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92,新方針。
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〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉の素材とは、脳味噌(視神経と目玉つき)だった。
というか、まだ目玉がきょろきょろしている。意識はまだ残っている?
しかし、私の声は届くまい(耳がないし)。
というわけで、魔改造鍬〈スーパーコンボ〉の糧とさせていただく。さらばです、〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉さん。私のはじめての〈攻略不可能体〉でした。
こうして〈攻略不可能体〉の完全なる素材を得たことで、〈スーパーコンボ〉の武装Lv.が4123から、Lv.5653へと上がる。
ふむ。スキルツリー開拓は、ひとまず後回しにしておこうか。
私物の入った箱を見つけた。私物といっても限られているけども、その中に〈緊急脱出トンカチ〉もあったので、試しに使ってみる。
すると、ちゃんと【覇王魔窟】の外に出られた。ふむ。これはどういうことだろう。【覇王魔窟】内(つまり1階)へと引き返してみると、脳内に怠そうな男の声がしてきた。
〔あーー、なんだこれ?〕
〔知りませんよ。アリエルさんはどうしたんですか?〕
〔アリエルさんは、あー、よく分からんな。俺はこんなところで、何をしているんだろうな〕
長生きしていると(まだ17歳だけど)、勝手に脳内会話をしてきた男から、哲学的なことを聞かれてくる日も来るのだ。
ところでアリエルさんと『同僚』ならば、この彼もまた神の1柱ということだろうか。
「お名前は?」
〔ジョンだ、ジョン〕
また神様にしては、普通な名前だよ。まぁアリエルさんも、女神にしてはよくある名前だったけど。神様だからといって、ブラックサンダーボルト三世とかいう名前じゃ、親しみも持てないよね。そもそも長くて覚えにくいし。
〔私はいま、どういう状況なんですか?〕
〔まってくれ。いま確認を取っているから。あーと。あんたは、メチャクチャ複雑な立場にいるようだな。つまり、あんたはいま『〈挑戦者ディファイアンス〉でありながら〈攻略不可能体〉でもある』ということだ。うわっ、メンド臭いなぁ、あんた〕
〔私、すすんでそうなったわけじゃないですよ。〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉さんを撃破したからでしょうかね。いえ、相打ちになったからなのかなとも思うんですが〕
首をかしげると、まだ中枢神経がゴリゴリ言っている。困るなぁ。肩こりじゃないんだからさ。
〔整理すると、私はまだ〈挑戦者ディファイアンス〉でもあるんですね?〕
〔攻略記録ポイントが抹消されていないから、そのようだなぁ〕
〔それは何よりです。ですが、すると問題がありますよね。私、いまは995階も受け持ちのようなんですけども。そこまで攻略したら、どうなるんです?〕
〔まぁ、あんた自身が995階まで行ったら、そこはスルーでいいんじゃないか。あんたが、あんた自身と戦える、超絶器用なら別だが違うだろうし。そもそも、あんたはとりあえず〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉を撃破したんだろ? 単独で〕
確かに、あれはほぼ単独といって良かったような。一応、ベロニカさんがミリカさんの相手をしてくれたのと、サンディさんが『いい感じの悲鳴』を上げてくれたのは、助けになったけども。
〔なら、このまま【覇王魔窟】の外に出ていっても構わないんですね?〕
〔なんでもかんでも、俺に聞くなよ!〕
〔だって、サポート担当じゃないですかっ!〕
〔だーから、正式なサポート担当はアリエルさんだって言ってんだろ!〕
〔いまはジョンさんが、代理サポートでしょ! ちゃんと仕事してくださいよ! こっちは、いろいろとストレスたまることが多発しているんですからね! ちょっとは、私の身になって考えてくださいよっっ!〕
〔…………すまん〕
〔いえいえ、分かっていただければいいんです〕
あれ。私はいま、神様の1柱と思われる相手にブチ切れた? まぁいいか。私の言い分は、100%正しかったし、ちゃんと抗議するべきときはするのが良いのだ。
〔あー、そうだな。あんたの質問だが、答えはひとまずYESだ。【覇王魔窟】の新方針では、あんたは外の世界と、つまり人間世界へと自由に出入りすることができる〕
〔えーと、新方針というのは何でしょうか?〕
〔〈攻略不可能体〉の6体は、自由に【覇王魔窟】の外に出られるようになった。良かったなぁ。これであんたも、人間時代の友達やらと、堂々と会えるわけだ〕
うーん。確かに、私がまたミリカさんたちと会えるのは良いことだけども。休耕中のカブ畑もあるし。
ただその前に──〈攻略不可能体〉は、自由に外へ出られるようになった?
だから〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉は、アーテル国の王様に成り代わって、好き勝手が出来たのかぁ。
しかも、〈攻略不可能体〉はまだ、あと5体もいるのだ。人間世界にはこれからがガチの悪夢のような。
……そういえば、〈倦怠艶女ミスティナ〉さんが、私の体内にいない。寝息が聞こえてこないので確か。
さすがに私が〈攻略不可能体〉として肉体を『再創造』させられたとき、どこかよそへ出されたようだぞ。
すると私は、なぜかこう思ってしまった。
〈倦怠艶女ミスティナ〉さんを迎えにいかないとっっ!!
