」
「焦らないでください。時間はたっぷりあるのですから。」
「うん♡」

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