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距離感
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日が昇りカーテンの隙間から気持ちのいい朝日が部屋に入ってくる、このボロいアパートの数少ない魅力の一つである。
浪人生で予備校にも行っていない僕は目覚し時計をセットする習慣がないので普段はその朝日に寝顔を照らされ目覚めていたのだが……
「起きてくださーい! 朝ですよー!」
今朝はエプロン姿のロリっ娘に布団を剥がれ目を覚ました。
「おはようございます」
ひな子は朝日よりも眩しい笑顔でそういった。
しばらく一人で暮らしていた僕にはその言葉の響きがとても懐かしく感じ返事をするのに少し時間がかかってしまった。
そして僕は自分の声を確認するための『あ』の代わりに朝の挨拶をひな子に言った。
「おっ、おひゃようごじゃいます!!」
「かみかみですね、朝の挨拶だけでそこまでかまれると貴方にメロメロの私でも少し引きますよ……」
言えなかった――
食卓には朝ごはんが用意されていた。
朝ごはん! 朝ごはんがちゃぶ台に並べられている! お米つやっつやなにこれ!
自堕落な生活を続けていた僕は朝ごはんなんて引っ越してから一日も食べていなかった。(まともなご飯も食べてなかったっけ?)
「さぁ召し上がってください。ご飯食べたら早速勉強にとりかかりますよ!」
ひな子はエプロンをつけたまま食卓についた。
さぁ次は上手に言えるかな? 頑張れ僕!
僕は手を合わせ目を閉じた、深く息を吸い口を開く世界中の食材とひな子に感謝を込めて――
「いただきます」
「……どこぞの美食家みたいな声になっていますよ、そんなに緊張しなくてもいただきますくらい普通に言いましょうよ」
あれ? おかしいなうまく言えたのに……
ひな子の作った朝食は文句なしにすごく美味しかった、グルメ細胞が活性化した。
「さぁ勉強しましょう! 参考書とノートを早く出してください!」
食器を洗い終わったひな子は机を拭きながらまるで練習したマジックを披露する小学生のように鼻息を荒くして僕に言った。
僕はダンボールの中から新品同様の参考書とルーズリーフを数枚取り出した。
「じゃあまずは英語ですね! 大丈夫ですよ英語も言葉なのですぐできるようになりますよ!」
ケン:ごめんなさいミカ! 君に借りたCDをなくしてしまったんだ
ミカ:心配しないで。私もトムに借りたCDプレイヤーをついさっき失くしたわ
ケン:そうなんだね! ところでミカあの噴水にあるのはトムのCDプレイヤーじゃないのかい?
ミカ:何を言っいるのケン! あれは馬よ
この参考書大丈夫だろうか……
参考書の内容はさておき、ひな子の説明はとてもわかりやすく、一時間後には高校二年生くらいの長文読解の問題もスラスラと解けるようになっていた。
「とても理解が早いですね、これなら来年には間にあいそうです」
ひな子は僕が参考書の問題を一問解くごとに笑顔になっていく。
「教えるのすげえ上手いなお前、助かるよ」
そう言ってひな子の頭を撫でてやった
ひな子の顔はそりゃもう二時間経ったあとのアイスみたいに溶けきっていた。
「そろそろ休憩に入りましょうか」
「そうだな、しかし俺がこんなに英語ができるとは知らなかったな……」
「何言ってるんですか、最初は高校の入試問題一問も解けてなかったじゃないですか」
「それを言われると耳が痛いな」
「全く困った人ですね」
ひな子と僕は新幹線をも超えるスピードで距離が縮まっていく。
それと同時に僕は何故か少し不安になった――
浪人生で予備校にも行っていない僕は目覚し時計をセットする習慣がないので普段はその朝日に寝顔を照らされ目覚めていたのだが……
「起きてくださーい! 朝ですよー!」
今朝はエプロン姿のロリっ娘に布団を剥がれ目を覚ました。
「おはようございます」
ひな子は朝日よりも眩しい笑顔でそういった。
しばらく一人で暮らしていた僕にはその言葉の響きがとても懐かしく感じ返事をするのに少し時間がかかってしまった。
そして僕は自分の声を確認するための『あ』の代わりに朝の挨拶をひな子に言った。
「おっ、おひゃようごじゃいます!!」
「かみかみですね、朝の挨拶だけでそこまでかまれると貴方にメロメロの私でも少し引きますよ……」
言えなかった――
食卓には朝ごはんが用意されていた。
朝ごはん! 朝ごはんがちゃぶ台に並べられている! お米つやっつやなにこれ!
自堕落な生活を続けていた僕は朝ごはんなんて引っ越してから一日も食べていなかった。(まともなご飯も食べてなかったっけ?)
「さぁ召し上がってください。ご飯食べたら早速勉強にとりかかりますよ!」
ひな子はエプロンをつけたまま食卓についた。
さぁ次は上手に言えるかな? 頑張れ僕!
僕は手を合わせ目を閉じた、深く息を吸い口を開く世界中の食材とひな子に感謝を込めて――
「いただきます」
「……どこぞの美食家みたいな声になっていますよ、そんなに緊張しなくてもいただきますくらい普通に言いましょうよ」
あれ? おかしいなうまく言えたのに……
ひな子の作った朝食は文句なしにすごく美味しかった、グルメ細胞が活性化した。
「さぁ勉強しましょう! 参考書とノートを早く出してください!」
食器を洗い終わったひな子は机を拭きながらまるで練習したマジックを披露する小学生のように鼻息を荒くして僕に言った。
僕はダンボールの中から新品同様の参考書とルーズリーフを数枚取り出した。
「じゃあまずは英語ですね! 大丈夫ですよ英語も言葉なのですぐできるようになりますよ!」
ケン:ごめんなさいミカ! 君に借りたCDをなくしてしまったんだ
ミカ:心配しないで。私もトムに借りたCDプレイヤーをついさっき失くしたわ
ケン:そうなんだね! ところでミカあの噴水にあるのはトムのCDプレイヤーじゃないのかい?
ミカ:何を言っいるのケン! あれは馬よ
この参考書大丈夫だろうか……
参考書の内容はさておき、ひな子の説明はとてもわかりやすく、一時間後には高校二年生くらいの長文読解の問題もスラスラと解けるようになっていた。
「とても理解が早いですね、これなら来年には間にあいそうです」
ひな子は僕が参考書の問題を一問解くごとに笑顔になっていく。
「教えるのすげえ上手いなお前、助かるよ」
そう言ってひな子の頭を撫でてやった
ひな子の顔はそりゃもう二時間経ったあとのアイスみたいに溶けきっていた。
「そろそろ休憩に入りましょうか」
「そうだな、しかし俺がこんなに英語ができるとは知らなかったな……」
「何言ってるんですか、最初は高校の入試問題一問も解けてなかったじゃないですか」
「それを言われると耳が痛いな」
「全く困った人ですね」
ひな子と僕は新幹線をも超えるスピードで距離が縮まっていく。
それと同時に僕は何故か少し不安になった――
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初投稿頑張ってね途中投げ出さないでね
プロローグだけなのに読んでくださってありがとうございます(感涙)
頑張ります!