Marriage Interview~異種お見合い婚~

土筆祐依

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花散里の章

花散里の章④

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 姫巫女殺害に鹿族は関わってはいないが、彼女の死はまるでDNAに刻まれたかのように全種族に罪悪感と畏怖を抱かせる。

 彼女の存在は謎に包まれているが、巫女は神に仕える女性の祭司を意味する。

 あくまで憶測だが、姫巫女は黒狐族の祭事を司る高位神官であり、王家の血を引く女性と思われる。

 彼女について正確に分かっているのは年齢と死因だ。
 享年十七。うら若き乙女は人族の手によって嬲り殺しにされた。ただその経緯は未だに解明されていない。

 殺害場所もだ。

「ふっふっふ、このポール、彼女の謎を解くために長年ありとあらゆる書物を読み漁り研究を続けてきた。そして遂に彼女の終焉の地と予想される場所を特定した!」

 ポールは下げていたバックから一冊の書物をユアンに手渡した。

 『姫巫女の軌跡を求めて』 

 姫巫女研究に身を捧げたポールの全てがこの一冊に込められていた。
 
「特定したら次は発掘でね。その地で私は沢山の手がかりを得た。私は何故彼女が彼の地を目指したのか理由が知りたい。気が向いたらで良い、是非アスティズ文庫に立ち入る許可を頂きたい」

 ポールは連絡先を書いた名刺も手渡した。
 拒否することも出来たのに、ユアンには出来なかった。
 苦手なタイプだが情熱は本物だ。父のように問答無用で拒否するのは失礼だと思ったからだ。

「・・・考えさせて下さい」

「勿論です!」

 ポールはニコッと笑った。
 拒絶されなかっただけでも大きな前進だ。それだけアスティズ文庫のセキュリティは厳しかった。

「おい、余り無理強いはするな」

「してませんよ~~!」

 ウィリアムの苦言にポールはカラッと笑って返した。

「龍族で痛い目に遭いましたからね~~!粘りに粘って纏わり付いた結果、王に嫌われて国外退去処分が下りましたから」

「・・・え?」

「は?」

 聞けば、ポールは龍族秘蔵の古文書を読みたい余りアポ無しで伏雅を尋ね、一月もの間付きまとった。
 土下座、泣き落とし、上目遣いでのお強請り。ありとあらゆる方法で閲覧許可をもぎ取ろうとした。

 断られても断られても諦めず付きまとう。
 折れない諦めないグリーンイグアナは伏雅の夢にまで現れるようになった。

 我慢の限界を迎えた伏雅により、ポールは捕らえられ縛られたまま書庫に閉じ込められた。

 むしろラッキーだ。ポールは何とか縄を解き、古文書を読み漁った。
 素晴らしい研究資料の数々。ポールは夢中になりすぎた余り、不眠不休飲まず食わずで研究をした結果書庫で倒れた。

 心配して様子をに来た文官がいなければポールは今頃あの世に行っていただろう。

 書庫で餓死など冗談ではない。余りにも外聞が悪すぎる。
 伏雅は入院していたポールを問答無用で病院から追い出し、国外退去処分にした。

「点滴を打ちながらの移動は疲れましたよ。あの王は容赦がない」

「そのまま召されれば良かったのに」

 チッとウィリアムは舌打ちした。
 ユアンが慌てると、ポールはムッと頬を膨らませた。

「ちょっと!それは冷たすぎません?まぁこうして無事に生きていますからね。問題なし!」

 ハッハッ!と笑うグリーンイグアナにユアンは終始圧倒された。

 ああ、麗しき花散里姫。

 貴女の好みがこのユアン、分からなくなりました。
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