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朝飯釣り。
しおりを挟む「カイト、寝床は……」
「それ使え。俺は座って寝るから」
風呂を出るタイミングで森から襲って来た黒猿をレーザーライフルでぶっ殺した俺は、そのポイントを使ってトラップを仕掛けてからテントに戻った。
俺がショップで買えるのは生前に買ったことのある物だけなので、トラップと言っても鳴子くらいしか作れなかったけど。
置き竿用の鈴を釣り糸に付けて、風では鳴らないけど触れるとやかましく鳴る調整をして、黒猿対策とした。
俺、良く初日はそのまま寝れたな。結構綱渡りじゃん。
寝る場所を気にするポロにマットと毛布を譲って座る。同じテントが嫌だっつぅなら悪いが外に行ってくれ。流石にそこまで気を使う義理はない。
「でも、これカイトの……」
「大人のレディなんだろ? 俺の故郷には『淑女優先主義』って物があってな、分け合えない物が一つしか無いなら、女の子に譲る文化なんだよ」
正確にはちょっと違うけど大体そんな感じのはず。
「そ、それは良い文化。とても良い文化だと思う」
「その代わり譲られて当然って顔するやつは女扱いしないけどな。淑女は慎みを持ってこそだろ?」
「そう、その通り。カイトはよく分かってる。…………でも、今日は譲って欲しぃ」
毛布を口元まで上げたポロが、蚊の鳴くような声で呟いた。
「気にせず使えよ。シャツ一枚じゃ寒いだろ」
「…………カイトは紳士。さっきの失礼は水に流す」
漁は知らないのに淑女だの紳士だのは知ってるアンバランスなポロに苦笑いが漏れる。ちょっと親の顔が見て見たくなったから、ポロの家探しは少し頑張ろうと思う。
翌日、またも日の出と共に目が覚めた。
朝食を釣ってから移動しようそうしよう。
「カイト、おはよう……」
「おはよう。…………なんだ、ちゃんとしたらめちゃくちゃ可愛いなお前。二度と水に浸かるなよ」
「……湯浴み、するなと?」
テントを出た俺を追うようにして起きて来たポロは、しっかりと乾いた髪がふわふわと広がってボリュームが凄い。
膝裏くらいまで伸びたスーパーウェーブロングヘアが赤い朝焼けに照らされて眩しいくらいだ。彼シャツ状態なことも相まって変な魔力がある。
見た目は幼女だけど十七歳だと知ってしまったら多少の意識はしてしまう。女の子より釣りが優先なので彼女とか居たことなくて、正直距離感が分からない。
「カイト、なにしてる?」
「朝飯を釣ろうかと思ってな。あれだよ、サカナ取りだよ」
「ッ!? ぽ、ポロもやる! やりたい!」
半開きの癖にキラキラした目をするポロに押されて、一緒にボートで沖に出る。
今回は俺も神器を使わず鱒ライダーを用意して、ポロと同じ装備で釣りを始める。
「いいか? これは棒のことを釣竿、くっ付いてる糸巻きをリールと呼ぶ。まずリールの使い方から教えるから、ちゃんと聞けよ?」
「分かった。ポロは賢いからちゃんと聞く」
今回は赤バス対策でワイヤーリードも用意してある。ルアーから伸びる十センチほどを鋼線に置き換える事で、歯の鋭い魚を釣ってもラインが噛み切られないようにするのだ。
ポロにルアーの投げ方を教えて釣りをやらせる。ルアーは赤バスが食い付いた実績があるメタルバイブレーションをそのまま投入。
「…………ッ!? か、カイトっ、何かきた、ブルブルしてるっ!」
「おっ、釣れたか? じゃぁ教えた通りにしてみろ。きっと大丈夫だから」
ポロの竿に当たり。フッキングさせてファイトに移る。
「ッッ!? な、なんで触るっ?」
「お前が落ちないように支えてんだよ」
「あっ、…………ありがとぅ」
小さいから赤バスに負けて海に落ちないか心配だったので、腰に手を回して抱えるようにしたらポロが慌てだした。セクハラに厳しい性格らしい。
また三十分くらい格闘して、やっとボートに寄せたのはやっぱり赤バスだった。
「よし任せろ、コレを口に噛ませて……」
ポロが釣った赤バスの口にフィッシュグリップを捩じ込んでランディング。最初に見た赤バスよりは少し小ぶりだけど、八十くらいは有るだろうから充分に大物だ。
「……これが、サカナ! おおきいっ」
「ちなみに昨日食べた奴はまた別のサカナだぞ。色々種類が居るんだ」
「ッ!? ……じゃぁ、これおいしくない?」
「いやクソ美味い。俺は食った事あるから間違いない」
「はやくっ、はやく食べたい!」
「まぁ待て待て。どうせならもっと沢山釣ろうぜ?」
俺はポロが釣った赤バスの額にナイフを叩き込んで絞めた後、インベントリに赤バスを収納した。こうすれば良かったんだな。
それからポロと二人で赤バスを釣り続け、1メートル近い怪魚を九匹も釣り上げた。全てインベントリにしまってある。
「あ、ちなみにポロは魚を生でも食べれるか? 嫌なら焼くけど」
「……? 美味しければ、なんでも」
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