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召喚の影響?
第150話 トランでの報告
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「瑶さん、ギルドに報告に行くんじゃなかったんですか?」
ギルドに報告に行くと言ってギルド近くまで来たのに、今あたし達は、ギルド近くの酒場を兼ねたレストランの窓際の席で食事をとっている。
「うん、もちろん行くよ。ただ、まだちょっと早いかな」
「早い、ですか?むしろ、これ以上遅くなったらギルドの受付が混んできちゃうと思うんですけど」
「わかってるよ。その混雑が収まった後の方が具合がいいんだ」
「それだと、かなり遅くなりそうですよね?だったら一度宿に戻ってもよかったんじゃ?ここにいると逆にギルドの関係者に見つかるかもしれないですよね」
「うん?まあ報告についてだけならそうだけど、戻ってくるハンター達の様子が見たくてね」
「ハンター達の様子ですか?」
「ミーガンさんの護衛の依頼達成の報告でギルドに行ったとき、ギルドに戻ってきていたハンターが結構ケガをしていたの覚えている?」
「あ、ええ、そういえばそうでしたね」
「あれは、アンデッドが出てきていて普段より依頼の難易度が上がっていたからじゃないかと思っているんだ。そこで、私達がアンデッドの大本のヴァンパイアを斃した影響があるかどうか知りたくてね」
「それで窓際の席なんですね」
窓と言っても、日本のようなガラス窓じゃないのよね。単なる板戸で雨が降っていなければ開け放って明り取りにしている感じ。この世界、魔道具の灯りもあるけど、やっぱり節約するみたい。
少し早い時間だったこともあって店の中は混んでいない。のんびりと早めの食事をしていると、ハンターギルドに戻ってくるハンターたちがぽつぽつとみられるようになってきた。
「とりあえず、大けがしている人は今のところは居なさそうですね」
瑶さんに言われて、あたしもなんとなくギルドに戻ってくるハンターの様子を観察しているのだけど、多少の怪我はあるものの依頼達成の報告のためにギルドに行った時に比べてケガが軽いような気がする。
「あの時には明らかに骨折しているようなハンターも多かったよね」
「瑶さんも、そう思いますか?マルティナさんは、どう思います?」
「そう、ですね。先日は明らかに中級ハンターの怪我が異常に多かったように思いましたが、今日見た範囲ではケガ人が通常よりは少しばかり多いようにも見えますが、先日ほどでは無いように思えますね」
「可能性の話ではあるけれど、この近辺のアンデッドは、あのハンス・フォン・ゼーガース男爵と名乗ったヴァンパイアが統率していたのかもしれない」
「そんな、瑶さん、いくらなんでも、そこまで広範囲のアンデッドを統率できるものですか?」
「わからない。それでも、ちょうどあのヴァンパイアを斃した頃を境にハンターの被害が減っているように見えるとなれば、ありうる話だと思うよ」
「その可能性についてハンターギルドに報告するんですか」
「そうだね、あくまでも可能性としてということで報告しておいた方がいいだろうね」
「さて、そろそろギルド内の人の姿がひと段落したようだから行こうか」
瑶さんが、そう言って席を立った時には、酒場の席は半分ほど埋まり、空が少し暗くなっていた。
「暁影のそらだ。護衛の指名依頼が入っていると聞いて来た。間違いないか?」
え?瑶さん、報告に来たんじゃないの?
