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クズの叫び
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「クズの叫び
」
心臓の鼓動が高鳴るのをいつになくはっきりと感じた。このまま卒業まで変わらないんだろうなぁと思っていた。大事な話があると言われたときはまさかと思った。でもそのまさかだった。実感は今もなお湧いていない。だけど帰りのあのバスの中で、今まで見つからなかった努力の理由を見つけたと彼女に伝えたのは間違いない。そしてその理由が彼女自身であることもしっかりと公言したはずだった。だが何一つ変わらなかった。
自分が弱いことは自分がよく分かっていた。それと同時に自分の中にとある欲が眠っているのを知っていた。だが未だにそれを他人にバレたことがない。隠し続けてきている。普通の人よりも圧倒的に小さい頃の記憶がないため、いつからそれが芽生えたかやいつから人の目を気にするようになったかは分からない。何が原因だったかも未だに分からない。一つだけ分かるのは、今の人格が生まれつき備わったものではなく、この18年弱で形成されたものだということである。
おそらく中学生になった頃ぐらいだろう。周囲の人を信用できなくなって他人の目が嫌というほど気になるようになった。私は思う。大人になるということは知らなくてもいいことを知ってしまうことなのだ。義務教育というものは子供に現実を突きつけるためにあるのだ。
他人の目が気になるとどうなるか。私は自分が弱いことを知っていた。ないものねだりに聞こえるかもしれないが、頭がいい以外の取り柄は一つもなかった。だからだんだんと私は壁を作りはじめた。嘘で塗り固めた壁を何枚も何枚もつくって自分の弱さを隠した。
最初のうちは上手くいっていた。周りからもそれなりにできる人だと思われていた。それに追い討ちをかけるようにとあるできごとが起きた。嫌味に聞こえるかもしれないが、ほぼノー勉だったにも変わらずに高校入試で高得点を取れた。そのせいもあって、ますます私は努力をしなくなった。
気づいた時には遅かった。うすうす分かっていたのだ。追いつけていないことに気づいていたのだ。だがそこから目を逸らすように毎日を適当に生きていたため、高校を辞めた時の自分は普通レベルの高校でさえやっていけないほどに堕落していた。
文字通り、私は全てを失った。勉強の才能を腐らせた私は家族にとっても自分にとっても、ただの恥さらしの邪魔者だったに違いない。その結果、もっともっと壁を作らなきゃと嘘を重ねていった。もはや自分でさえ自分の本質が分からなくなっていった。
だがそのクズが唐突に努力をしはじめた。少なくとも前よりは頑張れるようになった。常人に戻っただけだったが自分の中では大きく変われたと思っていた。実際に他の人もそう言ってくれた。自信がついたわけではなかったし、他人に対して疑心暗鬼になるのは変わっていなかったが少しずつ前に進むことができている気がした。
それでも理由のない努力には波がある。無心で努力できる時もあるが、小さなことで立ち上がれなくなる時も多々あった。そのたびに努力の理由があればと、何か夢があればと思っていた。
闇期にアニメやらマンガやらをひたすら見たり読んだりしていた影響で、恋愛に大してかなりの信頼を寄せていた。恋愛欲と言うのだろうか。それが日に日に強くなって、それさえあれば何でもできる気がした。努力だっていくらでもできると思っていた。だからこそあの時、彼女にしっかりと公言したのだ。それさえあれば何でもできると信じていたから。
結果、何も変わることはなかった。前から分かっているつもりだった。自分は人から影響を受けることはできないと。それが手に入っただけで、本当に素晴らしいことであり夢のようなことであったのは確実だ。だが結局、僕のクズな部分は波のように定期的に現れては消えてを繰り返していた。
逆にすごいと思った。これだけ信頼していたものが何の意味もなかったとは。応援されても全く響かなかった。頑張ろうと思うだけで行動には移せなかった。そう、変わっていなかったのだ。
私は壁を作り続けたおかげで、家族にも友達にも、また彼女にさえも本質を見抜かれていない。じゃあ、自分の心の拠り所は一体どこにあるのだろうか?何を理由に努力すれば良いのだろうか?そもそも、私が努力の理由を見つけることは可能なのだろうか?
