39 / 153
ダイレクトメッセージ。
しおりを挟む今のナイトは食べ物を口にして味を感じることは出来るんだけど、飲み込んで消化する事は出来ない。なのでナイトは口に入れて味わった食べ物を蒼炎で燃やし尽くして、『食べて飲み込んだ事にする』食事ごっこを編み出した。
この食事ごっこの利点は、本来犬が食べれないはずの食べ物も、気にせず楽しめることだ。塩辛い物も玉ねぎもチョコレートもニンニクも、幽霊のナイトに影響を及ぼさない。
入院中、お母さんが買って来てくれた私のお見舞い品からチョコレートをちょろまかして「えっ、チョコレートうっまッ!?」てハジケまくってたの忘れないからね。
今まで食べちゃダメだと言われてたチョコレートを食べたらめちゃくちゃ美味しかった。そしてこれからは気にせず食べれる。そんなお得感にはしゃぐナイトは可愛かった。そう、絶対に忘れない。
「お、返信きた」
『真田大正@映画見てね☆:返信ありがとう! 豪徳寺さんからも連絡が行くと思うんだけど、ちょっとジョニーズをメインにしたとある番組を立ち上げることになってね。そのお手伝いを頼みたいんだ』
『蒼乃フラム:お偉いさんからの連絡も来ました。大正さんと話しを詰めて番組に出るように指示を受けてるので、その通りにします。ただ、レギュラー出演は無理ですよ?』
『真田大正@映画見てね☆:ありがとう! 事情は少し聞いたから大丈夫。豪徳寺さんの指定する番組に何回か出るだけなんだよね? もちろんフラムさんが望んでくれたらその場でレギュラー確定だけど』
『蒼乃フラム:一年ぶりに学校へ復学出来たばかりですし、変わった日本の常識にもまだ慣れきってません。こんな状態でレギュラー出演は無理ですね。お誘い頂き嬉しく思いますが、御遠慮させていただきます』
私は知っているぞ。大正さんが勧誘してくる理由は、もちろん私が数字を取りやすいってのもあるんだろうけど、一番は私とセットでついてくるナイトの存在だろう。
ペイッターでシュポッ、シュポッとメッセージを投げあってお仕事の確認をする。
日本に限らず、世界のあらゆる国々はダンジョンとDMの存在に踊らされ続けた。その対策としてダンジョンアタッカーが定着しつつあるのだけど、自動で勝手に動画配信がセットになるダンジョンアタッカーは、ちょっとしたアイドル業みたいな側面も持っているらしい。
要は、カッコよくて頼りになるお兄さんお姉さんが、ライブ配信や投稿動画で華麗にモンスターを倒す娯楽映像作品は、確かな需要が発生しているんだ。
そこでジョニーズ事務所は考えた。『ダンジョンアタッカーがアイドルになれるなら、アイドルがダンジョンアタッカーになっても良いよね?』。
そんな理由で立ち上がる新番組、『ダン×ダン! ファイヤー!』。これはジョニーズの先輩アイドル達や現役のダンジョンアタッカーに教えを受けて、ジョニーズジュニアの中から比較的歳が上のメンバーを集めてパーティを組ませ、立派なダンジョンアタッカーに育て上げる内容の番組となっている。
そのスターティングメンバーのゲストとして私を使いたい。それがお偉いさんとジョニーズ事務所の考えで、私は出演権の約束があるので断れない。
まぁ別に断るつもりも無いんだけど。
『蒼乃フラム:でも、私は非公認なのでダンジョンアタックには参加出来ませんよ?』
『真田大正@映画見てね☆:いや、非公認でもダンジョンアタック自体は出来るよ。非公認だと武器が買えないだけだから。ダンジョンはパスポートが要らない異国扱いで、今のところ犯罪者の国外逃亡を防ぐ以外の理由では禁止出来ないんだ』
『蒼乃フラム:いや、武器が無いだけでも普通に困りますよ? クリアしたからって私は別に、銅級ダンジョンを舐めたりしません。蒼炎だけを過信してダンジョンアタックとか嫌ですよ?』
『真田大正@映画見てね☆:もちろん、君を丸腰でダンジョンに放り込むなんて事はしないよ。武器の購入が出来ないなら、局かジョニーズ事務所の方で武器を用意すれば良いだろう? フラムちゃんは大戦斧を使うだろ? ちゃんと用意させとくよ』
