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63,隠密領域。
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「えーーー。ローズ教の総本山は、アーテル国にはないんですかぁぁ?!」
ベロニカさんが下着をつけてから、ギルドが用意した衣服を着る。
ところで、ベロニカさんが私のベッドで裸身だったからといって、間違いが起きたわけではない。私がスキルツリー開拓に勤しんでいる間に、勝手に素っ裸になって、爆睡していただけで。
「そうだけど、アリア。知らなかったの? 国家宗教だよ、いちおうは」
いまは亡き両親の教えは、『宗教でパンは買えない』だったからなぁ。
「で、どこにあるんです?」
「ラザ帝国の聖都ローズ。いうまでもないけど、ローズ教発祥の地」
ということは、例の聖ルーン騎士団の方々は、わざわざ帝国から出張してきていたのか。なんというか、ご苦労様です。しかも4人のうち3人は、異国の地で殺されてしまったのかぁ。まぁ、よくあることですね。
「仕方ない。長旅ですけど」
「え? まさか帝国に行くの? まぁ一応は同盟国だから、国境を通過できるとは思うけど──うーん。つまり、聖ルーン騎士団とやらに追われる身でなければ、の話だよアリア」
「なるほど。隠密スキルが必要ですね」
しばし留守をロクウさんに預け、【覇王魔窟】へ出発。
久しぶりの【覇王魔窟】。そして久しぶりのソロプレイ。やはり独りは心が落ち着くものだ。こればかりは性分なので、もう致し方ありませんね。
〈鍵〉を使って、地下迷宮〈死の楽園〉に入る。
強化素材は、そのもとの持ち主だった魔物の特性を受け継ぐようだ。〈倦怠艶女〉さんから受け取った角(つの)によって、怠惰スキル(実際のところ時間操作スキルだけど)を得たように。
そして〈死の楽園〉には、【覇王魔窟】地上階に出現する魔物のオリジナルがいる。
ふむ。そこで目当ての魔物が見えてくる。
しかし、手際よく見つけられるか?
しばし〈死の楽園〉を進むと、オリジナル個体の〈蠍群魔(スコーピオン)〉と遭遇。前回はまったく歯が立たず、〈スーパーコンボ〉を破壊されたのだった。
さて今回はどうか。
まず(打撃Lv.20)の通常攻撃を叩き込む。〈蠍群魔(スコーピオン)〉の硬殻が砕けるが、まだ死なない。これは手ごわい。【覇王魔窟】地上階ならば、もう400階層レベルなのでは?
では400階層の魔物が〈死の楽園〉にいたら、どれほど強敵なのだろう。
いや、それは単純すぎるかも。つまり地上階で強い魔物が、必ずしもそのオリジナルである〈死の楽園〉内での強敵順位に当てはまるわけではないだろうと。
そんなことを考えながら、私は〈蠍群魔(スコーピオン)〉からの毒針攻撃を、《鎧装甲:地獄》で弾く。
一考してから、射程領域より《阿吽竜巻》スキルを発動。
〈スーパーコンボ〉の一振りによって、暴虐なる竜巻が起こる。〈蠍群魔(スコーピオン)〉の体内から。
〈蠍群魔(スコーピオン)〉撃破に成功。
さっそく強化素材を回収する。ところで──よく出来ている。【覇王魔窟】を創った神さまは、勘所をおさえているようだ。
〈蠍群魔(スコーピオン)〉はバラバラになったが、強化素材として使用する毒針だけは傷ひとつない。
さっそく魔改造鍬〈スーパーコンボ〉に近づけて、暗黒粒子に変換させて吸収させる。ふむ。今回、〈スーパーコンボ〉の形態変化はなかった。おそらく、よほど強力な魔物からの強化素材でなければ、形態変化までには至らないのだろう。
武装Lv.は1032から、1089へと上がる。新たなスキルツリー領域として、毒化領域が出現。しかし毒タイプの攻撃なら、打撃領域でも《毒ノ打》を会得済みだけれども。
