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新天地へ
第97話 マジックバッグ
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結局、探知魔法を無効化できるハイディングがあるのかどうかは分からなかった。マルティナさんもそこまでは知らなかったのよね。瑶さんも一緒に話した予想では熟練度とか込める魔力とかそういったもので隠れているがわと探知する側のどちらが上回るかで決まるんじゃないかと思うのだけど。
「護衛依頼達成報酬の準備ができました」
そんなことを話していると依頼達成の処理を終えた受付のお姉さんが声をかけてくれたので、瑶さんが腰を上げた。
「こちら報酬の200万スクルドです。ご確認ください」
「……確かに受け取った。ついでと言ってはなんだが、宿を紹介してほしい」
「ハンターギルドからご紹介できる宿はいくつかありますが、どのような宿をご希望でしょうか?」
「そうだな、防犯を優先に、あとは食事が美味ければ言うことはないな。食事に関しては自炊ができるのでも構わない。……な?」
最後はあたしへの確認ね。なのであたしは頷いて同意をする。当然、というかキッチンがあるなら色々とやってみたいわ。フォレストクロコのレバーやハツを含め冷凍したお肉を持っているもの。このグライナーって街もそこそこの規模だからハーブや調味料も探してみたい。それに馬車で20日も移動したのだものエルリックになかった食材も少しは期待したいわ。この世界だと魔法が使えて食材を冷凍保存できたり、時間停止機能付きのマジックバッグを持っているお金持ち以外は生鮮食品は現地でしか手に入れられないもの。美味しいものがあるといいなあ。
「ありがとうございました。行ってみます」
受付のお姉さんから宿を聞いた瑶さんがカウンターから離れたので、あたしとマルティナさんもついていく。というか、マルティナさんってこういう時には自然とあたしの斜め後ろに控えるような位置でついてくるのよね。ハンターの仕事をするときにはあたしの前に出てくれるのだけど。まあ理由は分かるけど、普通にしてほしいわ。
紹介された宿は『囁くペリドット』という名前の中世ヨーロッパ風でちょっといい雰囲気の宿。
「ハンターギルドで紹介されたんだが、3人泊まれるか?できればキッチン付きの部屋があればなおいい」
「はい、大丈夫です。2部屋でしょうか?」
「1部屋で」
「え?」
即言い放ったのはマルティナさん。2部屋にするとあたしと瑶さんが1部屋でマルティナさんが1人になるので気にするのよね。受付のおじさんは、別の意味にとったんだと思うけど。瑶さんへの風評被害は我慢してもらいましょ。
部屋を確保したあたし達は買い出しを兼ねてグライナーの街を散策している。
「あ!!」
あたしは魔道具屋で古ぼけたリュックを見つけて驚きの声を上げてしまった。
「瑶さん、瑶さん、これ見てください」
「うん、ずいぶんとくたびれたリュックだね。それがどうかしたのかい?」
「これマジックバッグですよ」
「え?あ、本当だマジックバッグって書いてあるね。値段は20万スクルド?えらく安いじゃないか。店主に聞いてみようか」
「ああ、それは容量増加だけのマジックバッグだからだ」
「?それでも役に立つのでは?」
「いや、嬢ちゃん。そのサイズで1000グルもあってみな。運ぶことなんかできないだろう。それでも保管場所代わりにはなるからってことでその値段だ」
確かに1000グル、約500キロもあったら普通なら運ぶにはフォークリフトが欲しいわね。でも今のあたしや瑶さんなら運べそうな気はする。問題はそんな重さにこのリュックの肩ベルトがもつかってことなんだけど。
「ね、おじさん。この肩ベルトってそんな重さでも切れないの?」
