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ギルドからの依頼
第58話 救援依頼
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「朝未、魔力の残りは?」
悲鳴を聞いた瑶さんは剣についた血糊を拭いながらも最初にあたしの魔力を聞いてきたわ。
「半分以上残ってます。余程魔法を連発しなければ大丈夫です」
あら?瑶さんがちょっと考え込んだわね。
「補助魔法がそろそろ切れるよね」
「え、ええ。でも掛けなおしても4割くらい残りますよ」
「状況次第だけど、補助魔法は私が掛けよう。朝未は、探知魔法はそのまま、弓で先制、その後は弓での攻撃を優先。魔法は倒すよりかく乱に使って」
「え?でもそれじゃ」
瑶さんの負担が一気に増えすぎないかしら。
「本当は、1戦後は休息を入れてある程度以上回復してから次の戦いに向かうつもりだったんだけど、そうも言っていられないようだからね。とりあえず状況確認をするよ」
「はい、瑶さん、探知範囲は?」
「……。通常でいい。風下から接近するよ」
「え?でもそれだと遠回りに」
「分かっている。だけどね、私は誰かを助けるために朝未にしろ私自身にしろ大きなリスクを背負うつもりはないよ。そもそもハンターは自己責任だからね。それに風下から攻めたほうが助けられる可能性も上がるから」
「え?なんで?」
「朝未、冷静になりなさい。今敵は、どこかのパーティーを襲っていて意識がそっちに向いている。そこに風下から急襲すればどれほどの効果があるか分かるだろう。それを逆に風上から迫ったら、においで気づかれてせっかくの奇襲効果が無くなるよ」
あたしは焦る心を落ち着けるように深呼吸をして考える。そう、ね。焦って突っ込んでもあたし達のリスクは上がるし、救助可能性も下がるのね。
「わかりました。それでも出来るだけ急ぎましょう」
あたし達は急いで風下に周り現場に近づいていった。
「探知魔法に反応あります。向こうに50メートルあたりで激しく動いているみたいです。ただ探知魔法の範囲に入ったり出たりするので数がわかりません」
「了解。身を隠しながら近づいて確認しよう。朝未はできれば数を把握して。弓の届く距離になったら一旦止まって、状況の確認。で、ハンターが優勢なら放置、ハンターが明らかに劣勢だったら、朝未、ラウドネスでリーダーと思われるハンターに”援護が必要か?”尋ねてね。で、助けを求めてきたら参戦する。不要と言われたら離れるよ」
「え?でも命がかかっているんですよね」
「それも含めてだね。朝未が魔法の練習をしている時にアレッシアさんに確認をしたんだ。他のハンターが戦っている時に手を出していいのかってね」
「それって……」
「答えは、相手が援護を求めない限り手を出してはいけないと言われたよ」
「相手が死んでも、ですか?」
「そうだ。死んだとしても、それは援護を断った相手の判断が甘かったということだそうだ」
あたしが少し考え込んでいると瑶さんは更に追加してきたわ。
「相手が援護を拒否している場合、例え善意ででも横から攻撃を加えた場合、極端な話こっちを殺しに来られても文句は言えないそうだ。それほどに獲物の所有権に関するものは大きいそうだ」
「な、なら獲物の所有権は主張しないって言ったら?」
「誰も信じないってさ」
あたしが思いつく程度のことは瑶さんなら思い至って確認してるわよね。
「ただし、本当に窮地に陥っていて援護を拒否するハンターはさすがに少数派だって言ってた。さすがに稼ぎよりは命の方が大抵は大事らしい」
「なら、わざわざ言わなくても……」
「これから援護しようって相手がその少数派じゃないとは言い切れないからね。っと、見えた。あれだな。朝未、敵の数と配置はわかるか?」
瑶さんに言われてあたしは探知魔法に意識を向ける。
