Blue Flame Little Girl 〜現代ダンジョンで地獄を見た幼女は、幸せに成り上がる〜

ももるる。

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分かっててやる無茶は無茶足り得るのか。

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 蒼乃フラム式レベリング。

 これは要する、ダンジョン内で苦労すれば苦労する程強くなれるって法則だ。

 どんな形であれ、なんなら戦闘に勝利して無くても、自分に負荷を掛ければかけるほど、レベルアップした時の上がり幅が増える。

 だから、家族が私と一緒に銀級に行きたいと言うならば、

「まずは五層」

 二人には死ぬ程・・・苦労してもらわなくちゃならない。

「気張って二人ともッ!」

 依頼を受けた当日の昼。私はダンジョンを駆け抜ける。

 殿はナイトにお願いして、そしてナイトの背中にお母さんと真緒を括り付けて。

 あっと言う間に五層まで駆け抜けた。

 そして、そんな私達を待ってるのは中ボス戦。銅級五層を守るフロアボス、サンダーレオとのご対面だ。

 五層はただ広く、ただただ広く、もうめっちゃ広い森林や草原などの緑ステージが広がっていて、この階層にはサンダーレオしか居ない。

 この広大な敷地からサンダーレオ一頭を見付けて討伐すると、次の階層へ行ける仕組みになってる。討伐後にサンダーレオの死体の下に、いつの間にか階段が発生するのだ。

 なので、この階層はサンダーレオを殺さないと次に行けない。
 
 私が殺した場合、この階層に居る他のアタッカー達も六層へ行けちゃうのかまでは知らないけど、まぁ仮に行けたとしても六層のモンスターにぶっ殺されるだろうし、自己責任でおなしゃす。

 五層に辿り着いた私とナイトは、鼻と目ですぐサンダーレオを見付ける。今日からの計画にはサンダーレオの存在が不可欠なのだ。まぁ必要無くても六層行くのに殺さなきゃだし。

 で、見付けたサンダーレオは40人くらいのレギオンと戦闘中で、私達はそこに加勢する事は一切無く、40人が撤退するまで時間を潰した。

 死者が出ても無視。助けてとわれても無視。

 ここはそう言う場所じゃ無い。死にたくなかったらダンジョンに潜らなきゃ良いんだ。

 そうやって阿鼻叫喚の景色を見ながら待って、やっとフリーになったサンダーレオへ小さな蒼炎を飛ばして喧嘩を売った。


 そこからが、お母さんと真緒の地獄である。


 二人はまだ一つもレベルを上げてない。勿体・・無い・・と思って私が調整してたから、二人は未だにレベル1なのだ。

 間違っても五層のボスに挑んで良い状態じゃない。ガチでやらせらた本当に二人は死ぬだろう。

 だか・・らこ・・そ、・・やら・・せる・・

 私は、レベル1の二人を連れてサンダーレオに殴り込み、そして二人に戦わせて待機してる。

「死ぬ気で戦えぇぇぇぇえええッッッ!」

 もちろん二人が死ぬような攻撃は私とナイトがインターセプトする。けど、死なない攻撃は防がないし、サンダーレオを削るのは二人にやらせる。

 文字通りに、血反吐を吐きながら戦ってもらう。

 今の二人だと、サンダーレオに攻撃したって大したダメージにならない。流石にレベル1のアタッカーと五層のボスじゃ話しにならない。

 だからこそ、命懸けで濃密な戦闘を演出出来る。ミッチリと中身が詰まった美味しい経験値がたっぷりと手に入り、極上のレベルアップが出来るはず。

 二人を安全に銀級に連れて行くなら、そのための無茶を今やる。

 最短で、最大限に最高率のレベルアップだけを重ねて、レベル4を超える頃には一人でサンダーレオを一人で倒せるくらいに育て上げる。

「いぎゃっ……」

 真緒が…………、白乃ニクスがサンダーレオに殴られて吹っ飛んだ。お母さんがカバーに入るも、帯電する獅子の能力をスキルで相殺するのが精一杯だ。

 一時間、二時間と時が経つにつれて、二人はボロ雑巾のようになって行く。

 でもまだ、最低限しか助けない。

 ボロ雑巾じゃまだぬるい。理想は生き・・てる・・ミン・・チだ・・

 ポーションで回復出来るギリギリくらいまで瀕死になって欲しい。きっとアホほど耐久が伸びるはずだ。

 もちろん、こんな事したくない。傷付く家族を見てたら、知らぬ間にギッチギチに握ってた手から血が垂れてる。爪で手のひら切ってしまった。

 家族は、お母さんもお父さんも、真緒も、すぐ側に居たナイトも、みんなこんな気持ちだったのか。私は再認識した。

「……………………うん、もう良い。君は用済みだよ」

 お母さんと真緒が、全身血塗れで限界を超えて、意識を失って倒れ伏すまで無理やり戦わせてから、……………………気を失った二人をナイトに任せて、私は全てを焼いた。

 燃えろ。燃えろクソがっ。

 よくも私のお母さんと、真緒をッッ…………!

「消えろカスがぁァアッッ……!」

 大炎塊。

 流石にこの広大な五層全てを燃やせはしないけど、でも直径1キロ程度なら消し炭に出来るからな?

 魔力が空っぽになるまで蒼炎を吹き散らかして、サンダーレオを消し飛ばす。

「…………今更だけど、サンダーレオの色ってランダムなんだね」

 周囲直径1キロ圏内を消し炭にした私は、本来ならレオの死骸に隠れるようにしれっと発生するはずの階段が現れる様子を見ながら、そんな呟きを零した。

 私が例の三ヶ月で最初に遭遇したレオは緑色だったが、このレオは真っ黒だった。

 まぁ、だからなんだって話しだけど。

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