「ん?ああ、そのあたりの強度は大丈夫だぞ。魔法の素材でな無駄に強度があるんだ。まあそんな強度持たせても誰が運ぶんだって話なんだがな」
ガハハと豪快に笑うおじさん。あたしは瑶さんとアイコンタクトをすると。
「買います」
「嬢ちゃん、話は聞いていたかい?容量こそ、この店いっぱいより大きいが軽くなるわけじゃないんだぞ」
「うん、大丈夫ですよ」
これはあたし達のためにあるようなマジックバッグよね。買わない理由がないわ。
「あ、このハーブいい香り。……あ、こっちのは、なんとなく醤油っぽいにおいがする。ねえお姉さん、こっちの調味料って味見できませんか?」
マジックバッグが手に入ったのをいいことに、あたしは食料品を買い込んでいる。小麦っぽいものも何種類か。今まではパンしか作ってこなかったけど、醬油っぽい調味料が手に入ったのでうどんあたりにも挑戦してみたい。醬油っぽいのはちょっとにおいに癖があるから多分魚醤ね。ちょっと高かったけど香辛料も何種類か。
「なあ、朝未。朝未がそれ担ぐの平気なのは分かるけど、ほどほどにしておかないと宿の床が抜けるぞ。それにあそこの奴は嫌な目つきで見てるの気付いてるかい?」
「はーい、このトウモロコシっぽいのまでで我慢します」
瑶さんに注意されちゃったわ。でも変な目つきって……、あらあれって犯罪者の目つきね、クフフ、ちょっと脅かしてやるのもいいかもしれないわ。
あたしは、マジックバッグを片方の肩に掛けて店を出た。
「今日は良いものが買えましたね」
「まあ、朝未の気持ちもわからないではないけど、ほどほどにね」
「わかってますよ。でもこんな機会中々あるものじゃないですから」
そんな雑談をしながら宿に向かって歩いている。そしてちょっとした路地に入ったところで後ろからさっきの不審者がマジックバッグに手を伸ばしてきた。
”ドスン”
「グエッ」
重たい音に続いてカエルが潰れるような声が続いた。
「何をしようとしたのかしら?」
あたしは笑いを堪えながらマジックバッグをお腹に乗せて動けなくなっているそいつに声をかけた。
「あ、が、た、たす、げ……」
「あたしは、あなたが何をしようとしたのかって聞いてるんですけど。まあ予想はついてますけどね。マルティナさん街の衛兵さんを呼んできてくれませんか」
「護衛依頼達成報酬の準備ができました」
そんなことを話していると依頼達成の処理を終えた受付のお姉さんが声をかけてくれたので、瑶さんが腰を上げた。
「こちら報酬の200万スクルドです。ご確認ください」
「……確かに受け取った。ついでと言ってはなんだが、宿を紹介してほしい」
「ハンターギルドからご紹介できる宿はいくつかありますが、どのような宿をご希望でしょうか?」
「そうだな、防犯を優先に、あとは食事が美味ければ言うことはないな。食事に関しては自炊ができるのでも構わない。……な?」
最後はあたしへの確認ね。なのであたしは頷いて同意をする。当然、というかキッチンがあるなら色々とやってみたいわ。フォレストクロコのレバーやハツを含め冷凍したお肉を持っているもの。このグライナーって街もそこそこの規模だからハーブや調味料も探してみたい。それに馬車で20日も移動したのだものエルリックになかった食材も少しは期待したいわ。この世界だと魔法が使えて食材を冷凍保存できたり、時間停止機能付きのマジックバッグを持っているお金持ち以外は生鮮食品は現地でしか手に入れられないもの。美味しいものがあるといいなあ。
「ありがとうございました。行ってみます」
受付のお姉さんから宿を聞いた瑶さんがカウンターから離れたので、あたしとマルティナさんもついていく。というか、マルティナさんってこういう時には自然とあたしの斜め後ろに控えるような位置でついてくるのよね。ハンターの仕事をするときにはあたしの前に出てくれるのだけど。まあ理由は分かるけど、普通にしてほしいわ。