瑶さんの問いかけに受付の女の人がバタバタと確認をしている。
「は、はい。こちらに、商人のミーガン様から暁影のそら様への指名依頼として、ここトランからベルカツベ王国の辺境伯領領都エルリックまでの護衛依頼が入っています。依頼を受けますか?」
「事前に条件などは聞いているが、間違いが無いか確認をさせてもらおう」
「はい、依頼書はこちらになります」
「本日夕刻にトランを発ち南回りの街道により途中の街を巡りながらエルリックに向かう間の護衛。聞いていたものと相違無い。この依頼受けることにする。手続きを頼む」
書面を確認した瑶さんの言葉に受付の女の人が受領処理をしてくれた。
「はい、こちらで手続きを完了いたしました」
「確かに。ああ、それからトランに来るまでのアンデッド討伐について報告をしたいのだが、誰か分かるものはいるかな?」
「こ、この時間ですと、ギルドマスターもサブギルドマスターも不在です。少々お待ちください」
慌てて奥に入っていったわね。
「瑶さん。さすがにこれは黒すぎませんか?」
「朝未、この程度の事は出来ないと大人の世界では逃げたくても逃げられないものなんだ。それに私達は決して不法行為をしていないし、嘘もつかない。ただ、報告のタイミングでギルドマスターに連絡がつくのが遅れるだけだよ」
そんな話をしていると、奥から男の人が出てきた。
「わたしはセルゲイ。この時間のギルドを取り仕切っている。アンデッド討伐についての報告があるというのはお前か?」
「ええ、私達暁影のそらがサカブスからトランまでの間で遭遇し討伐撃退したアンデッドについて報告をしたい」
「わかった、奥に来てくれ」
あたし達は頷き合ってセルゲイさんについていった。
奥の部屋で、トランルーノ聖王国内でヴァンパイアに率いられたアンデッドに襲われたこと。それを討伐したこと。そしてヴァンパイアを物理攻撃で斃すことが出来たことを、あたし達の聖属性関係だけを隠して報告した。
「いや、しかし、ヴァンパイアを剣で斃すことが出来るという情報はありがたかった。これで無暗に恐れる必要はなくなったからな」
「それでも、恐るべき耐久度・強さを持ったアンデッドです。あまり軽く考えすぎませんように」
「わかっている。が、お前たち暁影のそらは、5級ハンターパーティーだろう。ならば上級ハンターならば対抗できるということじゃないか。これを朗報と言わずなんというものか」
セルゲイさんの言葉に瑶さんは何か言おうとして、止めたみたい。
「では、報告は以上です。依頼がありますので、これで失礼します」
軽く頭を下げ挨拶をして、あたし達はミーガンさんが待っているはずの南門に向かった。
ギルドに報告に行くと言ってギルド近くまで来たのに、今あたし達は、ギルド近くの酒場を兼ねたレストランの窓際の席で食事をとっている。
「うん、もちろん行くよ。ただ、まだちょっと早いかな」
「早い、ですか?むしろ、これ以上遅くなったらギルドの受付が混んできちゃうと思うんですけど」
「わかってるよ。その混雑が収まった後の方が具合がいいんだ」
「それだと、かなり遅くなりそうですよね?だったら一度宿に戻ってもよかったんじゃ?ここにいると逆にギルドの関係者に見つかるかもしれないですよね」
「うん?まあ報告についてだけならそうだけど、戻ってくるハンター達の様子が見たくてね」
「ハンター達の様子ですか?」
「ミーガンさんの護衛の依頼達成の報告でギルドに行ったとき、ギルドに戻ってきていたハンターが結構ケガをしていたの覚えている?」
「あ、ええ、そういえばそうでしたね」
「あれは、アンデッドが出てきていて普段より依頼の難易度が上がっていたからじゃないかと思っているんだ。そこで、私達がアンデッドの大本のヴァンパイアを斃した影響があるかどうか知りたくてね」
「それで窓際の席なんですね」
窓と言っても、日本のようなガラス窓じゃないのよね。単なる板戸で雨が降っていなければ開け放って明り取りにしている感じ。この世界、魔道具の灯りもあるけど、やっぱり節約するみたい。
少し早い時間だったこともあって店の中は混んでいない。のんびりと早めの食事をしていると、ハンターギルドに戻ってくるハンターたちがぽつぽつとみられるようになってきた。
「とりあえず、大けがしている人は今のところは居なさそうですね」