ただ毒化領域にはスキルパネルではなく効果パネルとして、『耐毒体質Lv.1』があった。こちらのパネルを解放しておく。
その後は、探索を再開。さまざまな魔物と戦いたいところも山々だが、いまは時間もないので、目当ての魔物とエンカウントするまでは、ひたすら《操縦》スキルによる飛行で逃げておく。
ところで射程領域の《電光石火》は《操縦》中に発動し、敵へと突撃する攻撃系スキル。だが別の使い道があった。
何も敵へと向かわずとも、《操縦》で飛行中に《電光石化》を使っていいのだ。すると、それは加速となる。
これまで《操縦》だけだと、最高速は時速150キロ前後。
だが《電光石化》を加速に使えば、最高時速300キロはいけそう。
ただ速すぎて、危うく見逃すところだった。森林地帯で移動している、カメレオン型の魔物。〈爬虫有魔〉を。
地上階では92階に出現する、体色変化によって不可視になる敵さんでした。
空中より急降下し、不意打ち。体色変化スキルが起こる前に、《阿吽竜巻》で体内より破壊させていただく。
武装Lv.は1102へ。
〈蠍群魔(スコーピオン)〉より上階に出現する魔物だったが、オリジナルは〈蠍群魔(スコーピオン)〉より、ずっと下の印象。体色変化が起こる前に仕留めたからだろうか。
さっそく強化素材を採取し、〈スーパーコンボ〉に投入。
新たなるスキルツリー領域として、隠密領域が開く。さっそく隠密領域のスキルパネル《視界不良》を解放。
ただしこれは、私が不可視になるスキルではなく、単純に『敵から発見されにくくなる』だけらしい。いきなり不可視になるスキルパネルがあるとは、そんな都合がよいこと考えてはいなかったけれども。
ただ《視界不良》は、私だけでなくパーティ仲間にも使えるようなので、そこは便利かな。
とりあえず、これでいいかな。〈鍵〉を使って、【覇王魔窟】より出る。《操縦》+《電光石火》で空を駆け抜けて、ギルド本拠地に戻る。
ぜんぶで5時間か。
ベロニカさんは、私の枕を両足のあいだに挟んで、また爆睡している。
揺り起こす。
「起きてください、ベロニカさん。帝国に行きますよ」
ベロニカさんが下着をつけてから、ギルドが用意した衣服を着る。
ところで、ベロニカさんが私のベッドで裸身だったからといって、間違いが起きたわけではない。私がスキルツリー開拓に勤しんでいる間に、勝手に素っ裸になって、爆睡していただけで。
「そうだけど、アリア。知らなかったの? 国家宗教だよ、いちおうは」
いまは亡き両親の教えは、『宗教でパンは買えない』だったからなぁ。
「で、どこにあるんです?」
「ラザ帝国の聖都ローズ。いうまでもないけど、ローズ教発祥の地」
ということは、例の聖ルーン騎士団の方々は、わざわざ帝国から出張してきていたのか。なんというか、ご苦労様です。しかも4人のうち3人は、異国の地で殺されてしまったのかぁ。まぁ、よくあることですね。
「仕方ない。長旅ですけど」
「え? まさか帝国に行くの? まぁ一応は同盟国だから、国境を通過できるとは思うけど──うーん。つまり、聖ルーン騎士団とやらに追われる身でなければ、の話だよアリア」
「なるほど。隠密スキルが必要ですね」
しばし留守をロクウさんに預け、【覇王魔窟】へ出発。
久しぶりの【覇王魔窟】。そして久しぶりのソロプレイ。やはり独りは心が落ち着くものだ。こればかりは性分なので、もう致し方ありませんね。
〈鍵〉を使って、地下迷宮〈死の楽園〉に入る。
強化素材は、そのもとの持ち主だった魔物の特性を受け継ぐようだ。〈倦怠艶女〉さんから受け取った角(つの)によって、怠惰スキル(実際のところ時間操作スキルだけど)を得たように。
そして〈死の楽園〉には、【覇王魔窟】地上階に出現する魔物のオリジナルがいる。
ふむ。そこで目当ての魔物が見えてくる。
しかし、手際よく見つけられるか?
