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異世界へ
第5話 獣道
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とりあえず、生き物を殺すのは出来るだけ影井さんが引き受けてくれるらしい。でも覚悟はしておけと。あたしとしても異世界転移の時点で覚悟を決めるべき部分だとも思うので仕方のないところね。
「じゃあ、とりあえず、移動しよう」
あら、いきなりね。影井さんの移動の方針が分からないわ。
「ん?」
あたしの疑問を感じたのかしら。影井さんがフッと笑った気がしたわ。
「まずは、水を確保したいのはわかるかい。そのために地形を確認する必要がある。だからとりあえずはあっちに向かうよ」
影井さんの指し示したのは山の上。ということはこれから山登りイベントって事ね。仕方ないのは分かるけれど、あたしはインドア派なのよね。でも、水が欲しいのに登るのね。
「はあー」
あたしがため息をつきながら覚悟を決めて立ち上がったところで、影井さんが手を出してきたわ。何かしら。
「荷物を私が多少なりと持ってあげるよ。文芸部の華さんには、いきなりの山登りで手に荷物では辛いでしょ。」
あら、紳士ね。アウトドア系のイケイケな人かと思っていたのだけど。
「それとこれ」
そう言って渡してきたのは
「これはズボン?」
「華さん上は長袖だからマシだけど、スカートで山歩きはちょっとね」
言われてみればその通りね。有難く使わせてもらうことにするわ。でも当然だけど大分大きいわね。
裾をまくってこれも影井さんが貸してくれたベルトで間に合わせでずり落ちないように引きずらないように合わせて。
「ありがとうございます」
「あと、華さんもこの程度はなんでもないように体力つけないといけないよ。これから先必ずしも私が荷物持ちを出来ないこともありうるからね」
ああ、あたしの苦手なトレーニングってやつね。確かに日本でならいらなくてもここではきっと必要になるわね。
「はい」
だからと言って、さすがにこの状況で”イヤ”とはあたしでも言えないわ。
「はー」
思わずため息をついてしまったわ。これは仕方ないわよね。
「くくく」
あたしの様子を見て影井さんが面白がるような声が聞こえて来たので睨んでしまったのは仕方ないと思うの。
「ま、良い。行こう」
影井さんが自分の大きなリュックを背負い、あたしのバッグを左手に右手には一旦仕舞っていた厚手の刃物を持って歩き出したので、慌ててあたしは背負ったままだったリュックの位置を整えて後をついて歩き始めた。
歩き始めて気付いたのだけど影井さんが歩くのは何かちょっと細い道みたいになっているわね。
「影井さん。ここって道なの?」
「ん?まあ道と言えば道かな。ただし動物のね。獣道っていうんだけど……」
影井さんが言うには野生の動物は割と決まったルートを通るそうで、そこが道のようになるとのこと。
「へー。でもそれだとその動物に会ったりするんじゃないの?」
「まあ、そういうリスクはあるんだけどね。それでもね、ずっとそういうところを歩くよりはね」
そう言って影井さんが示したのは獣道の脇、つる草や背の低い木がわさわさとした下生えが酷くて確かに歩く気にはならないわね。
そしてもう一つ。あたしは影井さんは時々木に傷を付けていることに気付いたの。
「ねえ、影井さん。その時々木に傷を付けているけど、何のためなの?」
「ん?ああ、これは通ったルートが分かるようにね。こうやって傷の形で来た方向と行く方向が分かるようにしているだよ」
「なんのために?」
あたしは同じ言葉を繰り返してしまったわ。
「まあ、この地に転移してきた場所、割と開けていただろう。場合によってはあそこを拠点にするかもしれないから戻りたいと思ったときに戻れるようにだね。近くに水場があるように思えなかったから可能性は低いけどね」
「じゃあ、とりあえず、移動しよう」
あら、いきなりね。影井さんの移動の方針が分からないわ。
「ん?」
あたしの疑問を感じたのかしら。影井さんがフッと笑った気がしたわ。
「まずは、水を確保したいのはわかるかい。そのために地形を確認する必要がある。だからとりあえずはあっちに向かうよ」
影井さんの指し示したのは山の上。ということはこれから山登りイベントって事ね。仕方ないのは分かるけれど、あたしはインドア派なのよね。でも、水が欲しいのに登るのね。
「はあー」
あたしがため息をつきながら覚悟を決めて立ち上がったところで、影井さんが手を出してきたわ。何かしら。
「荷物を私が多少なりと持ってあげるよ。文芸部の華さんには、いきなりの山登りで手に荷物では辛いでしょ。」
あら、紳士ね。アウトドア系のイケイケな人かと思っていたのだけど。
「それとこれ」
そう言って渡してきたのは
「これはズボン?」
「華さん上は長袖だからマシだけど、スカートで山歩きはちょっとね」
言われてみればその通りね。有難く使わせてもらうことにするわ。でも当然だけど大分大きいわね。
裾をまくってこれも影井さんが貸してくれたベルトで間に合わせでずり落ちないように引きずらないように合わせて。
「ありがとうございます」
「あと、華さんもこの程度はなんでもないように体力つけないといけないよ。これから先必ずしも私が荷物持ちを出来ないこともありうるからね」
ああ、あたしの苦手なトレーニングってやつね。確かに日本でならいらなくてもここではきっと必要になるわね。
「はい」
だからと言って、さすがにこの状況で”イヤ”とはあたしでも言えないわ。
「はー」
思わずため息をついてしまったわ。これは仕方ないわよね。
「くくく」
あたしの様子を見て影井さんが面白がるような声が聞こえて来たので睨んでしまったのは仕方ないと思うの。
「ま、良い。行こう」
影井さんが自分の大きなリュックを背負い、あたしのバッグを左手に右手には一旦仕舞っていた厚手の刃物を持って歩き出したので、慌ててあたしは背負ったままだったリュックの位置を整えて後をついて歩き始めた。
歩き始めて気付いたのだけど影井さんが歩くのは何かちょっと細い道みたいになっているわね。
「影井さん。ここって道なの?」
「ん?まあ道と言えば道かな。ただし動物のね。獣道っていうんだけど……」
影井さんが言うには野生の動物は割と決まったルートを通るそうで、そこが道のようになるとのこと。
「へー。でもそれだとその動物に会ったりするんじゃないの?」
「まあ、そういうリスクはあるんだけどね。それでもね、ずっとそういうところを歩くよりはね」
そう言って影井さんが示したのは獣道の脇、つる草や背の低い木がわさわさとした下生えが酷くて確かに歩く気にはならないわね。
そしてもう一つ。あたしは影井さんは時々木に傷を付けていることに気付いたの。
「ねえ、影井さん。その時々木に傷を付けているけど、何のためなの?」
「ん?ああ、これは通ったルートが分かるようにね。こうやって傷の形で来た方向と行く方向が分かるようにしているだよ」
「なんのために?」
あたしは同じ言葉を繰り返してしまったわ。
「まあ、この地に転移してきた場所、割と開けていただろう。場合によってはあそこを拠点にするかもしれないから戻りたいと思ったときに戻れるようにだね。近くに水場があるように思えなかったから可能性は低いけどね」
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