瑶さんに言われて、あたしもなんとなくギルドに戻ってくるハンターの様子を観察しているのだけど、多少の怪我はあるものの依頼達成の報告のためにギルドに行った時に比べてケガが軽いような気がする。
「あの時には明らかに骨折しているようなハンターも多かったよね」
「瑶さんも、そう思いますか?マルティナさんは、どう思います?」
「そう、ですね。先日は明らかに中級ハンターの怪我が異常に多かったように思いましたが、今日見た範囲ではケガ人が通常よりは少しばかり多いようにも見えますが、先日ほどでは無いように思えますね」
「可能性の話ではあるけれど、この近辺のアンデッドは、あのハンス・フォン・ゼーガース男爵と名乗ったヴァンパイアが統率していたのかもしれない」
「そんな、瑶さん、いくらなんでも、そこまで広範囲のアンデッドを統率できるものですか?」
「わからない。それでも、ちょうどあのヴァンパイアを斃した頃を境にハンターの被害が減っているように見えるとなれば、ありうる話だと思うよ」
「その可能性についてハンターギルドに報告するんですか」
「そうだね、あくまでも可能性としてということで報告しておいた方がいいだろうね」
「さて、そろそろギルド内の人の姿がひと段落したようだから行こうか」
瑶さんが、そう言って席を立った時には、酒場の席は半分ほど埋まり、空が少し暗くなっていた。
「暁影のそらだ。護衛の指名依頼が入っていると聞いて来た。間違いないか?」
え?瑶さん、報告に来たんじゃないの?
瑶さんの問いかけに受付の女の人がバタバタと確認をしている。
「は、はい。こちらに、商人のミーガン様から暁影のそら様への指名依頼として、ここトランからベルカツベ王国の辺境伯領領都エルリックまでの護衛依頼が入っています。依頼を受けますか?」
「事前に条件などは聞いているが、間違いが無いか確認をさせてもらおう」
「はい、依頼書はこちらになります」
「本日夕刻にトランを発ち南回りの街道により途中の街を巡りながらエルリックに向かう間の護衛。聞いていたものと相違無い。この依頼受けることにする。手続きを頼む」
書面を確認した瑶さんの言葉に受付の女の人が受領処理をしてくれた。
「はい、こちらで手続きを完了いたしました」
「確かに。ああ、それからトランに来るまでのアンデッド討伐について報告をしたいのだが、誰か分かるものはいるかな?」
「こ、この時間ですと、ギルドマスターもサブギルドマスターも不在です。少々お待ちください」
慌てて奥に入っていったわね。
「瑶さん。さすがにこれは黒すぎませんか?」
「朝未、この程度の事は出来ないと大人の世界では逃げたくても逃げられないものなんだ。それに私達は決して不法行為をしていないし、嘘もつかない。ただ、報告のタイミングでギルドマスターに連絡がつくのが遅れるだけだよ」
そんな話をしていると、奥から男の人が出てきた。
「わたしはセルゲイ。この時間のギルドを取り仕切っている。アンデッド討伐についての報告があるというのはお前か?」
「ええ、私達暁影のそらがサカブスからトランまでの間で遭遇し討伐撃退したアンデッドについて報告をしたい」
「わかった、奥に来てくれ」
あたし達は頷き合ってセルゲイさんについていった。
奥の部屋で、トランルーノ聖王国内でヴァンパイアに率いられたアンデッドに襲われたこと。それを討伐したこと。そしてヴァンパイアを物理攻撃で斃すことが出来たことを、あたし達の聖属性関係だけを隠して報告した。
「いや、しかし、ヴァンパイアを剣で斃すことが出来るという情報はありがたかった。これで無暗に恐れる必要はなくなったからな」
「それでも、恐るべき耐久度・強さを持ったアンデッドです。あまり軽く考えすぎませんように」
「わかっている。が、お前たち暁影のそらは、5級ハンターパーティーだろう。ならば上級ハンターならば対抗できるということじゃないか。これを朗報と言わずなんというものか」
セルゲイさんの言葉に瑶さんは何か言おうとして、止めたみたい。
「では、報告は以上です。依頼がありますので、これで失礼します」
軽く頭を下げ挨拶をして、あたし達はミーガンさんが待っているはずの南門に向かった。
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