10 / 14
ポポロップ。
しおりを挟む「もぐもぐ救援もぐもぐもぐもぐもぐもぐ感謝すもぐもぐもぐもぐもぐ名前もぐもぐポポロッもぐもぐもぐもぐもぐありがもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
「なんて?」
助けた幼女に、追加で炊いといたご飯で天丼を作ってご馳走した。今はその小さな体で天丼を貪ってる最中だ。
長い髪の毛が全身にベタベタと張り付いてるので未だにバケモノちっくな見た目だけど、改めて見るとそれなりに観察出来た。
髪の毛が長すぎて絡まってるけど、顔だけは何とか外に出してずっと天丼を食べてる。
その顔は常に半目で眠そうだけど、パーツが綺麗に整ってる。汚れてなければそれなりに可愛いのだろう。耳はふわふわの毛に覆われて少し長くてエルフっぽい。頭の横に生えた捻れ角と合わせると、羊の獣人なんだろうか。
「けぷぅ~……、この世でいちばんおいしいしょくじだった」
「気に入って貰えたなら良かったよ。それで、土左衛門幼女のお名前は?」
残った天ぷらをサクサクしながら聞いてみる。生憎ともぐもぐしか聞けて無いからね。
「む、ポロはドザエモンヨージョじゃない。ポロの名前はポポロップ・エスプワープ。旅の牙羊族。助けてくれたお礼に、特別にポロの事をポロと呼んでも良い」
「そいつはどうも」
ふすーっと鼻息を吐く幼女。見た目はこれ、何歳? ごめん子供の年齢とか見ただけじゃ分からないよ。多分十歳以下だとは思うけど。
「ポロは名乗った。アナタの名前、なに?」
「ああ、これは失礼した。俺の名前は河野海人。家名が後に来る文化ならカイト・カワノになるかな?」
名前を聞くなら自分からと言うが、名乗るのを忘れていた。文化が分からないけど失礼に当たるかもだし、今度から気を付けよう。
「カイト。うん、ポロは覚えた」
「それで、ポロちゃんはどうして海に? 下手したら死んでたと思うけど」
「それは、とても深い訳がある」
なにやら厄介事だろうか。人命救助は人として最低限の事だと思って助けたけど、面倒事は勘弁して欲しいんだよな。
俺は釣りさえしてれば満足なんだ。逆に言うと釣りが出来なくなる事態はどんな理由であれ許容出来ない。もし面倒な頼み事とかされたら断ろう。
そう思って続きを待つと、ポロの口からその『深い訳』が語られた。
「ポロは、サカナと言うものを食べた事が無い。だから、サカナを食べてみたくて、川で狩りをした」
「………………ふむふむ。なるほど?」
のっけから随分と深い。踝くらいまでは浸かるかな?
「川で狩りって言うのは、漁の事で良いのか?」
「? 分からない。とにかくサカナを取ろうと思った。木で作った槍で刺せば取れると思った。リョーって言うのは、サカナを狩ること?」
「まぁそうだな。サカナを取る行為をそう呼ぶかな」
この世界に漁と言う概念が無いのか、それともこの子が単純に知らないだけなのか。それはこの先、この世界で生きてれば分かるだろう。今は続きを聞こうか。
「それで?」
「うん。それで、ポロはリョーの途中で、足を滑らせて川に流れた」
めっちゃ深ぇ事情だなぁ。足裏くらいは濡れるだろうか。水たまりよりは深いと思いたい。
「死にたくなかったから、守りの法術で身を守った。そしたらここに居た」
「要するに川に流されたら海まで来ちゃったと」
「………………うみ?」
どうやらこの子は、ここが流されたら先の川だと思ってたらしい。どんだけ流されてんだコイツ。
「うみ、海? もしかして、塩がとれる、海?」
「その海だな。ほら、見てみろよ。川に見えるか?」
「……………………っ!? くらいけど、ひろいっ」
暗くて地平線までは見にくいけど、それでもこの大海原を見て川だとは思えないだろう。
見ていて反応が面白い。でも事態はシャレになってない。良く死ななかったな。
「守りの法術ってのは?」
「ん。ポロは大人の淑女なので、魔法が使える。これ」
聞くと、ブンッと音がして半透明な膜がポロを包む。結界的な魔法なのか? すげーじゃんカッコイイ。
それで流されてる途中に岩にぶつかったりするのを防いで、息継ぎとか色々頑張って生き延びたのかな。外傷を防げるなら呼吸の問題だけで済むし。
「まぁ、不幸な事だったかもしれないけど、結果的には良かったかもな。初めて食べた魚は美味かったか?」
「………………? ポロ、まだサカナたべてない。見たこともない」
ああ、今食べてた物が魚だって分かってないのか。
「これ、魚を使った料理だぞ?」
「…………ッッ!? これ、サカナっ!? おいしかた! カイト、サカナ取れる!?」
「むしろ魚しか取れん。俺は魚を取るのが大好きで、いつもずっと魚ばっかり取って食べてるんだよ」
「ッ! す、すごい、カイトすごい! すごくすごい! ポロ、川で探しても見付けられなかった!」
今はポケットなモンスターに出てくる触手玉みたいな見た目だけど、段々可愛く思えて来た。何こいつ飼いたい。
「ぽ、ポロもサカナとりたい! どうすれば良い?」
「だったら明日、道具も貸してやるし教えてやるよ。あと川で溺れたって事は、その近くに住んでた場所があるんだろ? そこまで船で送ってやるよ」
「か、カイトはかみさま……? いいひと?」
「神様はもっと優しいよ。俺は海の神様に助けて貰ったことあるけど、俺なんかとは比べ物にならない良い神だったよ。ポロも祈れば魚が沢山取れるかもな」
「んっ! ポロも祈る。海の神様、ありがとう。サカナおいしかた……」
何故か旅の道連れが出来てしまったけど、送り届けるくらいならしても良い。川ならボートで遡上出来るだろし、移動の問題は無い。
問題は、ポロが流れて来た川を見付けられるかって事だけど、それはまぁ見付からなくても俺のせいじゃ無いし。
「取り敢えず、ポロの見た目を何とかするか。髪の毛ぐしゃぐしゃで人には見えないもんな」
「…………ん。ポロは大人の淑女なので、みだしなみ? には気を付ける」
0
あなたにおすすめの小説
異世界帰りのハーレム王
ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。
で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか?
異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕!
異世界帰りのハーレム王
朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる