僕の恋は君の陽だまり

第2部：重なり合う不協和音

和馬の明るさに触れ、英理は少しずつ心を開き始めた。和馬は毎日、英理の部屋を訪れ、他愛ない話をし、彼のピアノの音色に耳を傾ける。英理もまた、和馬の存在に安らぎを感じるようになっていた。和馬がそばにいると、なぜか心が穏やかになる。和馬は、英理の凍てついた心に、温かい光を差し込んでくれる存在だった。
二人は、音楽を通じて、互いの心を通わせる。和馬は、英理の演奏に耳を傾け、英理は、和馬の言葉から新しい旋律を紡ぎ出す。二人の間には、温かく、そして確かな絆が芽生え始めていた。英理の世界は、和馬という存在によって、少しずつ色を取り戻していく。
しかし、二人の関係は、周囲の嫉妬を招く。英理の才能を妬む同級生たちは、和馬との関係を揶揄し、英理を孤立させようとする。英理は再び心を閉ざしかけるが、和馬はそんな英理を放っておかない。和馬は英理を守るように、彼のそばに寄り添い続ける。
「気にすることないよ。あいつらは、英理の才能が羨ましいだけなんだ」
和馬の言葉に、英理は心が救われる。もう一人ではない。和馬がそばにいる。その事実が、英理に大きな勇気を与えていた。
そんな中、和馬の家庭の事情が明らかになる。和馬の父親は、和馬が音楽の道に進むことに反対しており、和馬は父親の期待に応えようと、自分を偽って生きてきた。和馬の明るさの裏に隠された孤独を知った英理は、和馬に寄り添い、彼を支えようとする。
互いの孤独を知り、互いを必要とし始めた二人。英理は、和馬のために、和馬は、英理のために、音楽を奏でる。しかし、二人の前に、新たな困難が立ちはだかる。
和馬の父親は、英理と和馬の関係を知り、二人の関係を壊そうとする。父親の非情な言葉に、和馬は深く傷つく。英理もまた、和馬を苦しめているのが自分だと思い込み、和馬から距離を置こうとする。
すれ違う二人。しかし、互いを想う気持ちは、決して消えることはなかった。英理は、和馬の幸せを願い、和馬は、英理の心を癒そうとする。二人は、再び心を通わせるために、必死にもがく。
英理は、和馬のために、和馬は、英理のために、協奏曲を作ることを決意する。それは、二人の愛の軌跡をたどる、特別な協奏曲だった。二人は、互いの心を込めて、音楽を奏で始める。
しかし、和馬の父親は、二人の関係を決定的に引き裂こうと、非情な手段に出る。父親は、和馬に、英理との関係を絶つようにと迫る。和馬は、夢と家族の間で板挟みとなり、苦悩する。英理は、そんな和馬の姿を見て、過去のトラウマと向き合うことを決意する。