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明石の章
明石の章⑬
しおりを挟む心優しく、清らかで美しい姫。オマールにとって明石は理想そのものだ。
大金持ちで、有鱗目族一の美男子であるオマールはとてつもなく女性にモテた。
頼んでもいないのに後をついて回り、妻の座を巡って勝手に争う。
罵詈雑言の末に手を出し合い、取っ組み合う姿にうんざりしていた。
自分の前でだけ愛想を振りまき、猫を被る姿に恐怖すら覚える。
それでも立場上、いずれ花嫁を迎えなくてはならない。
オマールは天界の速報を見て迷わず応募した。
黒狐族自慢の八人の美姫。
彼女達と対面した日、オマールは一人の女性から目を離せなくなった。
その女性はとても美しく、真っ白な神官服がよく似合っていた。
自らが育てるホワイトローズが浮かんだ。
白薔薇の妖精が現れたかと思った。初めて抱く感情に戸惑ったが、オマールは嫌ではなかった。
彼女とのお見合いはらしくもなく緊張した。
何を話せば良いか分からないなんて自分らしくない。
緊張するオマールに、明石は柔らかく微笑んだ。
「私も緊張しています。オマール様は人型なのですね」
明石が今までお見合いした有鱗目族の青年達は皆本来の姿だった。
人型で対面したのはオマールが初めてだった。
「私は人型の方が楽で。有鱗目族でも珍しいタイプだと思います」
オマールはスンダシロクチヤブヘビという青い蛇だ。世界一美しい蛇とも言われている。
「それに蛇の姿に嫌悪感を持つ者は少なからずいます。本能が拒絶する以上、相手を責めても仕方ありません」
有鱗目族は大まかにトカゲ類・ヘビ類に分類される。
トカゲ類は愛嬌のある見た目で人気があるが、それに対して圧倒的に嫌われているのがヘビ類だ。
特に猫族軽種と鳥族はヘビ類に対する警戒感が強い。
本能なので仕方がないが、何もしていないのに嫌われるのは辛い。
オマール自身はスンダシロクチヤブヘビに生まれたことを誇りに思っている。
しかしビジネスにおいて相手に与える第一印象も大切だ。
人型だと猫族軽種と鳥族は警戒を解く上、オマールの美貌は他種族すら圧倒する。
考えた結果、オマールは人型を標準とした。
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