しばし〈死の楽園〉を進むと、オリジナル個体の〈蠍群魔(スコーピオン)〉と遭遇。前回はまったく歯が立たず、〈スーパーコンボ〉を破壊されたのだった。
さて今回はどうか。
まず(打撃Lv.20)の通常攻撃を叩き込む。〈蠍群魔(スコーピオン)〉の硬殻が砕けるが、まだ死なない。これは手ごわい。【覇王魔窟】地上階ならば、もう400階層レベルなのでは?
では400階層の魔物が〈死の楽園〉にいたら、どれほど強敵なのだろう。
いや、それは単純すぎるかも。つまり地上階で強い魔物が、必ずしもそのオリジナルである〈死の楽園〉内での強敵順位に当てはまるわけではないだろうと。
そんなことを考えながら、私は〈蠍群魔(スコーピオン)〉からの毒針攻撃を、《鎧装甲:地獄》で弾く。
一考してから、射程領域より《阿吽竜巻》スキルを発動。
〈スーパーコンボ〉の一振りによって、暴虐なる竜巻が起こる。〈蠍群魔(スコーピオン)〉の体内から。
〈蠍群魔(スコーピオン)〉撃破に成功。
さっそく強化素材を回収する。ところで──よく出来ている。【覇王魔窟】を創った神さまは、勘所をおさえているようだ。
〈蠍群魔(スコーピオン)〉はバラバラになったが、強化素材として使用する毒針だけは傷ひとつない。
さっそく魔改造鍬〈スーパーコンボ〉に近づけて、暗黒粒子に変換させて吸収させる。ふむ。今回、〈スーパーコンボ〉の形態変化はなかった。おそらく、よほど強力な魔物からの強化素材でなければ、形態変化までには至らないのだろう。
武装Lv.は1032から、1089へと上がる。新たなスキルツリー領域として、毒化領域が出現。しかし毒タイプの攻撃なら、打撃領域でも《毒ノ打》を会得済みだけれども。
ただ毒化領域にはスキルパネルではなく効果パネルとして、『耐毒体質Lv.1』があった。こちらのパネルを解放しておく。
その後は、探索を再開。さまざまな魔物と戦いたいところも山々だが、いまは時間もないので、目当ての魔物とエンカウントするまでは、ひたすら《操縦》スキルによる飛行で逃げておく。
ところで射程領域の《電光石火》は《操縦》中に発動し、敵へと突撃する攻撃系スキル。だが別の使い道があった。
何も敵へと向かわずとも、《操縦》で飛行中に《電光石化》を使っていいのだ。すると、それは加速となる。
これまで《操縦》だけだと、最高速は時速150キロ前後。
だが《電光石化》を加速に使えば、最高時速300キロはいけそう。
ただ速すぎて、危うく見逃すところだった。森林地帯で移動している、カメレオン型の魔物。〈爬虫有魔〉を。
地上階では92階に出現する、体色変化によって不可視になる敵さんでした。
空中より急降下し、不意打ち。体色変化スキルが起こる前に、《阿吽竜巻》で体内より破壊させていただく。
武装Lv.は1102へ。
〈蠍群魔(スコーピオン)〉より上階に出現する魔物だったが、オリジナルは〈蠍群魔(スコーピオン)〉より、ずっと下の印象。体色変化が起こる前に仕留めたからだろうか。
さっそく強化素材を採取し、〈スーパーコンボ〉に投入。
新たなるスキルツリー領域として、隠密領域が開く。さっそく隠密領域のスキルパネル《視界不良》を解放。
ただしこれは、私が不可視になるスキルではなく、単純に『敵から発見されにくくなる』だけらしい。いきなり不可視になるスキルパネルがあるとは、そんな都合がよいこと考えてはいなかったけれども。
ただ《視界不良》は、私だけでなくパーティ仲間にも使えるようなので、そこは便利かな。
とりあえず、これでいいかな。〈鍵〉を使って、【覇王魔窟】より出る。《操縦》+《電光石火》で空を駆け抜けて、ギルド本拠地に戻る。
ぜんぶで5時間か。
ベロニカさんは、私の枕を両足のあいだに挟んで、また爆睡している。
揺り起こす。
「起きてください、ベロニカさん。帝国に行きますよ」
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