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第4話 分かれ道

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かなりヤバイ状況だぞ、2人共捕まってしまったとなると......助けられるのは俺1人。でも昨日この世界に来たばかりの俺にあんな強いモンスター倒せるのか?

「貴方だったらどうする?」

「え?」

どこからか少女の声がする、どこかで聞いた事があるような綺麗な声。

「今、貴方は分かれ道の上にいる。どちらに行くかは貴方次第.......。一つは勝てる可能性が低いのに2人を助けに行く。もう一つはギフトの中身だけを持って2人を置いて逃げる。さぁ、どちらへ進む?」

「俺は...........。」

「早く選ばないとどちらも行けなくなっちゃうよ?」

「俺は......2人を助ける!!」

「どうして?勝てるかどうかも分からないんだよ?」

脳の中で少女の声だけが響き渡る、声だけの存在なのになぜか少女の声を聞くと心が穏やかになった。俺の進みたい道がはっきり分かる。

「だって2人を置いて逃げたりなんてできないよ!もし逃げたりなんてしたら自分の心に大きな後悔だけが残る!それに.....勝てるかどうかじゃない!2人を助けられるかどうかだ!」

「ゴーレムに勝つ......じゃなくて2人を助ける......。」

少女の声の驚いているかのように感じる........。

「勝てなくても2人が安全な場所へ隠れる時間くらいは稼げるでしょ!.......ありがとう君のおかげで覚悟が決まった!」

「やっぱり貴方は面白い.......その宝箱に貴方の助けになる物がある。開けてみて.....。」

俺は少女の言う通りに目の前に置かれた宝箱を開ける、中に入っているのは大量のカード。お店で売ってるようなカードゲームのカードだ。確かこれって..........。LIVE映像でプロデューサーが持ってたやつ.....。

「それはアビリティーカード。それをデバイスにかざすとカードに描かれた能力が使えるようになる。」

俺は一番上にあった炎が燃えてる絵が書かれたカードを手に取り、右腕につけられたデバイスにかざす。

火炎魔法 ファイヤ取得完了いたしました

「おーーースゲーー!.....あ!そういえば」

思い出してしまった.....昨日、剣折れたんだった!!
え?じゃあどうやって助けるの?

「どうしたの?」

「昨日!剣が折れちゃったのを思い出したんだ!ここに武器は無いしどうしよ~!」

「大丈夫、ロボットの姿になってみて。剣は元どおりだから。」

「本当に?」

俺は半信半疑でロボットの姿になると右腕を使い背中から剣の持ち手を掴み、抜く、するとそこには折れたはずの剣が元どおりの姿になって刀身を輝かせていた。

「なっなんで!?」

「初期装備の武器は8時間経つと元どおりになる......らしい。」

「よし!これなら助けられる!」

「..........そろそろ時間がない。行って.......。」

画面が表示されて2人のHPがだいぶ少なくなってきている事が分かる。
このままじゃまずい。

「じゃあ行ってくる!2人を助けに!!」

「貴方に蒼き流星の導きがあらん事を........。」

俺はギフトから剣を持ちながら飛び出し、ゴーレムの方向へと向かう。
俺の身長の2倍ほどの大きさのゴーレムに2人は捕まっていた。
ゴーレム.....本当に岩の塊みたいなやつ......。心の無いロボットのような冷たい瞳でこちらを見つめる。

「サナさん!メガネ君!今助けます!」

まずはゴーレムに捕まってる2人を助けなきゃ.......。俺はデバイスの画面で操作をしファイヤを選び、指で実行するためにボタンを押す。

ファイヤ

すると俺の左の手のひらに小さい魔法陣が現れ、そこから炎が出現する。火炎放射ってやつだ。

「スッゲェー!てか思っていた以上に熱い!!」

俺はその燃え上がる炎をゴーレムの身体に向かって放つ!

ボォォォォォォォォォォォオォォ!!

ゴーレムはあまりの熱さにサナさん達を掴むのをやめ、放してしまった。

ドガッ!

「いっ痛い........。」

「でっですね.......。」

「サナさん!メガネ君!」

ゴーレムが自分の身体が燃えるのを鎮火するのに気を取られている間に2人を安全そうなコンテナの中へ避難させる。

「あっ....ありがとリオ君、助けてくれて.......。」

「何言ってるんですか....俺達「仲間」じゃないですか!当然ですよ!ゴーレムもこっちに向かってくるかも。ゴーレムを倒しに行ってきます!!」

俺は再び剣を構え、コンテナから飛び出しゴーレムの方へと向かった。

「仲間か.......素敵な言葉だよねリオ君。」



ゴーレムへと向かうとゴーレムを覆っていた火は完全に鎮火し、ゴーレムの怒りは最高に高まって周りの木を引き抜いて暴れていた。

「よし!もう一回火で燃やそう!!喰らえ!........え?」

左の手のひらを前に突き出すも火が出てこない。どう言う事?
すると自分の目の前に画面が表示される。

注意 火炎魔法ファイヤは一回で60秒ほどしか使えませんのでご注意ください。

「それを早く言ってよ!!」

すると暴れ回っていたゴーレムが俺に気づき、俺に向かって突進をしてくる。
あんなデカい身体でタックルなんてされたら一溜りもない。
俺は背中に背負っている盾で身を守る。

「それじゃ貴方は盾と潰される。」

また少女の声がする。

「じゃあどうすれば!!」

「技は「組み合わせられる」.......らしい。」

そう言うと少女の声の気配が完全に消えてしまった。

「ちょちょちょちょっと!?」

技は組み合わせられるって......まさか。

俺の画面に表示されているいくつかの技......俺は適当に二つ押してみる。
いける! 前方を覗くとゴーレムが目の前まで近づいてきていた。

「頼む!」

ファイヤ ガード

持っていた盾が赤く光出す、そしてゴーレムの身体が盾に当たると同時に俺を守るかのようにゴーレムの身体の全てを飲み込むほどの炎が現れた。

バーニングシールド

「やっぱすげぇー。」

再び、ゴーレムは苦しみ始める。心の中の俺が叫ぶ。今がチャンスだ!!と.......。俺は先ほどと同じように画面を使い、二つの技を組み合わせる。

ファイヤ スラッシュ

右手で握っていた剣の刀身が赤く光ると同時に炎が燃え上がり全てを焼こうとする。

「行くぞ!」

俺はゴーレムに向かってゆっくりと歩く、ゴーレムは剣を構える俺に気づくと苦しむのやめ....いや我慢しながら先ほど暴れた際に抜いた木を俺へと向かって投げてくる。生命の危機を感じたのだろう。このままだと死ぬと.......。

ドガッ!!  ゴーレムが投げた木が落ちてくる。

ズバッ!!  すごい、あんなにデカい木が一回の斬撃で真っ二つになってしまった。

ゴーレムのすぐ近くまで来ると歩くのをやめ走って向かう。

「せいやぁぁぁぁあぁ!!」

炎で燃え盛る刀身をゴーレムに向かって振り下ろし、炎を纏った斬撃がゴーレムを斬り裂いた。

バーニングスラッシュ!!

切り裂かれる数秒後にゴーレムは爆散!辺りにゴーレムの岩の破片が散りばめられる。

デュリオン    LVUP

「よっしゃぁあぁ!!勝ったー!!ハッ!助けるのが目的なのに勝っちゃった!........まっいっか!!」

俺は急いで2人のいるコンテナへ行く。2人共かなりダメージを負っていたから心配だ。

「大丈夫!2人共!」

「あっ!お疲れリオくーん!」

「お疲れさまでーすリオ先輩、リオ先輩も手伝ってくださいよー。サナさんがカード全部ひっくり返しちゃって整理するの大変なんですよ。」

「ごめんってーーー。さっきも謝ったじゃーん。」

「え?えーーーーーー!?」

どうして2人はこんなにピンピンしているんだ、さっきまでHPギリギリだったのに........。

「どうしたのリオ君?」

「いや!あんなにケガしてたのにどうして!」

「ふふふ......それはね.......。これだ!!」

そう言うと2人は一枚のカードを見せつけてくる。

「回復魔法.....ヒール.....。」

「その通り!」

サナさんによると俺がゴーレムを倒しに行ったあと、暇だったから宝箱を覗いてみると回復魔法のカードを見つけ残りのMP全てを回復に使ったらしい。

「そのおかげでHP全回復!」

「リオ先輩が帰ってくるまでカードの整理をしていたのです!」

「あっあはははは。良かったー元気そうで。」

5分後!

「ふーー整理完了っと。」

「それじゃ、どんなカードがあるか確認しましょうか。」

ファイヤが2枚

アイスが3枚

サンダーが3枚

ウィンドが3枚

ヒールが1枚

ロックが3枚

「あとの宝箱はモンスターの素材ばかりでしたね。一応持って帰りましょうか。」

「うん?」

「どうしましたかリオ先輩?」

「宝箱の下に一枚カードが落ちてる。」

俺は宝箱の下敷きになってしまっている一枚のカードを引っ張りだし、なんのカードか見てみる。

「ランダム?」

「何がでるか分からないって言う運任せのカードですね。ほとんどがファイヤやヒールみたいなランク1の魔法が出ると思いますよ。」

「魔法ってランクあるの?」

「そうですよーランク1からランク5まであるらしいです。ランク5の魔法が出る確率は5億分の1とか.........。」

「へーーそうなんだーー。」

「........紹介動画でありましたよ。」

「ごっごめん......見るの後回しにして完全に忘れてた。」

「だと思いました.......分からない事があったらなんでも行ってくださいね。」

「はーーーい」

やっぱりこういう仲間がいるっていいものだな。そう改めて感じられる一日だった。あの声は..........いったいなんだったんだろうか。この世界に来てから分からない事だらけだ。


一方その頃........。

2人の少年と少女が崖の近くからリオ達を見下ろす

???「すごーい!あのお兄さんゴーレムを倒しちゃったよ!」

???「マリナ何言ってるんだよ!あんなゴーレムの幼体なんてリーダーだったら一発だよ!」

マリナ「そうだよね......ランス。」

???「何をしてる、マリナ、ランス。」

すると奥の方から一体のロボット.....いやプレイヤーが大剣を持ちながら少女達に近づく。

ランス「あっ!おかえりリーダー。」

マリナ「おかえりなさい!アーサーさん!」

アーサー「あぁーただいま。そろそろ行くぞ、もうすぐ夕暮れが近い。安全な場所にな。他の4人もそこにいる。」



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