本質を見抜いてくれる人がいないせいで、他人のアドバイスや意見は全然耳に入ってこない。入ってきても心に響くことはない。他人に頼ることができないなら自分でどうにかするしかない。でも私はいまだ弱かった。壁を作るのに必死になって、本質を高めようとしたことは一度もなかった。他人から見たら「できる人」に見えるかもしれない。だが、私に近しい人間は私の何を知っているだろうか?
他人の目を気にしすぎて見栄を張り強がってしまった結果、誰も私を助ける人はいなくなってしまった。むしろ、他人から少しでも「できる人」というレッテルを貼られることで、私の人生のハードルは上がってしまった。
ならば「自分の弱さをさらけ出せばいいのではないか?」とそう思うだろうか。残念ながらもうそれはできない。壁を作ることが当たり前になり、無意識のうちに平気そうにしてしまうようになった。
たとえそれでも、弱さをさらけ出すことはできるのではないかと希望を見出した。が、気づいてしまったのだ。近しい人に理解してもらおうとすると、どこからどこまでが本当でどこからどこまでが嘘で塗り固めた壁なのか説明しなければならない。だがそれはできない。なぜなら自分でももう壁の範囲が分からなくなってしまっているからだ。
可能性があるとするなら、全く知らない人と一から関係を作れば問題ない。だがそのうえでも絶対に壁を作ってはいけない。それが私にできるだろうか?そしてクズを受け入れる人がいるだろうか?聞く耳を持たないと知っていて助けてくれる人がいるだろうか?
結果的に私は自分の弱さを見せたくないがために、自分をもっともっと弱くしてしまった。誰にも理解されず、誰にも助けてもらえなくなってしまった。もし巨大なハンマーで私の壁を壊してくれる人がいるのならば、私はどんな代償を払ってもその人に会いにいくだろう。
」
心臓の鼓動が高鳴るのをいつになくはっきりと感じた。このまま卒業まで変わらないんだろうなぁと思っていた。大事な話があると言われたときはまさかと思った。でもそのまさかだった。実感は今もなお湧いていない。だけど帰りのあのバスの中で、今まで見つからなかった努力の理由を見つけたと彼女に伝えたのは間違いない。そしてその理由が彼女自身であることもしっかりと公言したはずだった。だが何一つ変わらなかった。
自分が弱いことは自分がよく分かっていた。それと同時に自分の中にとある欲が眠っているのを知っていた。だが未だにそれを他人にバレたことがない。隠し続けてきている。普通の人よりも圧倒的に小さい頃の記憶がないため、いつからそれが芽生えたかやいつから人の目を気にするようになったかは分からない。何が原因だったかも未だに分からない。一つだけ分かるのは、今の人格が生まれつき備わったものではなく、この18年弱で形成されたものだということである。
おそらく中学生になった頃ぐらいだろう。周囲の人を信用できなくなって他人の目が嫌というほど気になるようになった。私は思う。大人になるということは知らなくてもいいことを知ってしまうことなのだ。義務教育というものは子供に現実を突きつけるためにあるのだ。
他人の目が気になるとどうなるか。私は自分が弱いことを知っていた。ないものねだりに聞こえるかもしれないが、頭がいい以外の取り柄は一つもなかった。だからだんだんと私は壁を作りはじめた。嘘で塗り固めた壁を何枚も何枚もつくって自分の弱さを隠した。
最初のうちは上手くいっていた。周りからもそれなりにできる人だと思われていた。それに追い討ちをかけるようにとあるできごとが起きた。嫌味に聞こえるかもしれないが、ほぼノー勉だったにも変わらずに高校入試で高得点を取れた。そのせいもあって、ますます私は努力をしなくなった。
気づいた時には遅かった。うすうす分かっていたのだ。追いつけていないことに気づいていたのだ。だがそこから目を逸らすように毎日を適当に生きていたため、高校を辞めた時の自分は普通レベルの高校でさえやっていけないほどに堕落していた。