「苦戦しているハンター5人と奥側にゴブリンが13体、手前側にオークらしき敵が8体。ゴブリン同士、オーク同士は多少連携しているようですが、ゴブリンとオークは無関係に動いている感じですね。あとハンターは動きとマナセンスで見えるマナの様子からかなり消耗しているようです」
「そうか。あのパーティのリーダーは、あの盾持ちかな?」
「じゃあ、あの人にラウドネスで声を届けますね。内容はこちらの名前とランク、それと援護がいるかどうかの確認でいいですよね」
「そんなところだろうね。たのむ」
『こちらは、8級ハンター、瑶と朝未です。風属性魔法で声を届けています。援護は必要ですか。魔法でそちらの声は拾っていますので普通に返事をしてくれればいいです』
リーダーと思われるハンターが周りを見回しているわね。
「おい、援護してくれってよ。どうする?」
「た、たのむ。もうもたない」
「ガッシュは意識がない。どこの誰かは知らんが頼む」
「じゃあ、パーティの総意として依頼するぞ」
「援護を……」
「聞こえています。これからまず、矢と魔法でオークを攻撃。そこから近接戦闘に介入します。あなた方は無理をせず。防御主体でいてください」
「瑶さん、援護依頼確認しました。手前側のオークから矢と魔法を飛ばします」
「わかった。補助魔法を掛ける。掛け終わったところで援護攻撃を始めよう」
そう言うと瑶さんが補助魔法を掛け始めたわ。
「今回の相手は魔法を使ってこないみたいだからシェルとリフレクはいらないな。プロテクション、マッシブ、アクセル、ハイアジ、アキュラシー」
瑶さんが魔法を唱える度に、あたし達の身体を魔法の被膜のようなものが次々と覆う。
補助魔法を掛け終わると瑶さんは剣を抜き構えた。
「朝未のタイミングで攻撃をはじめてくれ。矢を射たところで出る」
あたしは手前側中央近くのオークを狙う。ハンターを狙ってこん棒を振り上げ動きが止まったところで
”シュッ”
ヘッドショット成功。そのオークはこん棒を振り下ろすことなくその場に崩れ堕ちた。
そして次の矢を準備しているあたしの横から瑶さんが飛び出していったわ。
悲鳴を聞いた瑶さんは剣についた血糊を拭いながらも最初にあたしの魔力を聞いてきたわ。
「半分以上残ってます。余程魔法を連発しなければ大丈夫です」
あら?瑶さんがちょっと考え込んだわね。
「補助魔法がそろそろ切れるよね」
「え、ええ。でも掛けなおしても4割くらい残りますよ」
「状況次第だけど、補助魔法は私が掛けよう。朝未は、探知魔法はそのまま、弓で先制、その後は弓での攻撃を優先。魔法は倒すよりかく乱に使って」
「え?でもそれじゃ」
瑶さんの負担が一気に増えすぎないかしら。
「本当は、1戦後は休息を入れてある程度以上回復してから次の戦いに向かうつもりだったんだけど、そうも言っていられないようだからね。とりあえず状況確認をするよ」
「はい、瑶さん、探知範囲は?」
「……。通常でいい。風下から接近するよ」
「え?でもそれだと遠回りに」
「分かっている。だけどね、私は誰かを助けるために朝未にしろ私自身にしろ大きなリスクを背負うつもりはないよ。そもそもハンターは自己責任だからね。それに風下から攻めたほうが助けられる可能性も上がるから」
「え?なんで?」
「朝未、冷静になりなさい。今敵は、どこかのパーティーを襲っていて意識がそっちに向いている。そこに風下から急襲すればどれほどの効果があるか分かるだろう。それを逆に風上から迫ったら、においで気づかれてせっかくの奇襲効果が無くなるよ」
あたしは焦る心を落ち着けるように深呼吸をして考える。そう、ね。焦って突っ込んでもあたし達のリスクは上がるし、救助可能性も下がるのね。
「わかりました。それでも出来るだけ急ぎましょう」
あたし達は急いで風下に周り現場に近づいていった。