紹介された宿は『囁くペリドット』という名前の中世ヨーロッパ風でちょっといい雰囲気の宿。
「ハンターギルドで紹介されたんだが、3人泊まれるか?できればキッチン付きの部屋があればなおいい」
「はい、大丈夫です。2部屋でしょうか?」
「1部屋で」
「え?」
即言い放ったのはマルティナさん。2部屋にするとあたしと瑶さんが1部屋でマルティナさんが1人になるので気にするのよね。受付のおじさんは、別の意味にとったんだと思うけど。瑶さんへの風評被害は我慢してもらいましょ。
部屋を確保したあたし達は買い出しを兼ねてグライナーの街を散策している。
「あ!!」
あたしは魔道具屋で古ぼけたリュックを見つけて驚きの声を上げてしまった。
「瑶さん、瑶さん、これ見てください」
「うん、ずいぶんとくたびれたリュックだね。それがどうかしたのかい?」
「これマジックバッグですよ」
「え?あ、本当だマジックバッグって書いてあるね。値段は20万スクルド?えらく安いじゃないか。店主に聞いてみようか」
「ああ、それは容量増加だけのマジックバッグだからだ」
「?それでも役に立つのでは?」
「いや、嬢ちゃん。そのサイズで1000グルもあってみな。運ぶことなんかできないだろう。それでも保管場所代わりにはなるからってことでその値段だ」
確かに1000グル、約500キロもあったら普通なら運ぶにはフォークリフトが欲しいわね。でも今のあたしや瑶さんなら運べそうな気はする。問題はそんな重さにこのリュックの肩ベルトがもつかってことなんだけど。
「ね、おじさん。この肩ベルトってそんな重さでも切れないの?」
「ん?ああ、そのあたりの強度は大丈夫だぞ。魔法の素材でな無駄に強度があるんだ。まあそんな強度持たせても誰が運ぶんだって話なんだがな」
ガハハと豪快に笑うおじさん。あたしは瑶さんとアイコンタクトをすると。
「買います」
「嬢ちゃん、話は聞いていたかい?容量こそ、この店いっぱいより大きいが軽くなるわけじゃないんだぞ」
「うん、大丈夫ですよ」
これはあたし達のためにあるようなマジックバッグよね。買わない理由がないわ。
「あ、このハーブいい香り。……あ、こっちのは、なんとなく醤油っぽいにおいがする。ねえお姉さん、こっちの調味料って味見できませんか?」
マジックバッグが手に入ったのをいいことに、あたしは食料品を買い込んでいる。小麦っぽいものも何種類か。今まではパンしか作ってこなかったけど、醬油っぽい調味料が手に入ったのでうどんあたりにも挑戦してみたい。醬油っぽいのはちょっとにおいに癖があるから多分魚醤ね。ちょっと高かったけど香辛料も何種類か。
「なあ、朝未。朝未がそれ担ぐの平気なのは分かるけど、ほどほどにしておかないと宿の床が抜けるぞ。それにあそこの奴は嫌な目つきで見てるの気付いてるかい?」
「はーい、このトウモロコシっぽいのまでで我慢します」
瑶さんに注意されちゃったわ。でも変な目つきって……、あらあれって犯罪者の目つきね、クフフ、ちょっと脅かしてやるのもいいかもしれないわ。
あたしは、マジックバッグを片方の肩に掛けて店を出た。
「今日は良いものが買えましたね」
「まあ、朝未の気持ちもわからないではないけど、ほどほどにね」
「わかってますよ。でもこんな機会中々あるものじゃないですから」
そんな雑談をしながら宿に向かって歩いている。そしてちょっとした路地に入ったところで後ろからさっきの不審者がマジックバッグに手を伸ばしてきた。
”ドスン”
「グエッ」
重たい音に続いてカエルが潰れるような声が続いた。
「何をしようとしたのかしら?」
あたしは笑いを堪えながらマジックバッグをお腹に乗せて動けなくなっているそいつに声をかけた。
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