というか、まだ目玉がきょろきょろしている。意識はまだ残っている?
しかし、私の声は届くまい(耳がないし)。
というわけで、魔改造鍬〈スーパーコンボ〉の糧とさせていただく。さらばです、〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉さん。私のはじめての〈攻略不可能体〉でした。
こうして〈攻略不可能体〉の完全なる素材を得たことで、〈スーパーコンボ〉の武装Lv.が4123から、Lv.5653へと上がる。
ふむ。スキルツリー開拓は、ひとまず後回しにしておこうか。
私物の入った箱を見つけた。私物といっても限られているけども、その中に〈緊急脱出トンカチ〉もあったので、試しに使ってみる。
すると、ちゃんと【覇王魔窟】の外に出られた。ふむ。これはどういうことだろう。【覇王魔窟】内(つまり1階)へと引き返してみると、脳内に怠そうな男の声がしてきた。
〔あーー、なんだこれ?〕
〔知りませんよ。アリエルさんはどうしたんですか?〕
〔アリエルさんは、あー、よく分からんな。俺はこんなところで、何をしているんだろうな〕
長生きしていると(まだ17歳だけど)、勝手に脳内会話をしてきた男から、哲学的なことを聞かれてくる日も来るのだ。
ところでアリエルさんと『同僚』ならば、この彼もまた神の1柱ということだろうか。
「お名前は?」
〔ジョンだ、ジョン〕
また神様にしては、普通な名前だよ。まぁアリエルさんも、女神にしてはよくある名前だったけど。神様だからといって、ブラックサンダーボルト三世とかいう名前じゃ、親しみも持てないよね。そもそも長くて覚えにくいし。
〔私はいま、どういう状況なんですか?〕
〔まってくれ。いま確認を取っているから。あーと。あんたは、メチャクチャ複雑な立場にいるようだな。つまり、あんたはいま『〈挑戦者ディファイアンス〉でありながら〈攻略不可能体〉でもある』ということだ。うわっ、メンド臭いなぁ、あんた〕
〔私、すすんでそうなったわけじゃないですよ。〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉さんを撃破したからでしょうかね。いえ、相打ちになったからなのかなとも思うんですが〕
首をかしげると、まだ中枢神経がゴリゴリ言っている。困るなぁ。肩こりじゃないんだからさ。
〔整理すると、私はまだ〈挑戦者ディファイアンス〉でもあるんですね?〕
〔攻略記録ポイントが抹消されていないから、そのようだなぁ〕
〔それは何よりです。ですが、すると問題がありますよね。私、いまは995階も受け持ちのようなんですけども。そこまで攻略したら、どうなるんです?〕
〔まぁ、あんた自身が995階まで行ったら、そこはスルーでいいんじゃないか。あんたが、あんた自身と戦える、超絶器用なら別だが違うだろうし。そもそも、あんたはとりあえず〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉を撃破したんだろ? 単独で〕
確かに、あれはほぼ単独といって良かったような。一応、ベロニカさんがミリカさんの相手をしてくれたのと、サンディさんが『いい感じの悲鳴』を上げてくれたのは、助けになったけども。
〔なら、このまま【覇王魔窟】の外に出ていっても構わないんですね?〕
〔なんでもかんでも、俺に聞くなよ!〕
〔だって、サポート担当じゃないですかっ!〕
〔だーから、正式なサポート担当はアリエルさんだって言ってんだろ!〕
〔いまはジョンさんが、代理サポートでしょ! ちゃんと仕事してくださいよ! こっちは、いろいろとストレスたまることが多発しているんですからね! ちょっとは、私の身になって考えてくださいよっっ!〕
〔…………すまん〕
〔いえいえ、分かっていただければいいんです〕
あれ。私はいま、神様の1柱と思われる相手にブチ切れた? まぁいいか。私の言い分は、100%正しかったし、ちゃんと抗議するべきときはするのが良いのだ。
〔あー、そうだな。あんたの質問だが、答えはひとまずYESだ。【覇王魔窟】の新方針では、あんたは外の世界と、つまり人間世界へと自由に出入りすることができる〕
〔えーと、新方針というのは何でしょうか?〕
〔〈攻略不可能体〉の6体は、自由に【覇王魔窟】の外に出られるようになった。良かったなぁ。これであんたも、人間時代の友達やらと、堂々と会えるわけだ〕
うーん。確かに、私がまたミリカさんたちと会えるのは良いことだけども。休耕中のカブ畑もあるし。
ただその前に──〈攻略不可能体〉は、自由に外へ出られるようになった?
だから〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉は、アーテル国の王様に成り代わって、好き勝手が出来たのかぁ。
しかも、〈攻略不可能体〉はまだ、あと5体もいるのだ。人間世界にはこれからがガチの悪夢のような。
……そういえば、〈倦怠艶女ミスティナ〉さんが、私の体内にいない。寝息が聞こえてこないので確か。
さすがに私が〈攻略不可能体〉として肉体を『再創造』させられたとき、どこかよそへ出されたようだぞ。
すると私は、なぜかこう思ってしまった。
〈倦怠艶女ミスティナ〉さんを迎えにいかないとっっ!!
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