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三次審査編
三次審査⑩
しおりを挟む「上手くいっている奴は良いよな・・・・。俺はもう分からん。女という生き物は理解不能だ」
「え・・・。何かあったんですか?」
「あったからここに居るんだろうが。お前、本命はもう決めているのか?」
「いえ。全員とお話ししてみないと分かりませんし、決めるのはあくまで姫君達なので」
「達観してんな・・・お前、幾つだよ」
「十七です」
「わっか!!流石人族だな」
レオンハルトは人族の結婚事情をそれなりに把握しているようだ。空の顔をジロジロ見た後、残念そうな眼差しを向けられた。
「・・・聞いていたが、お前みたいな美形でも余り者になるのか?人族ヤバいな」
「いや、その・・・まぁ、競争率は激しいです・・・」
まさか余り者認定されるとは。
だがこれも敢えて戦わなかった代償として、空は否定しなかった。それが正解だったようで、レオンハルトは空に心を開いてくれた。
「俺はな、最初に見た時から朝顔が一番良いなって思っていてな・・・」
「まだお見合いしていませんが、物凄い美形ですよね」
「綺麗だよなぁ。俺も今日やっと会えたんだ。気合いも入るだろ?入りすぎた結果、嫌われた」
「・・・・・・」
遡ること数十分前、ある試練を乗り越えたレオンハルトは朝顔と対面での見合い権を得た。朝顔は着物ではなく淡い水色のスーツを着ていて、すらっとした長い足が協調されていた。
レオンハルトの目から見ても、それはそれは麗しかった。
『随分私の事を気に入ってくれたようだけど、何が良かったんだい?王様』
『過剰に着飾らず媚びた態度を取らない所が好きだ!』
『・・・へぇ?』
『俺が先に死んだとしても、他に目移りしない情の深さを感じる』
『縁起でもないねぇ』
『立場上、何時何が起るか分からないからだ。だから俺は一人でも生きていける強い女が好きだ!俺と結婚してくれ!』
『嫌だよ』
秒で断られ、レオンハルトは停止した。
『何となくだけど、王様の事情は分かった。着飾って媚びを売り、男無しでは生きていけない打算的な女が大嫌いなんだろう?』
朝顔は真顔だ。目を逸らしたいが、レオンハルトは出来なかった。
目を逸らしたら許さないと朝顔の瞳は語っていた。
『それで真逆のタイプの私に行く。安易だねぇ』
『それは違う!』
『違わないさ。王様、よく考えな。真逆の女が本当に好きかい?』
『好きだと言っている!』
『私はそうは思わない。誰かの当てつけに使われるなんてまっぴら御免だね。随分安く見られたもんだ』
朝顔はニヤリと笑い、右手をスッと挙げた。後ろに控えていた土佐闘犬の武官が前に出ると、レオンハルトを無理矢理立たせた。
『見合いは強制終了とするよ。参加した以上、私も妥協はしたくなくてねぇ。王様とは幸せになれそうにないから会うのは今日で最後だ』
『ちょ・・・っ!待ってくれ!!』
必死で弁明するレオンハルトだが、朝顔は笑顔で手を振るだけ。
抵抗虚しくレオンハルトは神兵訓練場を叩き出されたのだった。
「・・・と、言うわけだ。何がいけなかったのかさっぱり分からん」
「話を聞いた限りですが、俺も何が悪かったのか分かりません。情熱的な告白を嫌がる女性はいないって友人から聞いたばかりなので、ちょっとショックです」
「だよなぁ・・・。俺も講師からそう聞いた」
はぁ、と空とレオンハルトはため息をついた。
「・・・落ち込んでいたが、話を聞いて貰って何かスッキリした。ありがとうな」
「それなら良かったです。朝顔さんとは残念でしたが、お見合いはまだ続いています」
そう、お見合い相手は全部で八人。レオンハルトもまだ会っていない姫君がいる。
「レオンハルト王のお相手はこれから会う姫君の中に必ずいると思います。諦めるのはまだ早いです」
「そうか・・・?」
「はい。俺は三人しかお見合いしていませんし。まだまだ、序盤です」
「そっか。確かにまだ序盤だよな」
ヘタレていた尻尾がユラユラと揺れた。落ち込んでいた気持ちが上向いたなら何よりだ。
結局空が持って来たコーヒーは一人で飲んだ。猫にコーヒーは御法度らしい。
その後、空はレオンハルトと連絡先を交換した。
互いの友人を交えて食事会を開こうと約束し、レオンハルトは彼を探していた黒猫秘書と共に滞在先のホテルに戻ったのだった。
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