ふむふむ、なるほど。
ダンジョンアタッカーは資格が必要なく、代わりに登録が必要な職業だ。
それは法律に引っかかる武器を購入する時に、書類や申請に関わる問題をクリアするためだ。その為、普通のダンジョンアタッカーはどうしても個人の登録が必要不可欠になる。武器無しでダンジョンに潜るなんて自殺行為だから。
でも、武器をテレビの方で用意してくれるなら、確かに私は登録無しでダンジョンアタックに参加出来る。
「なるほどねぇ」
『真田大正@映画見てね☆:そんなわけで、一度顔を合わせて話したいんだけど、予定とか聞いても良いかな? こっちは今出演が決まってるメンバーと番組ディレクターを連れてくから。フラムさんも必要ならご両親も誘って是非、ご飯でも食べながら話そう』
『蒼乃フラム:了解しました。両親と相談します。一応予定は次の日曜日でお願いしようと思います』
次の日曜日が二十五日か。とりあえず五日後かな。
私はすぐメッセージアプリLIKEを立ち上げて家族用のグループにチャットを飛ばす。
蒼乃フラム:ねぇねぇお父さん、お母さん
蒼乃フラム:テレビ局とジョニーズの大正さんから連絡が来たんだけど
蒼乃フラム:出て欲しい番組の相談がしたいから、お食事でもどうかって
お母さん:あら、お母さんたちもジョニーズの人とご飯食べれるの?
蒼乃フラム:うん
蒼乃フラム:大正さんがね、みんなで是非って
蒼乃フラム:お父さんはお仕事かな?
お母さん:そうねぇ。お父さんは今忙しいと思うわ
お母さん:優ちゃんがテレビに出るのは良いけど
お母さん:優ちゃんの負担にはならないのよね?
蒼乃フラム:それは大丈夫だよ
蒼乃フラム:べしゃりステージに出る時にお偉いさんと約束したから
蒼乃フラム:三回はテレビに出るって
蒼乃フラム:嘘つきはダメでしょ?
お母さん:優ちゃんの負担にならないなら良いのよ
お母さん:それはすぐの話しなの?
蒼乃フラム:一応、次の日曜日が良いですって返事したよ
蒼乃フラム:お母さんたち、日曜日で大丈夫? 事後確認でごめんね?
お母さん:日曜日ならお父さんもお休みだから、多分大丈夫よ
お母さん:それにお父さんがお仕事でも、お母さんは行けるもの
お母さん:まさかお母さんもジョニーズの人に会えるなんてね
お母さん:いっぱいおめかししなきゃ
蒼乃フラム:お母さんはおめかししなくても綺麗だよ!
蒼乃フラム:お母さんのお洋服新しく買うなら、DMのお金おろす?
お母さん:もうバカねぇ。娘にお小遣い貰わないと服も買えないお母さんじゃないわよ?
お母さん:ちゃんとお父さんにおねだりするから、優ちゃんは気にしなくて大丈夫
蒼乃フラム:わかったー!
とりあえず日曜日で大丈夫そうだ。
視界に写る画面を全部閉じた私は、友達の相手を任せていたナイトを見る。
「わっふん! わっふん!」
「すげー!」
「ナイトくんかっこいー! かわいー!」
見ると、ナイトがシャチホコみたいなポーズ(多分シャチホコに成りたいんだろうけど完全に上を向いたアザラシのポーズ)でビシッと決めながら蒼炎を噴き上げて、周りの子供たちがその姿を誉めそやす光景が目に入ってきた。
…………なに、この、…………なに?
0
あなたにおすすめの小説
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
異世界帰りのハーレム王
ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。
で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか?
異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕!
異世界帰りのハーレム王
朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる