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明石の章
明石の章⑤
しおりを挟むその日の晩。
明石は神殿の最深部にある小さな庭園でお茶をしていた。
透輝は明石にブランケットを差し出し、カモミールティーを煎れた。
「本当にあの王は学習しませんね・・・。デリカシーがなさ過ぎます」
「透輝さん。そんなに怒らないで」
「明石様は優しすぎます。本来ならセクハラ案件で一発退場ですから」
「でも。不思議といやらしさは感じないんです。何故でしょう?」
「・・・単に思った事を口に出しているだけかと」
「レオンハルト様らしいですね」
明石は柔らかく微笑んだ。
「とても正直な方です。私は嘘が苦手ですから・・・」
「・・・明石様」
明石はカモミールティーを飲みながら夜空を見上げた。
思い出すのは天界で明石の身に起った、ある出来事だ。
『何であの女が選ばれるのよ!おかしいでしょう!!』
『あの体で神官長を誘惑したんじゃないの?平民がのし上がるにはそれしかないじゃない』
『何よ!清純ぶった腹黒女じゃない!騙される男も男だわ』
どす黒い悪意を思い出すと今でも辛くなる。
下界に下り、見合いに参加した明石はもう二度と彼女達に会うことはない。
幸せになるためにここに来た。
最終候補で選んだ三人の殿方から一人を選び、嫁ぐ。いずれも素晴らしい殿方で自分には勿体ない。
(でも、最後はちゃんと「私だけ」を見て欲しいなんて、我が儘かしら?)
最終審査は何にするか決めている。その為に、明石は天界からある人物を呼び寄せていた。
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