JC聖女とおっさん勇者(?)

景空

文字の大きさ
79 / 155
新たな仲間

第79話 帰還

しおりを挟む
マルティナさんとの奴隷契約を結んだあと(うう、いやだなあ。現代日本人としては奴隷のご主人様なんて犯罪者だもの)、今はとりあえずエリアの入り口にいるギルドの係員のいる場所に向かって歩いている。

そこで『くぅ』マルティナさんのお腹から可愛らしい音が聞こえた。そういえば昼ごはんにお弁当食べたけど、あたしも少しお腹減ったわね。お弁当は、夕方遅くなった時用にお昼のお弁当と別に、サンドイッチを持ってきてあったはず。

「マルティナさん、これよかったら。瑶さんも」

少し大きめに作ったサンドイッチ、と言ってもまだ無発酵パンに焼いた肉を挟んだだけのものなのだけど街の屋台で買う食べ物や保存食に比べたら絶対美味しい。
ひとりひとつずつ渡して、食べる前に探知魔法で周囲に人がいない事を確認して

「クリーン」

うん、これで大丈夫。クリーンを掛けておけばお腹こわすなんてことにはならないはず。
あら?マルティナさんの表情が変ね。

「マルティナさん。パン苦手だった?」
「い、いえ。むしろその……」
「朝未。朝未のクリーンに驚いただと思うよ」
「え?でも今更じゃないですか?今回あたしマルティナさんの前では出し惜しみなく色々やらかしてると思うんですよね」
「あ、あの。さっきの本当にクリーンなんですか?発動句はクリーンでしたけど、わたしの知っているクリーンとは色々と違ってたのですけど」

あ、瑶さんの言葉が当たりだったのね。

「クリーンですよ。なぜかあたしが使うと余計な効果がくっついてくるだけで」

マルティナさんは納得のいかない顔だったけど、これはこういうものだと思ってもらうしかないものね。

「それより、サンドイッチどうぞ。あたしのお手製だから好みにあうか分からないけど。クリーン掛けて悪い物は消えてるから心配はありませんよ」

朝作ったサンドイッチを常温で持ち歩いて夕方って普通なら怖いものね。痛みかけた食べ物にクリーン掛けると悪くなった部分だけ綺麗に消えてちゃんと食べらえるようになるのは確認済。とっても便利。

「えと、普通クリーンにそんな効果ありませんよ」

あら?マルティナさんに大丈夫だからと説明したのに、またなんか不穏な情報が追加されたわ。あたしは視線で瑶さんに助けを求めることにした。

「あー、マルティナさん。朝未のクリーンは特別だって事で納得は出来なくてもあきらめてくれ。それとこれも一応内密に」
「わかってます。そもそもこんな話を信じる人はいません」
「あの、特に神殿や王宮関係には漏れないようにお願いしますね。あたし監禁されたり兵器扱いされたくないので」

本気で国や神様関係の人たちが来たら逃げるしかないわよね。逃げる時には瑶さん一緒に逃げてくれるかしら。ううん、きっと一緒に逃げてくれると信じてるけど、そういう事になってほしくないわね。

「あ、色々ありますけど、そのサンドイッチは食べて大丈夫ですから」

マルティナさんに勧めて、自分でもパクリと食べる。うん日本で食べてたサンドイッチにはとても及ばないけどちゃんと食べられる味。出来ればパンをもう少しなんとかしたいところね。でもきっとイースト菌だとか普通には売ってないわよねこの世界じゃ。天然酵母でも作ろうかしら。他にもミンサーみたいな道具があればハンバーグとかも作れるのになあ。あ、だめだわ、ソースとか無いもの。でもデミグラスソースならなんとかなるかしら。あ、あたしの知ってるデミグラスソースの作り方にはウスターソースが必要だったわ。うー、なんとかソースを作れるようになりたいわね。作り方は昔何かで読んだけど、うろ覚えなのよね。時間が出来たら実験的に色々作ってみるのもいいかしら。どのみちすぐには日本に帰られるものでは無さそうだし。生活の質を上げないとストレスでいつかヤバい事になるかもしれないもの。

「どうかしら?」

マルティナさんがハムハムとサンドイッチを夢中になって食べている。気に入ってくれたようね。その食べ方にほっこりしながらあたしも手に残ったサンドイッチを食べた。



ギルドの係員に今日は終わる事を告げてエルリックに向かう。

ちょっとだけ迷ったけれど、マルティナさんを含めて補助魔法をかけた。だって普通に歩いたら時間かかりすぎるのだもの。それにマルティナさんの前ではもう盛大にやらかしているし秘密を守ると約束もしてもらっているのだから今更よね。

そしてハンターギルドの前まで来ると、中から大声が聞こえてきた。

「だから、あんたの言う有望な新人たちは、死んじまったんだよ」
「ヨウ様とアサミ様に限ってそんな無謀な戦いをするとは思えません」
「何度も言わせんな。そんなのはあんたの思い込みだってんだ」
「それに、あなた方もメンバーが1人足りませんね」
「巻き添えを食ったんだよ。まったく可哀そうなマルティナ……」

そこまで聞いたところで、隣から何か怖い物が吹き出して、マルティナさんが飛び出した。

「何をふざけたことを言っている!!」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

召喚聖女に嫌われた召喚娘

ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。 どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。

石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど

ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。 でも私は石の聖女。 石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。 幼馴染の従者も一緒だし。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...