「探知魔法に反応あります。向こうに50メートルあたりで激しく動いているみたいです。ただ探知魔法の範囲に入ったり出たりするので数がわかりません」
「了解。身を隠しながら近づいて確認しよう。朝未はできれば数を把握して。弓の届く距離になったら一旦止まって、状況の確認。で、ハンターが優勢なら放置、ハンターが明らかに劣勢だったら、朝未、ラウドネスでリーダーと思われるハンターに”援護が必要か?”尋ねてね。で、助けを求めてきたら参戦する。不要と言われたら離れるよ」
「え?でも命がかかっているんですよね」
「それも含めてだね。朝未が魔法の練習をしている時にアレッシアさんに確認をしたんだ。他のハンターが戦っている時に手を出していいのかってね」
「それって……」
「答えは、相手が援護を求めない限り手を出してはいけないと言われたよ」
「相手が死んでも、ですか?」
「そうだ。死んだとしても、それは援護を断った相手の判断が甘かったということだそうだ」
あたしが少し考え込んでいると瑶さんは更に追加してきたわ。
「相手が援護を拒否している場合、例え善意ででも横から攻撃を加えた場合、極端な話こっちを殺しに来られても文句は言えないそうだ。それほどに獲物の所有権に関するものは大きいそうだ」
「な、なら獲物の所有権は主張しないって言ったら?」
「誰も信じないってさ」
あたしが思いつく程度のことは瑶さんなら思い至って確認してるわよね。
「ただし、本当に窮地に陥っていて援護を拒否するハンターはさすがに少数派だって言ってた。さすがに稼ぎよりは命の方が大抵は大事らしい」
「なら、わざわざ言わなくても……」
「これから援護しようって相手がその少数派じゃないとは言い切れないからね。っと、見えた。あれだな。朝未、敵の数と配置はわかるか?」
瑶さんに言われてあたしは探知魔法に意識を向ける。
「苦戦しているハンター5人と奥側にゴブリンが13体、手前側にオークらしき敵が8体。ゴブリン同士、オーク同士は多少連携しているようですが、ゴブリンとオークは無関係に動いている感じですね。あとハンターは動きとマナセンスで見えるマナの様子からかなり消耗しているようです」
「そうか。あのパーティのリーダーは、あの盾持ちかな?」
「じゃあ、あの人にラウドネスで声を届けますね。内容はこちらの名前とランク、それと援護がいるかどうかの確認でいいですよね」
「そんなところだろうね。たのむ」
『こちらは、8級ハンター、瑶と朝未です。風属性魔法で声を届けています。援護は必要ですか。魔法でそちらの声は拾っていますので普通に返事をしてくれればいいです』
リーダーと思われるハンターが周りを見回しているわね。
「おい、援護してくれってよ。どうする?」
「た、たのむ。もうもたない」
「ガッシュは意識がない。どこの誰かは知らんが頼む」
「じゃあ、パーティの総意として依頼するぞ」
「援護を……」
「聞こえています。これからまず、矢と魔法でオークを攻撃。そこから近接戦闘に介入します。あなた方は無理をせず。防御主体でいてください」
「瑶さん、援護依頼確認しました。手前側のオークから矢と魔法を飛ばします」
「わかった。補助魔法を掛ける。掛け終わったところで援護攻撃を始めよう」
そう言うと瑶さんが補助魔法を掛け始めたわ。
「今回の相手は魔法を使ってこないみたいだからシェルとリフレクはいらないな。プロテクション、マッシブ、アクセル、ハイアジ、アキュラシー」
瑶さんが魔法を唱える度に、あたし達の身体を魔法の被膜のようなものが次々と覆う。
補助魔法を掛け終わると瑶さんは剣を抜き構えた。
「朝未のタイミングで攻撃をはじめてくれ。矢を射たところで出る」
あたしは手前側中央近くのオークを狙う。ハンターを狙ってこん棒を振り上げ動きが止まったところで
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