文字通り、私は全てを失った。勉強の才能を腐らせた私は家族にとっても自分にとっても、ただの恥さらしの邪魔者だったに違いない。その結果、もっともっと壁を作らなきゃと嘘を重ねていった。もはや自分でさえ自分の本質が分からなくなっていった。
だがそのクズが唐突に努力をしはじめた。少なくとも前よりは頑張れるようになった。常人に戻っただけだったが自分の中では大きく変われたと思っていた。実際に他の人もそう言ってくれた。自信がついたわけではなかったし、他人に対して疑心暗鬼になるのは変わっていなかったが少しずつ前に進むことができている気がした。
それでも理由のない努力には波がある。無心で努力できる時もあるが、小さなことで立ち上がれなくなる時も多々あった。そのたびに努力の理由があればと、何か夢があればと思っていた。
闇期にアニメやらマンガやらをひたすら見たり読んだりしていた影響で、恋愛に大してかなりの信頼を寄せていた。恋愛欲と言うのだろうか。それが日に日に強くなって、それさえあれば何でもできる気がした。努力だっていくらでもできると思っていた。だからこそあの時、彼女にしっかりと公言したのだ。それさえあれば何でもできると信じていたから。
結果、何も変わることはなかった。前から分かっているつもりだった。自分は人から影響を受けることはできないと。それが手に入っただけで、本当に素晴らしいことであり夢のようなことであったのは確実だ。だが結局、僕のクズな部分は波のように定期的に現れては消えてを繰り返していた。
逆にすごいと思った。これだけ信頼していたものが何の意味もなかったとは。応援されても全く響かなかった。頑張ろうと思うだけで行動には移せなかった。そう、変わっていなかったのだ。
私は壁を作り続けたおかげで、家族にも友達にも、また彼女にさえも本質を見抜かれていない。じゃあ、自分の心の拠り所は一体どこにあるのだろうか?何を理由に努力すれば良いのだろうか?そもそも、私が努力の理由を見つけることは可能なのだろうか?
本質を見抜いてくれる人がいないせいで、他人のアドバイスや意見は全然耳に入ってこない。入ってきても心に響くことはない。他人に頼ることができないなら自分でどうにかするしかない。でも私はいまだ弱かった。壁を作るのに必死になって、本質を高めようとしたことは一度もなかった。他人から見たら「できる人」に見えるかもしれない。だが、私に近しい人間は私の何を知っているだろうか?
他人の目を気にしすぎて見栄を張り強がってしまった結果、誰も私を助ける人はいなくなってしまった。むしろ、他人から少しでも「できる人」というレッテルを貼られることで、私の人生のハードルは上がってしまった。
ならば「自分の弱さをさらけ出せばいいのではないか?」とそう思うだろうか。残念ながらもうそれはできない。壁を作ることが当たり前になり、無意識のうちに平気そうにしてしまうようになった。
たとえそれでも、弱さをさらけ出すことはできるのではないかと希望を見出した。が、気づいてしまったのだ。近しい人に理解してもらおうとすると、どこからどこまでが本当でどこからどこまでが嘘で塗り固めた壁なのか説明しなければならない。だがそれはできない。なぜなら自分でももう壁の範囲が分からなくなってしまっているからだ。
可能性があるとするなら、全く知らない人と一から関係を作れば問題ない。だがそのうえでも絶対に壁を作ってはいけない。それが私にできるだろうか?そしてクズを受け入れる人がいるだろうか?聞く耳を持たないと知っていて助けてくれる人がいるだろうか?
結果的に私は自分の弱さを見せたくないがために、自分をもっともっと弱くしてしまった。誰にも理解されず、誰にも助けてもらえなくなってしまった。もし巨大なハンマーで私の壁を壊してくれる人がいるのならば、私はどんな代償を払ってもその人に会いにいくだろう。
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